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カセットガスで使えるアイテム大集合! 調理からミニ暖房、クーラーボックスまで!?
2024年4月11日 08:05
鍋物や焼肉などで使われるカセットコンロ。燃料として身近なのが、コンビニでも買える「CB缶(カセットガス/カセットボンベ)」だ。災害などでガスや電気が止まった際の非常用コンロとしても使えるので、持っている人も多いだろう。
アウトドア用途で見ると、ランタン、バーナーなどに使われるだけでなく、実は発電機の燃料になったり、クーラーボックスを冷やす仕組みにも使えて、レジャーや防災用としても注目されている。
今回は「こんなものもカセットガスでうごくの?」というカセットガス(CB缶)を使うアイテムを紹介したい。
そもそもCB缶って何?
カセットガスやカセットボンベと呼ばれる「CB缶」は、アウトドア専用の“OD缶”と比較すれば低温時の性能や堅牢性などは劣るものの、安価かつ入手性が良いなど、コストパフォーマンスの高さからキャンプなどアウトドアで活用する人も多い。
原則としてはメーカー奨励のCB缶を使うことが求められているが、JIS規格によって細かなサイズが決められており、異なるメーカーのものを使うことも可能になっている。
アウトドアの食事を豊かにする調理器具
まずは、アウトドアでもよく使われる調理器具から。非常持ち出しも兼ねてコンパクトに収納できるものから、馴染みのある使い方ができるカセットコンロタイプまで、様々な種類がある。
SOTO ST-310
SOTO ST-310は、折りたたみ式でコンパクトに収納できるほか、サードパーティからも周辺アイテムが発売されており、拡張性、カスタマイズ性に優れる。
アウトドア用として、人気の高い「ST-310」はレギュレーターを備え気温が低い時期でも安定した火力を維持できる。またアウトドア用として定番品となっていることで様々な会社から周辺アイテムが発売されており、便利に使えるのもポイントだ。キャンプやアウトドアでの用途が多い人にはオススメのモデルだ。
分離モデルのST-330。大きな鍋を乗せてもしっかり保持するゴトクが心強い。
ガスとバーナー部が分離したモデル「ST-330」もあり、大きな鍋も載せられるなど、家族で使うならこちらの方が適しているかもしれない。
イワタニ タフまる
アウトドアでも使いたいが、アウトドア用のコンロは使い方が独特で不安という人には、イワタニ産業の「タフまる」がオススメだ。家庭用カセットコンロと同じ使い勝手ながら、風防が備わっており野外での使用でも風の影響を受けにくいのが特徴。風で炎が流れると火力が落ちて調理に時間がかかったり、燃費が悪くなるのでアウトドア用としてはもちろん、防災用としても適している。
スノーピーク HOME&CAMPバーナー
家庭でもアウトドアでも使いたい、頻度が少ないのにしまっておくのに場所を取られるのは嫌だという人にはスノーピークの「HOME&CAMPバーナー」がオススメだ。
「見せる収納」を意識したスタイリッシュなデザインは、見た目にもコンパクトに収納できるだけでなく、自宅ダイニングで使用した時の食器類とのマッチングなど卓上の演出を邪魔しない雰囲気がある。
アウトドア使用においても、最近のオシャレなアウトドアアイテムとマッチするだけでなく、無骨なアウトドアグッズの中にあってなお、ワンポイントとしての存在感も発揮する。独特なデザインながら操作感も一般的なカセットコンロに準じており、ビギナーにも使いやすいのが特徴だ。
こだわり派にランタンの明かり。非常時の備えにも
ランタンは、一般的にはLED方式のものが多く発売されており、あえて燃料式のランタンを使うことは少ないかもしれない。特にアウトドア、キャンプの熟練者やこだわりを持つ人以外では光量や安全性などのバランスを考慮すると明るいLEDモデルのほうが、コスパが良い場合もある。
一方でガスランタンは、アウトドアのステップアップのため、燃料ランタンの入門用としても適している。バッテリーの充電切れ、乾電池の備蓄などを気にせずカセットガスがあれば灯りを得られるので非常の備えとしても有用だ。燃料ランタンのメリットの側面としては、寒い季節に温かさも提供してくれる点もある。
