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ふとんは洗濯できるの? 長く使えるふとんのしまい方とケア方法

冬ふとんをしまう前にすべきこととは?

梅雨が明け、本格的な夏が到来。慌てて寝具を冬用から夏用に入れ替えているというご家庭も多いのではないだろうか。

しかし、ふとんはただ押し入れにしまえばいいのではなく、収納の仕方でもっとふとんを長持ちさせられるという。そこで、ふとんケアの基本や気を付けることなど、素朴なギモンについて寝具メーカー・西川でスリープマスターとしても活動する、マーケティング戦略部 広報担当の森優奈さんに教えてもらった。

ふとんをしまうときに気を付けるポイント

森さんによると、ふとんの扱い方として最も重要で基本となるポイントは、冬用・夏用を問わず、「湿気を逃がすこと」。「寝ている間にだいたいコップ1杯ぶんの汗をかいているので、ふとんはそのぶんの湿気を吸っていることになります。そこで、ふとんに篭っている湿気を逃してあげることが大事です」と森さん。

西川 マーケティング戦略部 広報担当の森優奈さん

「冬場に羽毛ふとんを使った後、湿気を含んでいる状態で手入れをせずにしまってしまうと、翌年に羽毛本来の力を発揮できなくなるおそれがあります。羽毛が劣化してしまい、寿命が短くなることにもつながります」

そのため、ふとんをしまう際はしっかり干して、湿気を取り除いたうえで収納することを推奨している。ふとんの干し方の目安は、屋外で片面につき約1時間ずつ、表と裏の両面を干す。特に羽毛ふとんの場合には、ふんわりと保管することがポイントとのことだ。

保管するときは、カバーやシーツをかけた状態で置くか、購入時にふとんが入っていた収納袋に入れるのがベストだそうだ。「購入時に付属している収納用のバッグには不織布が使われているものが多く、通気性がいいんです。そのまま保管用途として活用するのがオススメです」と話す。また、ニオイがこもらないように、チャックを少し開けておくといいそうだ。

ふとんをしまうときはしっかり干して、湿気を取り除くのがポイント

かさばりがちなふとんだが、収納時に圧縮袋を使用している人も少なくないだろう。しかし、「羽毛ふとんに関してはお勧めしていません」と森さん。「中の羽毛が折れてしまう」というのが理由で、「羽毛が開いた状態のほうがより暖かさを感じられます。一度圧縮してしまうと、羽毛本来の暖かさを損なってしまうので圧縮袋の使用は避けてほしいです」と注意を促した。

とはいえ、家庭によってはふとんを収納するための押し入れがないということもあるだろう。そうした場合には、「湿気が篭らない場所であれば、クローゼットなどでも大丈夫です。場所は問わず、すのこを敷いたり、定期的に換気したりして、湿気に注意して保管してください。マストではありませんが、湿気を取ってあげるという意味では、除湿剤を活用するのもいいと思います」と説明した。

さらに、シーズンオフの場合にも、ふとんをしまいっぱなしにせずに定期的にケアすることを推奨する。「できれば2~3カ月に一度、天日干しをして湿気を逃してあげるといいです。しまっていたふとんを使い始める際にも、しっかり干して、カバーをつけてから使用を」とアドバイスした。

しまっている間も定期的にケアすることで次のシーズンも気持ちよく使えるだろう

ふとんは洗える? 汚れたときの対処法

近頃、洗濯機やコインランドリーでふとんが洗えるという情報を目にすることがある。ふとんを洗うことに関しては、寝具メーカーとして次のような見解を示した。「一般家庭の洗濯機で洗うことは基本的にはオススメしていません。綿素材だからOKというわけではなく、外側の生地の問題もあったりしますので、この素材だからOK、NGというふうに一概に言うことはできません」

森さんいわく、基本は洗濯表示に従うこと。羽毛ふとんの中には洗えるものもあるが、そういったタイプのものでなければ基本的には洗うことは想定されていない。ふとんの中まで乾かすことが難しく、羽毛に偏りが出てしまうこともあるため、洗えると謳っているもの以外は、カバーをこまめに交換するなど、日ごろのケアを十分に行なうことで対処するようにしたい。

一部のクリーニング店や寝具店などでは、ふとんの洗濯サービスを行なっているところもある。これに対しては「他社の製品についてはわかりかねますが、前述のとおり、当社の製品に関しては洗濯可能なもの以外は洗えないというのが基本です」。子供のおねしょなどでひどく汚れてしまった場合には、「汚れの量にもよりますが、水で濡らしてつまむように汚れを落とします。あまりにも汚れてしまった場合には洗濯表示を確認して、取扱店などにご相談ください」とのこと。

西川が販売するコインランドリーで洗える羽毛ふとん「ランドリエ」

シーツを洗う頻度は? ふとんを外に干せない場合は乾燥機を

このように、簡単には洗うことができないふとんだからこそ、日常的なケアがとても大切だ。とはいえ、大きなふとんのお手入れはそれなりに重労働。できるだけ負担を軽くするためのポイントを次のように語ってくれた。

「羽毛ふとんであれば、朝起きたときに4つ折りにして、手で空気を押し出すようにすると、中の湿気が逃げて新しい空気が入ってくるのでオススメです。一度ふとん全体をフワッと広げておくだけでも違いますよ」

起床後は4つ折りにして湿気を含んだ空気を押し出すのがオススメ

また直接肌が触れるシーツの洗濯頻度についても聞いてみた。

「やはり寝ている間にたくさんの汗をかきますので、下着やタオルと同じように、できれば毎日洗うのが理想的です。長くても1週間くらいを目安に取り替えましょう。ふとんのシーツやカバーは大物かつ付け外しも大変なので、夏場は洗いやすいタオルケットを使うと楽ですよ。マットレスにかけるだけのラップシーツも手軽でオススメです」

ゴムがついており、付け外しが簡単な「クイックシーツ」

定期的なふとん干しについては、1カ月に1~2回程度が目安とのこと。「晴れて乾燥している日の10時~15時くらいの時間帯に、風通しのいい場所で、片面1時間くらいずつ天日干しを行なうのが理想です。ふとんそのものの生地を守るため、干すときもシーツやカバーをかけたまま」だそうだ。

昨今の住宅事情や大気汚染などで天日干しがしづらい環境では、ふとん乾燥機を活用するのもいいそうだ。天日干しとふとん乾燥機は「どちらもやらないほうがよくない」とのこと。「まったくやらないよりは、ふとん乾燥機を使って乾かしたほうが、本来の品質を維持して寿命を延ばすことにつながります。取扱い説明書に応じて適切な使い方をしてください」

羽毛の品質を維持するためにも、定期的な天日干しやふとん乾燥機の使用を推奨している

ふとんの繊維のすき間に入ったゴミを取り払うふとん叩きに関しては「強く叩かず、払うようになでるようにしてください。敷ふとんもやさしくがベターです。ウレタンのマットレスなどは叩くと劣化してしまうので、ゴミは粘着ローラーで取る程度でも十分」とアドバイス。特に羽毛ふとんで注意したいのは、穴から出てしまった羽毛を引っ張り出すこと。「つまんで内側に入れるようにしてください」と補足した。

大切にケアを行なった寝具でも寿命というのはつきものだ。買い替えのタイミングについては「ボリュームがなくなり、ヘタってきて寒いと感じるようになったらそろそろです。カバーを外すと内側に羽毛が付着してしまっている場合や、外側の生地が薄くなってきたり、汗や皮脂で汚れている、ニオイが気になるといった場合も買い替えのサインです。羽毛ふとんなら購入後だいたい10年程度が目安ですね」と教えてくれた。

神野 恵美