2020年のLEDパッケージ市場は、2010年比で56%増の1兆5千億円に――富士経済

 富士経済は、LEDや有機ELなど光源/照明市場と参入企業の調査結果を発表。2020年のLEDパッケージ市場の世界市場は、2010年の約55.7%増となる1兆5,040億円になると予想した。

 同社によれば、液晶バックライトの主光源や一般照明、自動車の外装用ランプなどでLEDが台頭しており、特に日本国内の節電ニーズで、LEDの管球ランプやLED照明器具の需要が拡大しているという。なお、2010年のLED世界市場は、2009年比で69.4%増となる9,660億円だった。

 また、2010年におけるメーカー別のLED事業の規模は、日本の日亜化学工業が首位となった。2位はOSRAM Opto Semiconductors、3位がAixtronというドイツ勢で、4位はアメリカのVeeco、5位が韓国のSamsung LED。富士経済では、上位企業は台湾/韓国/日本系のLEDチップおよびパッケージを主力事業とするメーカーが中心で、特に窒化ガリウム系(GaN)のLEDチップまたは白色LEDパッケージに強みを持つ企業が上位に位置しているという。

 2011年に量産が開始された有機EL市場については、2020年には3,450億円市場に成長するとの予測。市場形成初期は、発光効率やコストから演出・装飾照明向けに出荷されるため、一般照明への採用には時間が掛かるとのことだが、高い市場ポテンシャルを期待し、参入するメーカーが増加しているという。今後については、光源としては発光効率の向上や長寿命、低価格化が、照明器具としては面発光という特徴を活かした照明設計や用途の開拓が、それぞれ求められるという。

 2010年時点における、有機EL市場のメーカー別市場規模は、本格的に出荷されていないためデータはない。しかし富士経済では、コニカミノルタとフィリップス、三菱化学と東北パイオニア、出光興産とパナソニック電工のように、メーカー同士のアライアンス(企業間の連携)の強化が活発化している点を指摘。加えて、材料メーカーや照明メーカーなどさまざまな事業者が参入していることから、市場の本格形成に伴って、参入企業の増加や企業間の新たな事業連携の動きが活発化すると見ている。

 一般照明器具の世界市場は、新興国での普及が進むことで、2020年に13兆円になると予想。これは2010年の7兆円の85.7%増に当たる。一方、先進国ではLEDや有機ELが普及しながらも、既存のランプ市場は成熟しているという。これを受けて、パナソニック、シャープや東芝ライテックなど照明メーカーは、国内から海外市場への本格展開を開始しており、さらにLEDや有機EL照明事業など、新照明への投資も積極的に進めているという。






(正藤 慶一)

2011年9月9日 00:00