SOTO 虫の寄りにくいランタン ST-233
燃料ランタンを選ぶ理由として、機能面での付加価値を挙げたい。SOTOの 「虫の寄りにくいランタン ST-233」は、オレンジ色のホヤで虫が寄ってきにくい光の波長へ調整してくれるので、夏のアウトドアでの煩わしさを軽減してくれる。リフレクターは、自分達のエリアの明るさを高めるだけでなく、虫のいる森林側へ光を遮ることで、虫を引き寄せない効果もある。
さらに、市販の蚊取りマットをセットすることで防虫効果を高めることが可能。大きめのボディなのでキャンプサイト全体を照らすメインランタンとしても使える明るさも、LEDランタンでは実現が難しいポイントだ。
BBQなどの着火に役立つ「バーナー」「トーチ」
カセットガスを使用する器具にはちょっとした便利グッズもある。
SOTOの「フィールドチャッカー」は、焚き火やBBQの時に炭に着火するのに便利なガストーチだ。料理の際、炙りに使うこともできる。このタイプの器具は国内各社から出ているので、一つあると何かと便利だ。ガソリンバーナーなど、燃料式バーナーなどを購入した際に、メンテナンス用途としても使える。
カセットガスを直接取り付けるものではないが、SOTOのスライドガストーチはカセットガスでガスを充填できるガストーチだ。着火の火口をスライドして伸ばせるので、ランタンのホヤの中に着火したい時とか、焚き火の着火など、手の届きにくい場所に火をつけたい時に便利だ。ガスを充填して繰り返し使えるのもエコロジーだ。
まだまだ冷える夜にも役立つ「暖房」
春になっても屋外では肌寒い日は少なくない。カセットガスを使う暖房器具は、アウトドアブームや省エネ、省電力志向の高まりもあって増えてきている。一方で一酸化炭素中毒などの事故による死亡事故もみられるので、換気には気をつけたい。
屋外用と室内用があり、室内用はエアコンの補助、エアコンや通常の暖房器具のない部屋、エリアでの作業用などのほか、メインの暖房として使える性能のものもある。アウトドア用はレトロなデザインだったりコンパクトなものだったり、用途に合わせてラインナップも増えてきた。
イワタニ カセットガス ストーブシリーズは、室内で使用できる国内では数少ないカセットガス式暖房器具だ。温めたい部屋の広さや使用用途などに応じて選べる3ラインナップが嬉しい。電気代の節約のために、エアコンの設定温度を下げてスポットで温めたい、エアコンの設置していない部屋、脱衣所などのスペースで短時間温めたいというニーズなどに対応する。
イワタニの「FORE WINDS OUTDOOR HEATER」は、小型軽量のパーソナルヒーター。
アウトドア用の個人向けヒーターとして現在入手可能なものがこちら。コンパクトに折り畳め、バックパックでのソロキャンプにも携行できるものだ。焚き火や大きなストーブなどを置いていた場合でも、足元や背中側など、火に向き合っていない面は寒い場合もあるので、補助的に使うこともできる。キャンプだけでなく、釣りや天体観測など冬の屋外で寒さを凌ぎたい場合などに重宝する。
屋内と屋外兼用のマルチヒーターもラインナップしているので、主に使う場所に合わせて選びたい。
イワタニ「FORE WINDS 「MULTI HEATER」は、屋内外での使用が可能なカセットガス式ストーブ。天板がゴトクになっていてお湯を沸かしたり、煮込み料理の鍋を乗せたりできる。
屋内外兼用ヒーターは、灯油ストーブや薪ストーブの代わりに大型テントの中に設置して冬キャンプを快適に過ごしたい時や、BBQなど屋外イベントで暖を取りたい時にも便利。天板にヤカンをのせてお湯を沸かしたり、調理できるものもある。普段は室内やガレージなどで使い、キャンプなどの際にはアウトドアに持ち出すなど、使う場所やシチュエーションの幅が広いのも良い。
いざという時も心強い発電機
アウトドアや停電の際での電力のニーズにはポータブル電源が人気だが、貯めた電気を使いきってしまった後は役に立たなくなってしまう。発電機は燃料がある限り発電できるので主に非常時には便利だが、普段のメンテナンスなどに課題がある。
