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タイガー、300℃の高温で土鍋をかまど炊きする14万7千円の炊飯器

~tacookの5.5合/1升モデルも

 タイガー魔法瓶は、約300℃の高温でごはんをふっくらと炊く高級炊飯器「THE 炊きたて JKX-S100」を、7月21日に発売する。希望小売価格は147,000円。

内釜外側の温度は最大約300℃。ふっくら、もちもちとしたごはんを炊く

THE 炊きたて JKX-S100

 タイガーの炊飯器では最高級モデルに当たる、5.5合炊きのIH式炊飯器。前年モデル「JKX-A100」と同様、素焼きの陶器に釉薬(陶器の表面を覆う薬)をかけて焼いた「本土鍋」を内釜に採用している。本土鍋は土でできているため蓄熱性が高く、炊飯時に沸騰が継続しやすいため、芯からふっくらとしたごはんを炊きあげるという。

 新製品では、内釜と本体が接合する本体内部に、遠赤効果のある釉薬を塗布した点が特徴。本体から内釜に対する遠赤放射率は、従来モデルから約23%向上した。この結果、内釜外側の最大温度は約300℃と非常に高温になり、より連続して沸騰できるようになった。同社ではこの構造を「遠赤天然土かまど」と称しており、ふっくら、もちもちとしながら、一粒一粒がしっかりおいしいごはんが炊けるとしている。

内釜には土でできた「本土鍋」を採用。付属のフタを使うことで、おひつとしても利用できる
本体内部に、遠赤効果のある釉薬を塗布した
最高で約300℃の高温による炊飯ができるという
本土鍋には、6層のコーティングが施されている
炊き上がったごはん

 圧力炊飯機能も搭載する。炊き上げ時には1.25気圧を掛け、粘りともちもち感を引き出すが、その後、1.05気圧まで一気に減圧することで、急速な沸騰を起こす。これにより、鍋底に溜まった「おねば」が内釜全体に行き渡り、ごはん一粒一粒がおねばでコーティングされる。甘みのある、しっかりとしたごはんに仕上がるという。

圧力炊飯機能も備える
1.25気圧を1.05気圧に可変することで、おねばを行き渡らせる
JKX-S100の炊飯プロセス

 デザイン面では、従来モデルにあった背面の約3cm程度の出っ張りをなくし、フラットな形状とした。同社ではこれを、どこから見ても美しい「360°デザイン」と呼んでおり、対面型、アイランド型のキッチンにおすすめとしている。

 本体のモニターには、視認しやすいように文字が光る「文字くっきり液晶」を採用。“好評”という音声ガイド機能も備えている。また、内釜をおひつとして使用するため土鍋フタも付いている。

本体背面の出っ張りをなくした
本体を横から見たところ
対面型、アイランド型のキッチンにも向くという
発表会にて提供されたごはん。ふっくらとして、一粒一粒が立ったうえに甘みがある、とてもおいしいごはんだった

 本体サイズは265×309×251mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は7kg。炊飯容量は0.18~1L。最大消費電力は1,180Wで、年間消費電力量は75.2kWh/年。保温時間は最大24時間まで。本体カラーはマットブラック。

 下位モデルとして、遠赤天然土かまどと土鍋フタを省いた「炊きたて JKX-G型」も、同時に発売する。希望小売価格は5.5合炊きの「JKX-G100」が126,000円、1升炊きの「JKX-G150」が128,100円。

下位モデルにも360°デザインを採用。tacookには5.5合/1升炊きモデルも

 JKX-S、JKX-Gに次ぐモデルとして、「JPB-A型」「JPB-B型」の2シリーズも、8月21日に発売する。JKX-A100と同様、圧力炊飯機能、360°デザインを採用するが、本土鍋ではなく土鍋コーティングが施された内釜を使用する。JPB-A型は9層、JPB-B型は5層の内釜を採用する。

 希望小売価格は、5.5合炊きの「JPB-A100」が88,200円、「JPB-B100」が65,100円。1升炊きの「JPB-A180」が91,350円、「JPB-B180」が68,250円。

