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コードレスキッチンも夢じゃない、ワイヤレス充電「Qi」の未来像

 映像・情報・通信機器の総合展示会「CEATEC JAPAN(シーテックジャパン) 2013」が、千葉県千葉市の幕張メッセで開幕する。開催日程は10月1日~10月5日の5日間。一般公開日は10月2日~4日で、入場料は1,000円だが、事前登録を行なうことで無料となる。最終日の土曜日は無料。

ワイヤレス充電「Qi」は、よりパワフルに、幅広い用途へ拡大

ワイヤレスパワーコンソーシアム(WPC)のブース

 ワイヤレス充電の国際標準規格「Qi(チー)」を提唱するワイヤレスパワーコンソーシアム(WPC)のブースでは、「広がるQiの世界」というコンセプトのもと、製品開発に携わる各社の取り組みが紹介されていた。

 ワイヤレス充電「Qi」とは、送電側と受電側にコイルを搭載し、そのコイル間の電磁誘導によって電力を伝える技術。

 「Qi」製品の最新の動向として、従来通りの出力5Wの「ローパワー」と呼ばれる充電器と、それに対応するスマートフォンやモバイルバッテリーのラインナップが拡充している。さらに、10~15Wと高出力で、タブレット端末も充電できる「ミッドパワー」と呼ばれる領域の製品開発が活発化している。

送電コイルを搭載する充電用パッド。スマートフォンやモバイルバッテリーを置くだけで充電できるというもの
エム・シー・エム・ジャパンのワイヤレス充電パッド「WoW5」は、一度に最大5台の端末を充電できるというもの。端末はどこに置いても良い

 ソニーは、薄さとハイパワーを両立させた「非接触給電10W受電ソリューション」を紹介していた。極細の導線を2本より合わせたコイルは、スマートフォンなどに搭載しても本体が分厚くならない。また、10Wのハイパワー受電により、充電時間は受電電力5W 1Aの場合に比べ、半分に短縮するという。

 一方で、薄型化、ハイパワー化による発熱というデメリットに対して、ソニーでは送電の際に、電圧を上げて、電流を減らすことで発熱を抑えている。

スマートフォンのカットモデル。「非接触給電10W受電ソリューション」を採用した受電コイルが見える。左は充電端末
充電端末に乗せると自動で充電が始まる
接続した計測機器は、確かに充電できていると示した
ブースでは、「コードレスキッチン」というコンセプトを提案

 こうしたワイヤレス充電の高出力対応への動きに合わせて、使用シーンの多様化も想定されている。例えば家庭のキッチンでは、送電コイルを埋め込んだ調理台にミキサーを置くだけでコードレスで使えたり、同じくテーブルに置くだけで電気ケトルを作動させる、などの「コードレスキッチン」という使い方のコンセプトが提示されていた。キッチン回りをコードレス化することで、調理時に動きやすくなったり、調理台やテーブルがすっきりと清潔になるという。

 自動車内でのワイヤレス充電も紹介されていた。台湾メーカーLite-On ITとオランダのフィリップスの合弁会社であるPIDS(Philips & Lite-On Digital Solutions)は、スマートフォンを自動車内でワイヤレス充電しながら、NFCやBluetooth通信によってスマートフォンに記録されている音楽を流すという使い方のデモを行なった。

PIDSは、自動車でも「置くだけで充電」を提案
自動車でスマートフォンをワイヤレス充電しながら、スマートフォンに記録されている音楽を流すデモも紹介されていた

 なお、世界標準のQi規格は、2013年9月現在、世界で170社以上が参画している。

小林 樹