カセットガス式の発電機は、オイルの補充など最低限のメンテナスは必要なものの、液体燃料式よりも手軽に保管して使いたい時に使用できるメリットがある。アウトドアや非常時の最初の段階ではポータブル電源を使用したとしても、併せて用意したソーラー発電だけでは補いきれない蓄電、電力の補充に発電機を使うというアイディアもある。使用を想定する期間のカセットガスを備蓄しておく必要があるので、必要な燃料の計算なども事前に行なっておきたい。
「ホンダ エネポ EU9iGB」は、カセットガス式発電機の草分け的存在。備える際は、エンジンオイルも併せて備えよう。
カセットガス式の発電機で最も有名なのが、ホンダのエネポかもしれない。カセットガスを2本使用して、最大約2時間の発電が可能。運転しながらのガス缶の交換はできないが、ガソリン式の発電機でも運転中の給油はできないものが多いのでそれは同様だ。
最大900VA(900W)の出力と必要十分。並列運転をすると、最大1500Wまで対応する。エネポ同士のほか、対応するガソリン式の発電機とも並列運転が可能。
ニチネン「インバーター式発電機 G-cubic G700クレマ」は、AC出力だけでなく、USB端子など多くの端子を備える発電機。
最近、アウトドア用や防災用として見かけるようになってきた機種がこちら。最大700VA(700W)で最大1.2時間(1/4出力)とスペック的にはやや劣るが、カセットガス1本で良いということ、約10kgと比較的軽量コンパクトなので保管や持ち出しにも便利だ。後述のポータブル電源への給電メインとすれば、出力や連続運転時間などは許容範囲といえる。
カセットガス式発電機の運用方法としては、直接電気を供給するだけでなく、電気を使う機器はポータブル電源などに繋いでおき、発電機からはポータブル電源(バッテリー)へ給電を行なうことで、電力を提供できる状態を長く維持することが可能だ。バッテリーが電力を供給してくれているので、ガス缶の交換時も電力供給できるのも良い。
冷蔵庫(クーラーボックス)もガス缶で冷やせる
カセットガスを使う器具は、コンロやランタン、発電機など、光や熱、動力を発揮するものだけと思われがちだが、実はカセットガスを使用する冷蔵庫(クーラーボックス)も存在する。仕組みは「アブソープションシステム(アンモニア吸収方式)」という構造で、アンモニアが気化するときに周囲の熱を奪う性質を利用して冷やす。
バッテリーやシガーソケット給電で動くクーラーボックスなどもあるが、カセットガス式は電源コードが不要で、カセットガスがあれば継続的に使用できる(バッテリー切れの心配がない)というメリットもある。
Dometic ポータブル3way冷蔵庫「COMBICOOL ACX35G」は、大きめのクーラーボックスほどの大きさ。電源がなくとも長時間の冷却が可能。
AC、DC(シガーソケット)、カセットガスの3方式で稼働する冷蔵庫。重量は14kgで容量が31Lとちょうど良いサイズだ。カセットガス1本で24時間稼働するのも省エネといえる。
【写真訂正】初出時、COMBICOOL ACX35Gについて別製品の画像を掲載していたため正しいものに差し替えました。お詫びして訂正します(20時26分/編集部)
農機や草刈りまでガスで動く!
カセットガスは、備蓄性の良さ、燃料管理のしやすさなどから、意外な用途に使われることもある。耕うん機や芝刈り機など、ガソリンの代わりにガスを使用するものや、草焼バーナーなど、ガスならではのアイテムもある。
指定のカセットガスで安全に使用を
各社のカセットガス器具に関しては、奨励はされないものの、JIS規格によってサイズが統一されているので、異なるメーカーのカセットガスを使うことが可能になっている。
1991年に制定されたJIS S 2148には偏差が含まれており、基準範囲内でのサイズ違いが生じて、器具によっては異なるメーカーのものが使用できないことがあった。阪神淡路大震災において支援物資として供給された機器やボンベで互換性が確保されず不便が生じた教訓をもとに、1998年に規格が見直され、互換性が確保されるようになった経緯がある。
規格としては互換性があるものの、メーカーでは自社製もしくは指定メーカーのカセットガス以外では安全テストを行なっていないため、動作保証をしていない。不具合や事故があった場合でも、指定品を使用していない場合には補償の対象外になってしまうので、非常時はともかく普段使いでは指定のカセットガスを使うようにしたい。