JKX-S100の下位モデルとなる「JPB-A型」
JKX-S100と同様、圧力炊飯機能と360°デザインを採用する

 さらに、炊飯と同時におかずの調理ができる炊飯器「tacook(タクック)」シリーズの新製品として、炊飯容量が増えた「みんなのtacook IH JKT-S型/JKT-A型」4機種も。8月21日に発売する。

 tacookシリーズではこれまでに、マイコン式で3合炊きの「JAJ-A型」、IH式で3合炊きの「JKU-A型」が販売されていたが、新製品ではIH式の5.5合炊きと1升炊きが用意される。またJKT-S型では、フタが丸洗いできる新構造を採用している。JAJ-A型の希望小売価格は、5.5合炊きの「JKT-S100」が48,300円、1升炊きの「JKT-S180」が51,400円。

ごはんとおかずが同時に作れる「tacook」では、新たに5.5合炊き、1升炊きを追加した
tacookシリーズ

タイガー菊池社長「ごはんのおいしさに加え、付加価値でも競争していきたい」

 発表会には、タイガー魔法瓶の菊池嘉聡 代表取締役社長が登壇。菊池社長は同社の炊飯器の売上について「昨年販売した『炊きたて』はおかげさまで好評をいただき、社内の計画を上方修正して、約2万台を売り上げた。弊社の炊飯器事業全体でも、台数ベースで前年比160%の伸びを記録した」と、好調であることをアピールした。

 また、タイガーのソリューショングループ 商品企画チーム 主査の金丸等マネージャーは、炊飯器は生活家電分野の中で“優等生”であることも指摘した。

 「お米の市場は、この20年で消費量が減っており、消費額はパンに抜かれている。その一方で、炊飯器の販売台数は600万台で維持し続けており、しかも8年連続で平均単価が上昇している。安定した買い替え需要と、おいしさを求めるニーズが支えている」(金丸氏)

タイガー魔法瓶の菊池嘉聡 代表取締役社長
タイガー魔法瓶 ソリューショングループ 商品企画チーム 主査の金丸等マネージャー
米の消費量は年々減っており、パンよりも下回ってしまった
しかし、炊飯器の需要は約600万台を維持している
炊飯器の平均単価は8年連続で上昇。「炊飯器は生活家電分野の“優等生”」(金丸氏)

 しかし菊池社長は、“高い炊飯器=おいしい”という風潮に懸念を示している。そのうえで、今回最高級モデルに加え、tacookなどのラインナップを増やした意図として、“多価値化”の狙いがあることを説明した。

 「炊飯器市場は競争が激しく、“高い商品イコールおいしい商品”ということを各社が説明しているが、お客様が店頭に行った時に、どれを選んで良いのかわからず、悩んだ結果、店頭の人がオススメした商品を購入する構図になっているのでは。

 タイガーでは、ごはんのおいしさのほか、付加価値の提供でも競争していきたい。おいしさ以外の価値という一軸の訴求に加え、それ以外の競争軸として“多価値化”において、さらなる訴求を進めたい」(菊池社長)

タイガーの炊飯器のテーマは「多価値化」
今回投入する3シリーズも、多価値化をコンセプトとしている

 菊池社長はさらに、タイガー魔法瓶が2月に創業90周年を迎えたことに触れ、今後の事業について「さらなる挑戦を続けていくに当たり、創業の原点に立ち戻り『食卓にぬくもりの魔法を』を企業のスローガンとして、再度新しい挑戦をスタートする。『炊きたて』は1970年に、タイガーでは初めての電気製品として産声を上げたが、さらなるおいしいごはんへの挑戦を続けていきたい。」と意気込みを見せた。

倉科カナさん「土鍋の力はスゴイ」

タイガー魔法瓶のテレビCMキャラクターを務める、女優の倉科カナさん

 発表会にはさらに、タイガーのテレビCMキャラクターを務める、女優の倉科カナさんが登壇。普段から「THE 炊きたて」を使っているという倉科さんは、その味について「ふっくらもちもちと炊けて、ごはん一粒一粒が立っていて、存在感があっておいしいです。土鍋の力はスゴイなと驚かされます。高温で炊きあげるので、ひと口目の感覚が違いますね」と評価。さらに「おこげもできるので、ひと味ちがうごはんも楽しめます」と絶賛した。

 倉科さんが登場するTHE 炊きたての新CMは、7月26日から放映される。

倉科さんはテレビCMと同じ着物で登壇
舞台でくノ一(くのいち)役を演じるという倉科さんは「ベッドの上で刀を抜いて“ヤー”とやっています」とくノ一のアクションを見せる。「おいしいものを食べるのは幸せなので、体重なんて気にしません!」(倉科さん)

正藤 慶一