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ダイキンはエアコン生産を過去最多903万台へ 滋賀工場で見た最新の自動化
2026年7月29日 09:04
ダイキン工業は、ルームエアコンなどを生産する滋賀製作所の工場を報道関係者向けに披露した。
旺盛な需要を受けて、2026年度はグローバルで過去最多となる約903万台のエアコン生産を計画している同社。中でも滋賀製作所は「うるさらX」の開発や生産などを手掛けるマザー工場として、各地のグローバル拠点へ高いものづくり力を展開していく役割を持つ。
製品や生産ラインそのもののモジュール化といった効率向上を進めながら、高い競争力を持つための取り組みや、最近のAI/デジタル活用の事例などを披露。ユーザーからの信頼性も高い同社の強みと、これからの展望などを取材した。
売上の8割以上は海外。気になる「エアコン2027年度問題」現状は?
2025年度の連結売上高5兆150億円のダイキンにおいて、事業の92%を占める空調。売上高の構成比でみると、最も多いのが米州での41%で、欧州の17%に続くのが日本の15%。海外売上が85%となっている。
2025年度はグローバル各地で需要減となり生産台数は約804万台に落ち込んだが、2026年度はインドや日本での拡販を見込んで、過去最多の約903万台の生産を計画。日本での需要増は、東京ゼロエミポイントなど補助金による効果や、省エネ基準が見直される「2027年度問題」に伴う駆け込み購入などが影響している。
1970年に滋賀県草津市に竣工した滋賀製作所は、住宅用空調機や給湯器など合わせて110万台を生産(2025年度実績/室外機ベース)。2024年には累計4,000万台を突破した。今の需要を受けて、2026年度は20~30%増となる130万台の生産を見込んでいる。
「2027年度問題」は、国による省エネ性能向上に対するメーカーへの要求が今まで以上に高まることで、消費者はより環境へ貢献できる一方、基準に満たない製品が販売されなくなると、製品ラインナップ全体の高機能化に伴う価格高騰や、サイズの大型化などが懸念されている。
消費者として気になるのは、価格やサイズについて。家電メーカー各社も、大幅な値上げやサイズアップをしないために取り組んでいる最中の部分だ。
ダイキンも現時点では、2027年度基準に対応した製品ラインナップや、価格、サイズについて詳細な回答を控えている。単純に省エネ性能を高めるためであれば室外機のサイズを大きくするなどの方法はあるが、それを技術的にどう抑えるかなどの課題に取り組んでいるとのことだ。
なお、サイズが大きいハイエンドモデルについては、すでに27年度基準をクリアしているものの、ミドル/ローエンドモデルでの対応がこれからの争点になりそうだ。
サイズをできるだけ抑えたまま製品化するために、特に超えるべきハードルと指摘しているのは熱交換器の部分。これを現在の1列構成のままで、どのように性能を上げていくかが工夫のしどころだという。
ダイキンが強い理由は工場にも? 完全自動化への取り組み
今の高い需要に応えるために課題となるのが人手不足であり、対策として欠かせないのが自動化だ。中でも、これまで人の技能や五感、柔軟性に依存していた作業の自動化が進められており、その一例がガス漏れ検査や、板金部品の外観検査などだ。
様々な工程で自動化が進んでいくと、もしその設備が何らかの理由で止まってしまった場合に、重要になってくるのが迅速な原因究明と対策の実施だ。ダイキンは設備故障の診断にAIを活用する仕組みも採用している。
過去の故障データや設備情報を追加学習させることで、何かエラーが発生したときに原因の特定や対応策について、ベテランではない技術者でもアプリを使って初期診断が素早くできるように支援するシステムを開発した。この仕組みは日本だけでなくグローバル拠点にも順次展開中だという。組み立てラインの完全自動化は2035年までに構築し、生産効率の向上を図る。
グローバルでの生産能力が高く、拠点を一極集中ではなく市場の近くで開発/生産することで、その地域で求められる製品を素早く開発でき、災害や為替変動などのリスクヘッジができることがダイキンの強み。その中で、マザー工場である滋賀製作所に求められているのは、グローバルでの最適な量産体制の維持や、開発や生産などベースとなる能力の向上による他社との差別化、そして人材育成だという。
開発面では、部品の標準化や共通化を行なった「基本モジュール」に、各地域で必要な機能で構成する「機能モジュール」を用いた製品設計で、コスト削減や開発速度向上、ニーズへの柔軟な対応を可能にした。
生産力においても、組み立てラインの作業工程ごとに規格化した「モジュールライン」によって、従来のような製品ごとに生産ラインを個別設計するのではなく、スピーディーで柔軟な体制を展開。これは2020年から滋賀で展開し、2023~2025年にかけて5拠点での同時立ち上げを実施。さらにグローバル拠点へ展開を続けていく。
調達面でも、災害や関税など各地域で状況が異なる中、供給体制を安定させて調達リスクを抑える取り組みを、部品や材料メーカーなどとの協力も得て実施。直近の中東情勢においても、地域をまたいでの調達先変更などで、生産への影響を少なく抑えたという。
同社は5年ごとに策定する戦略経営計画として現在「FUSION30」を掲げており、その内容は「環境と空気の新たな価値提供」や「世界で選ばれ続ける高収益なサステナブル企業」を目指すもの。2026年度はそのスタートにあたり、同社のコアである空調生産において、国内のものづくり強化やグローバル拠点をけん引するリーダーシップ発揮、経営基盤安定化などを推進。
マザー工場である滋賀製作所は、その中でも技術開発をリードして、グローバルへ水平展開するための重要な拠点として今後も事業を支えていく。