LED市場はシーリングライトが好調。LED電球のピークは近い――富士経済調査

 富士経済は、LEDや有機ELの国内照明市場の動向調査を発表。市場は前年の約2倍に拡大し、特にLEDシーリングライトが伸長した。一方で価格下落が進み、金額ベースでの市場は中長期的に頭打ちになると予測している。

2011年国内市場は前年比2.6倍に拡大。LEDのピークは近い

 LED全体の国内市場は、前年比2.6倍の2,212億円に拡大。震災後の節電対策として需要が増加した。2012年はさらに3,738億円、2020年には4,595億円にまで拡大することが見込まれているという。

2011年の国内市場は前年比2.6倍に拡大

 品目別では、住宅の主照明となるLEDシーリングライトが同比66.7倍の200億円へと躍進した。LED電球は前年に引き続き好調に拡大し、同比1.7倍の210億円となった。

 同社によると、LED照明の市場は引き続き堅調に拡大していく見通しだが、一方で低価格化が進み、金額ベースでの伸びは低いという。

 特に、LED電球や直管形LEDなど「LED管球ランプ」は、交換頻度が低い上に、低価格化の進行が早いため、金額ベースの市場は中長期的に頭打ちになってくる。また、LED電球も価格の下落が早く、ピークは数年内に訪れると指摘する。このため、2020年市場規模は、2012年を下回ると予測している。

照明器具のLED化比率は全体の4分の1に増加

 照明器具のLED化比率は、2010年の12.1%から、2011年は24.7%となり、照明器具全体のおよそ4分の1を占めた。ダウンライトやスポットライトなどの間接照明に加えて、住宅のシーリングライトなど主照明においても、LED照明の導入が進んでいる。2012年のLED化比率は38.2%、2020年には57.9%に広がると予測されるという。

照明器具のLED化比率は、およそ4分の1に至った

有機EL照明の市場拡大には、性能向上とコスト低減がカギ

 LEDに次ぐ次世代照明とされる有機ELは、2011年に照明器具の商用販売が開始され、市場が形成された。現在の用途は、携帯電話やスマートフォンなどの小型ディスプレイの光源が大半を占めているが、今後は大型ディスプレイの光源や照明へ広がる見込みという。2011年の需要は1.7億円だったが、2012年には11億円、2020年には1,085億円にまで拡大すると予測されている。

 ただし同社では、光源の性能向上とコストの低減が、市場拡大のカギを握ると指摘している。性能面では、発光効率、輝度、寿命を実用可能な水準まで引き上げ、コスト面では、本格的な量産を開始して、製造コストが大幅に下がることが期待されるという。






(小林 樹)

2012年4月6日 00:00