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“優しさ”を備えた深澤直人監修の無印良品キッチン家電。“満を持して”発売
(2014/2/7 17:14)
キッチン家電は生活雑貨と同じように考えるべき
無印良品は、キッチン家電の新たなラインナップを3月6日より順次発売する。冷蔵庫3機種、オーブンレンジ類3機種、オーブントースター、ポップアップトースター、炊飯器、電気ケトル、ジューサーミキサーなど全11機種。プロダクトデザイナーの深澤直人氏が全てのデザインを監修する。
今回のプロジェクトは、2012年の冬から「イチからのスタート」として取り組んだもの。今回の発表会では、深澤氏自らが製品説明を行なった。
深澤氏は、「家電製品は自然のなりゆきとして日々変化している」と説明。同氏は、家電を壁(家)と人の間にあるモノと捉え、それらは壁か人のどちらかに寄っていっているとする。
「例えば、テレビは壁掛けできるようになって、電話は持ち歩くようになった。技術の進歩により、人の生活はより整然とするようになった。その中でも残っていくものがある。例えば、テーブルや椅子などの生活雑貨がそれにあたる。私はキッチン家電というものは、そういった生活雑貨と同じように残っていくものだと思っている」
デザインに関しては、「壁に近いものほど四角く、人に近いものほど丸いという1つの考え方がある。今回のキッチン家電に関しても、これを当てはめて、壁に近い冷蔵庫やオーブンレンジは四角く、手元で使う電気ケトルや炊飯器は丸いデザインを採用している。デザインを考える時には、そのモノのポジションを考えるのが重要」だと話した。
また、今後の家電製品に関しては「家電製品は産業を牽引する重要なものだが、競争の激化によってメーカーやお客さんが少し疲れてきているようにも感じる。高機能なものはそれはそれでいいが、『これくらいでいいのに』と思うお客さんもいる。今後は、無印良品のような生活雑貨を扱うブランドが家電製品を扱うようになるだろう」とした。
それぞれの製品の詳細についても、深澤氏自らプレゼンテーションを行なった。
フラットな鋼板と、シンプルなハンドルを採用した冷蔵庫
電気冷蔵庫は355Lの4ドアタイプと270Lの3ドアタイプを用意する。価格は順に110,000円、90,000円で、発売日は3月6日。デザインに関しては、「冷蔵庫は壁に近い製品なので、四角さをイメージした」(深澤氏)という。表面のドアはフラットな鋼板を採用しており、ハンドルもストレートでシンプルなデザインを採用。
また、6月にはステンレスドアを採用した355Lタイプも発売される。価格は150,000円。「ステンレスドアを使った冷蔵庫は今、買おうと思ってもなかなかない。無印良品でも出すのは9年ぶりとなるが、何度もリクエストがあった製品」(深澤氏)だという。
355Lタイプの本体サイズは600×662×1,729mm(幅×奥行き×高さ)。270Lタイプは600×657×1,419mm(同)。なお、冷蔵庫に関しては本日より、インターネット上で先行予約をスタートする。
角と丸を組み合わせた電子レンジ
電子レンジは、「赤外線センサーオーブンレンジ・21L」、「オーブンレンジ・15L」、「電子レンジ・19L」の3機種を展開。価格は順に25,000円、15,000円、12,000円。発売日は3月6日。
「電子レンジも壁に近い製品だが、インターフェースの部分を黒くすることで、横長のイメージを作っている。またインターフェースの部分は角を取って丸くしているのもポイント」だという。全ての機種でダイヤル式の操作を搭載する。
「赤外線センサーオーブンレンジ・21L」の本体サイズは480×408×305mm(同)。「オーブンレンジ・15L」の本体サイズは450×366×292mm(同)。「電子レンジ・19L」は、460×333×265mm(同)。
しゃもじ置きを備えた炊飯器
「しゃもじ置き付き炊飯器・3合」は、4月10日発売で、価格は8,900円。同様の機能を搭載した炊飯器は12年前にも一度発売しているという。
「ごはんをよそった後のしゃもじの置き場所って、意外となかった。炊飯器の上に置こうとしても、ほとんどの炊飯器は上が曲線になっているので、しゃもじは置けない。そこで、しゃもじ置き付き炊飯器では、天面をフラットにして操作スイッチを前面に配置している。デザインに関しては、人が最も好む形と言われている四角丸を採用。これは枕の形であったり、角がとれた石けんのような形のことで、優しさが感じられるようなフォルムだ」(深澤氏)
本体サイズは、208×254×186mm(同)。
優しい形のポップアップトースター
「ポップアップトースター」、「オーブントースター・縦型」はいずれも4月10日発売で、両機種とも価格は5,900円。
「ポップアップトースターは、炊飯器と同様、丸みのある優しい形を採用。オーブントースター・縦型は、電子レンジと同様、黒いインターフェースを採用する」(深澤氏)。
ポップアップトースターの本体サイズは250×165×195mm(同)。オーブントースター・縦型の本体サイズは230×255×325mm(同)。
やさしいくびれのジューサーミキサー
「ジューサーミキサー(ミル機能付)」は4月10日発売で、価格は4,900円。「やさしいくびれを付けている」(深澤氏)。
容量は400mlで、本体サイズは145×116×284mm(同)。
水差しのような電気ケトル
電気ケトルは、4月10日発売で、価格は4,900円。
「水差しのようなデザインをイメージした。デザインをした後に、別の仕事で中国の5,000年前の土器を見る機会があり、同じようなカタチをしていたので、感慨深い想いになった」(深澤氏)
本体サイズは205×155×195mm(同)。作った本人も驚く価格設定
今回のデザインに関して、深澤氏は「昔の社会というのは、もっとぐちゃぐちゃしていたが、今は派手なものよりも、整ったところを求めている。そこに無印が馴染んできた。ただし、無印良品も昔のように、単に白く、四角いというだけではダメ。親しみのある魅力が必要。無機質から優しさへデザインも変化している」とした。
製品価格に関しては「作った本人からしても『え、この値段でこれが買えるの?』と驚いてしまうような価格設定。ぜひ、プレゼントとしても活用してもらいたい」と語った。
無印良品は中国で100店舗を展開するなど、グローバル展開が進んでいる。今回のキッチン家電に関しても、今後中国での販売が予定されているという。
これに関しては「中国で100店舗を展開できているというのは、無印の力がすごいというわけではなく、求められていた必然に収まったという印象。今後は、ただ単に製品を輸出するのではなく、どうやって生活することが心地よく、豊かなのかというライフスタイルを輸出する時代。そういったライフスタイル輸出には無印良品というのはぴったりのブランドだと思う。これまでアジア諸国での日本企業は、現地でのマーケティングを入念に行ない、それに合わせた製品を発売していたが、そうではなくて、良いこと、良い物を踏襲していきたいというベースがあるのが無印良品だ」とコメントした。