パナソニック、配管にお湯を通して発電する「熱発電チューブ」を開発

~地熱・温泉熱発電に展開

 パナソニックは、配管にお湯を流して発電する「熱発電チューブ」を開発したと発表した。同社では、この熱発電チューブについて“世界初”としており、地熱・温泉熱の発電に展開することを期待している。

 熱エネルギーを電力に変える「熱電変換」技術を利用したチューブ。チューブは、熱が流れにくい熱電変換材料と、熱が流れやすい金属を、傾斜して交互に積層、管状にした構造となっており、チューブ周囲に冷水を満たした状態で、チューブ内にお湯を流すことで、熱の流れと垂直な方向に電気が流れる仕組みとなる。同社が試作した長さ10cmのチューブの場合、約1.3Wの電力が取り出せたという。

熱発電チューブの構造図熱発電チューブの試験装置

 パナソニックでは熱発電チューブの特徴として、従来のπ型構造の熱源変換素子を使った場合と比べた場合、4倍の発電量が実現できる点と、製造方法が簡単で配管にそのまま使える形状である点を挙げている。従来の熱電変換素子を使ったケースでは、構造が複雑なため、熱を取り込む際のロスが大きく、複雑な配線が必要だったというが、熱発電チューブなら熱のロスが少なく、複雑な配線も不要となり、熱発電システムの実現が大きく前進できるとしている。

 同社ではまた、チューブに流す温水・冷水の温度や湯量に応じた発電特性をシミュレーションする技術も構築したとしている。






(正藤 慶一)

2011年6月20日 14:07