家電製品ミニレビュー
無印の省スペースな超音波式加湿器
by 伊達 浩二(2013/11/28 07:00)
無印の新しい加湿器
今回は、無印良品の新しい加湿器を紹介する。「TPK‐MJU300」(以下、MJU300)という超音波加湿器だ。
去年までの無印の加湿器は、大きめの製品はスチームファン式、小型の卓上型は超音波式だった。しかし、TPK‐MJU300は、適用畳数が和室で5畳、洋室で8畳という、そこそこ広いエリアを対象とする製品ながら超音波式が採用された。超音波式になったことで、どのあたりが変わったのかレポートしていこう。
メーカー名 | 無印良品 |
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製品名 | 超音波加湿器 TPK‐MJU300 |
購入場所 | 無印良品ネットストア |
販売価格 | 6,900円 |
底面積が小さく、背が高いデザイン
MJU300は、底面積が小さく、背が高い、細長く見える。必要な接地面積は132×132mmなので、CDケースより一回り大きいぐらいだ。本体の高さは323mmで、30cmちょっとある。
無印良品の製品らしく、本体はホワイト一色で、シンプルなデザインだ。本体の上部に突き出ているL字型のパイプのような吹出口が、デザインのアクセントになっている。
スイッチ類も少なく、電源スイッチが1つあるだけだ。LEDも電源の確認と、水タンクが空になったときの給水ランプの2つしかない。
電源はACアダプター
MJU300を動作させるのに必要なのは、電気と水だけだ。
電源は、付属の24V/1.0AのACアダプターから供給される。ACアダプター本体にブレードがあり、コンセントに直に挿すタイプだ。電源コードの長さは約1.4mある。
水タンクは分離式で、本体内から引き出して注水する。水タンクの容量は1.8L(1,800ml)、水タンクの高さは約20cmほどだ。片方に取っ手が、反対側に注水用の穴がある。
水タンクの取っ手は大きく、引き出しやすい。注水時は、タンクを上下にひっくり返して注水し、栓をしっかり締める。タンクの取り扱いについて、とくに難しいところはない。
なお、水タンクに入れる水は、40℃以下の水道水と指定されている。井戸水やミネラルウォーター、浄水器の水などは使わないように指示されている。
また、水タンクから出た水を受ける部分には、抗菌剤入りのカートリッジが装備されている。加湿に使われる水はこのカートリッジを通ることで、殺菌される。殺菌剤の寿命は、1日8時間、年間180日の使用で約5年と長いので、メンテナンスにはあまり気を使わなくて良いようだ。
家具などの上に置くことを想定
MJU300は、設置場所への指定がきびしめだ。周囲の壁から30cm以上離すというのは、よくある指定だが、床や畳の上に置かないように指定されているのは、ちょっと珍しい。取扱説明書には、「つまづいてけがをしたり、加湿器が倒れて水がこぼれ、故障の原因になります」と書かれているので、本体が倒れることを警戒しているようだ。また、カーペットやじゅうたん、布団の上などに置くことも、「底部にある吸気口がふさがれて故障の原因になる」という理由で禁止されている。
指示に従うと、棚やチェスト、机など高さが1m以下の低い家具の上に置くのがよさそうだ。今回の試用では、手頃な場所がなくて、一部の写真は床の上に置いて撮影している。あしからず、ご了承いただきたい。
さて、電気と水の準備ができたら、電源スイッチを入れる。超音波式なので、加湿の立ち上がりは早く、すぐにミストが出始める。
MJU300は、本体の底で発生したミストを、ファンで送り出しているので、かなり勢い良くミストが出てくる。また、本体の上部に出ているパイプのような吹出口から出てくるので、ぼんやりと広がるというよりは、特定の方向へ吹き付ける感じだ。室温が20℃の状態でも、かなりもうもうとした感じで、飼い猫の鉄蔵が不審がるほどだ。まぁ、超音波加湿器は、ミストも本体も熱くならないので安全だ。ペットを飼っている家には向いている。
試用は7畳ほどの洋室で行なったが、動作開始時に30%を切っていた湿度が、1時間ほどで45%まで加湿された。また、加湿器は床に置いた状態だったが、周囲の床が濡れることもなく、加湿量は適正な印象だった。加湿量の調整をするボリュームスイッチなどがないので、ちょっと不安に思っていたが、これなら問題はないだろう。
また、消費電力は28Wとされている。超音波式なので、消費電力は安定しており、急に増えたりすることがない。電気代は、だいたい1時間当たり1円強と思っていればいいだろう。スチーム式に比べれば、電気代はずっと安く、これが超音波式に切り換えた最大の理由だと思う。
また、水タンクの容量は1.8Lと書いたが、水が切れるまで6時間半運転できた。ほぼカタログ値の通りだ。
超音波式としてはにぎやかな製品
MJU300は、超音波加湿器としては、にぎやかな部類に入る製品だ。まず、ミストを送り出すためのファンがジィーという音を常に立てている。また、水タンクから、ミストの発生器に少しずつ供給される水が垂れる際にコポッという音が、それなりの頻度で聞こえる。
特にファンの音は、常に鳴っているので、もう少し抑えて欲しい。就寝時には、ちょっと気になる音質なので、寝室で使うつもりの人は、店頭で確認してほしい。
なお、MJU300を使っているときに気を使ったのは、移動させるときに、水タンクをそのままにせず外すことだ。水タンクを揺らすと、本体内の水位が高くなり、ファンの通気口から水が入りやすくなって、故障の原因になる。部屋の間を移動するような使い方よりは、置く場所を固定するような使い方が向いている。
すっきりした役割とデザイン
ここ数年の無印の加湿器は、アロマオイルのディフェーザー機能を備えている製品が多かった。去年の無印の加湿器は、製品名が「スチームファン式アロマ加湿器」と名乗っていたぐらいだ。
しかし、MJU300は、「アロマオイル、芳香剤、香水、洗剤などとの併用はできません」と明記されている。MJU300は、超音波式だから、ディフェーザーの機能を持たせることは難しいことではない。つまり、「できない」のではなく「やらない」という選択なのだと思う。加湿器は加湿器、ディフェーザーはディフェーザーという使い分けをはっきりさせたのだと感じる。
ディフェーザーの機能を持たないことで、アロマオイルを入れるための小さい部品が不要になってメンテナンスは簡単になったし、複数のオイルを使い分ける際の、本体についた匂いが混ざってしまうようなこともなくなる。機能が減って残念に思う人もいると思うが、私はMJU300の選択に賛成したい。
無印らしいシンプルな製品
MJU300は、加湿量の調整もできないし、タイマーもなく、アロマオイルにも対応していない。
それだけ聞くと、なんとなく残念な感じがするが、実際に使ってみると、とても分かりやすい製品だ。電源スイッチ以外は、操作する部分もないシンプルさは気持ちが良い。細長い本体は好き嫌いがあるかもしれないが、コンパクトですっきりとしたデザインは無印良品らしい。
なにより、必要な機能だけを、シンプルで美しい形で提供するという無印良品のコンセプトには、より合致したものとなった。無印良品のファンの人以外でも、シンプルなデザインの加湿器がほしいという方には、貴重な製品だ。