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キャンプやイベントに重宝、大容量ポータブル電源。Jackeryが考える電源と今後の展開とは?

東京ビッグサイトで3月に開催された「二次電池展(バッテリージャパン)」のJackery Japanブース

ここ数年、ポータブル電源への注目度がさらにアップしている。スマートフォンやタブレットなどに接続して充電できる小型のモバイルバッテリーは以前から人気だが、パソコンや家電なども含めて給電しながら利用できる大容量なポータブル電源のニーズが高まっている状況だ。

数年来のアウトドアブームで屋外でも電化製品を使えるポータブル電源が人気になっているだけでなく、日本は世界でも有数の自然災害発生国ということもあって、防災の面でも注目されている状況だ。

Market Data Forecastによると、グローバルのポータブル電源市場は2020年の約3億3,000万ドルから毎年約7.5%程度成長し、2025年には4億7,400万ドルにまで拡大すると見込まれている。

こうした中で人気を博している企業の一つがJackery Japan(ジャクリジャパン)だ。このオレンジ色のデザインを見かけることも増えたのではと思う。同社は2021年2月に東京ビッグサイトで開催された「二次電池展(バッテリージャパン)」にも出展しており、多くの来場者から注目されていた。

同社がバッテリージャパンに出展した狙いや最近のユーザー動向、今後の展開などについてJackery Japan 経営管理部 部長の水嶋雅貴氏とマーケティング課 課長の平松孝太氏にうかがった。

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ポータブル電源の認知と活躍の場が広がった1年。気になる新製品も?

今回はブース中心に巨大なモニターを設置してさまざまな動画を再生しながら、テントなどのグッズを設置して“アウトドア感”が伝わってくる。出展目的や注目ポイントなどについて、水嶋氏は次のように語る。

Jackery Japan 経営管理部 部長の水嶋雅貴氏

「昨年出展した際に多くの来場者の方に興味を持ってもらい、製品を見てもらうことができました。昨年と比較してポータブル電源市場がさらに伸びており、また新たなお客様に出会える場として注目したことで今回の出展に至りました。ブースのコンセプトとしては、アウトドアのイメージを再現しつつ、大型のポータブル電源パネルにモニターを設置することでインパクトのある展示を行ない、より多くのお客様の目に止まるようなデザインとなっております。見どころは、今まで販売してきたポータブル電源とソーラーパネルを取りそろえて、お客様がさまざまな機器の使用体験をできることです。また、展示会限定で新たな製品を用意していますが、それは近いうちに皆様にお知らせできると思います」

アウトドアをイメージさせるブースデザインと、バッテリー製品を模したディスプレイなどで会場内でも注目された

ポータブル電源はJackery Japanが初めてバッテリージャパンに出展した2020年2月の時点でも盛り上がっていたが、その注目度は1年前に比べてさらに高まっていると水嶋氏は説明する。

「交通広告やテレビCMなどの大型マーケティング施策を行なっているのもあり、ブランド認知度が向上していることを感じます。年末に雑誌の『2020年ヒット商品ベスト30』にポータブル電源が取り上げられたこともあり、テレビの情報番組やバラエティ番組などで、トレンド情報やクイズの議題としてJackery Japanの製品が紹介されることが増えており、認知が高まってきていることを実感しています」

コロナ禍で需要の動きは変わったのだろうか。

「コロナ禍とポータブル電源の需要が直結しているわけではないとは思いますが、家庭での過ごし方や、少人数や外での楽しみ、ライフラインの意識向上など、ライフスタイルやユーザーの考え方が変化する中で、ポータブル電源の活躍の場が増えたのではないかと考えております」(水嶋氏)。

女性ユーザーが増加し、企業や自治体の用途が拡大

Jackery Japan マーケティング課 課長の平松孝太氏はユーザー層について、「男性が7割に女性が3割といった感じで、30代から40代が7割ほどを占めています」と語る。

「最初の方はほとんどのユーザーが男性でしたが、『#jackery』のハッシュタグでセンスのある写真がたくさんアップされていたり、女性のソロキャンパーが増えているといった影響もあって、女性ユーザーが増えています。キャンプやアウトドアが中心層ですが、最近では電動工具を用いるDIYユーザーなども増えているようです」(平松氏)

元々は電源のない場所で電源を確保できるということで、キャンプをはじめとするアウトドアのほか、多くの企業や自治体に災害時の電源対策として利用されてきたが、その用途も広がっているようだ。

