2012年度の白物家電出荷額は前年度比4.3%減に。省エネ家電の普及に期待
――JEMA調査

 一般社団法人 日本電機工業会(JEMA)は、2011年度および2012年度の電気機器の国内生産・出荷に関するレポートを発表。2012年は厳しい事業環境が予想されるが、消費者の節電意識の向上による省エネ家電の普及に期待がかかるという。


生産部門は海外シフトが進みさらなる減少へ

 生産部門については、2011年度は対前年8.2%減の1兆6,924億円だった。これは、リーマンショックにより落ち込んだ2009年度の1兆6,024億円に次ぐ低い水準になるという。

 分野別では、洗濯機が同7.5%増と好調だったものの、エアコン(同7.8%減)と冷蔵庫(同7.4%減)は落ち込んだ。エアコンは上期で対前年6.7%と好調だったものの、下期は好調だった前年同期の反動で、同23.4%減となっている。

 2012年の生産見通しについては、2011年度比で6.9%減となる1兆5,754億円になる見通し。円高の進行や家電各社のグローバル展開で、海外生産シフトがさらに進むという。分野別では、エアコン(同8.6%減)、冷蔵庫(同8.1%減)、洗濯機(同9.4%減)と、軒並み減少が見込まれている。

白物家電機器における、2010~2012年度の国内生産実績・見通し


出荷額は2011年を下回るものの過去10年の平均は超える。省エネ家電に期待

 出荷部門では、2011年度は対前年比で4.1%減となる2兆1,520億円となる見通し。上期は東日本大震災の復興需要や節電意識の高まりによる省エネ製品への買い替えで、家電エコポイント特需となった2010年上期を上回ったものの、下期で大きく下回った。しかし、過去10年では2010年度に次ぐ高い出荷額になるという。

 2012年度は、2011年度比で4.3%減となる2兆592億円が予想されている。通常の買い替え需要をベースとした市場に戻るものの、消費者の省エネ製品に対する関心が継続することで、過去10年の平均値である「2兆296億円」を若干上回るという。

 分野別では、2011年の猛暑による反動でエアコンが同7.7%減に落ち込むという。さらに冷蔵庫(同5.8%減)、洗濯機(同4.1%減)でも、前年を下回る予想となっている。

白物家電機器における、2010~2012年度の国内出荷実績・見通し

 JEMAでは2012年度について、雇用・所得環境の低迷や、景気の先行き不透明感、電力供給の不安などで、厳しい事業環境になると予測している。一方で、消費者の節電意識の向上で省エネ家電が一層普及することに加え、清潔・健康・快適生活志向の高まりに期待したいとしている。






(正藤 慶一)

2012年3月16日 18:05