Jackeryポータブル電源のラインナップ
モバイル機器から家電まで、コンセントのない場所でも使えるのが魅力

「例えばこの展示会などもそうです。ブースの下にはコンセントがありますが、自由に電気を使いたいと考えると、ポータブル電源があればどこでも電気を使えます。コンセントがある場所以外でも電気を使いたいという需要から、企業や工場などでご購入いただく場合が増えています」(水嶋氏)。

工場の場合、近くに電源がないと、どこかから延長ケーブルなどでつながなければならない。フロアに配線があると危険な場合もあるため、ポータブル電源を活用するケースがあるようだ。

「災害対策として置いておくだけでは、誰が管理するのかという問題も出てきます。普段も使えるようにして活用する方が、企業や自治体などにおいては予算も取りやすいのではないかと思います。特に企業の方の場合、日常的な活用法についても考えているお客様が増えてきていると実感しています」(水嶋氏)。

日常的に活用していると、いざという時にポータブル電源のバッテリーが残っていないといったケースも考えられる。

「ポータブル電源は1台に限らず、2台、3台持つこともできます。日常的に使いつつ、バッテリーがなくなったらもう1台を使いながら充電することで、いつでもバックアップをしておく運用もできます。アウトドアでも、ソーラーパネルで充電しながらもう1台を使用するといった使い方も可能です」(水嶋氏)。

充電用のソーラーパネル「SolarSaga」(右)などもラインナップしている

Jackeryのポータブル電源は7~7.5時間で充電が完了するため、それ以上長時間使用できる機器ならバックアップ台数は1台で済む。そこまで持たない機器でも、バックアップを複数台そろえることで運用できる。普及が進めば、よりバラエティ豊かな運用方法や活用方法が生まれそうだ。

ポータブル電源の新たな用途としては、カメラマンの照明機材や、ヘアメイクが使うドライヤーなど、屋外または屋内でも電源を確保しにくい場所で使うケースが増えているとのこと。

「発電機を使うと音が気になりますが、ポータブル電源は静かなのに加えて安心・安全です。照明や音響機器など、屋外イベントなどで使われるケースは今後増えてくると思います。釣りに持っていく人や、外でゲームをしたり、プロジェクターを使って映画を見たりと、屋外でちょっとリッチな生活をしたい人が使うケースもあるようです。家でできることをそのまま外に持ち出したいという感覚ですね」(平松氏)

現在は自社サイトとAmazon、楽天、PayPayモールで販売しており、「今後は、企業や自治体などB2Bの販売も念頭に置いて事業を展開していく予定です」(水嶋氏)という。

そのほか、オートキャンプ場でレンタルサービスをしたいという声もあるという。

「キャンプ場やグランピング場にも初心者の方が多く来られているので、そういった方に気軽にキャンプやグランピングができるように、電源を確保できるサービスをさまざまなところで検討されているようです」(水嶋氏)。

Jackery製品の強みは使い勝手と安全・安心なものづくり

ポータブル電源製品は数多くあるが、Jackery製品の強みはどこにあるのだろうか。水嶋氏はその機能面について「製品の前面にすべてのポートを配置しております。側面や背面にあるとどこにどの端子があるのか分かりにくいので、見た瞬間に使いやすさが分かるようにしています。また、製品の取っ手の部分が収納できるようになっており、収納する際に場所を取りません。そういった便利さも利点だと思います」と答える。

さらに、同社のものづくりやサービスへの考え方についても教えてくれた。

「会社の理念として、『いつでも、どこでも、誰とでも、自由に安心して使える』製品を提供することを念頭に置いて製品作りやサービスを行なっております。製品の安全性に関しては、お客様の声を日々モニタリングしながら、グループ会社である工場へ情報のフィードバックをすることで、より良い製品やサービスの提供に積極的に取り組んでおります」(水嶋氏)。

Jackery Japanは今後どのようにビジネスを展開していくのだろうか。

「ポータブル電源のリーディングカンパニーとしての自覚を持って昨年に引き続き製品を提供しておりますが、正直ここまでのブームが起きたのは想像以上です。ただ、ブームの理由としてはアウトドアであったり、防災意識の高まりであったりと、外的要因の影響が大きいです。今後も引き続きより良いサービスを創出していくのはもちろん、私達が自らムーブメントを起こせるようなブランドを築き上げていきたいと思っております。まずは近いうちに皆様に新たなご報告ができるので、それを楽しみにしていただければと思います。今年はB2B向けの営業にも力を入れていき、より多くの企業や自治体、各団体にも広く知っていただき、弊社の製品の活躍の場所をどんどん広げていきたいと考えております」(水嶋氏)。

(協力:株式会社Jackery Japan)