空気清浄機の購入目的は「花粉症対策」から「健康管理」へ
――価格.com調査

~シェアはシャープ/パナソニック/ダイキンの“寡占”

 価格比較サイトの価格.comは、同サイトの登録ユーザーに対し実施した空気清浄機の購入状況調査を発表。購入目的が“花粉症対策”から“総合的な健康管理”へと変化してきたことを指摘した。

 調査は3月1日~3月7日にかけて、価格.comの登録ユーザー6,844人に対し実施された。


空気清浄機の所有率は62.6%。シェアはシャープ/パナソニック/ダイキンの順

空気清浄機の所有状況。「所有している」は62.6%だった

 空気清浄機の所有率については、「所有している」が62.6%、「所有していない」が37.4%と、全体の約2/3が空気清浄機を持っているという結果となった。さらに、「2台所有」は14.8%、「3台以上」は6.7%と、複数の空気清浄機を所有している割合は21.5%となった。価格.comでは「すでに『家庭に一台』は珍しくない状態」、「空気清浄機が家庭にかなり浸透している」と分析している。


所有している空気清浄機の方式は、空気清浄機能のみ、加湿空気清浄機、イオン放出機能付きで、いずれも30%近い数字となった

 所有機の種別では、「空気清浄機能のみ」が33.1%、「イオン放出機能付き」が31.2%、「加湿空気清浄機」が28.5%と、いずれも30%近いシェアを分け合う結果となった。イオン放出タイプと加湿タイプはいずれも比較的新しいジャンルのため、ここ数年のうちに空気清浄機を購入した人が多いと見られる。なお、イオン発生機(専用機)は3.3%と低い数値となっている。

 所有する空気清浄機のメーカーは、シャープが32.2%と最も高かった。以下、2位にパナソニックが20.4%、3位にダイキン工業が17.5%と続き、この3社で全体の約7割を占めることになった。価格.comでは、家電製品の小売調査を行なう「GfK Japan」発表の販売シェアとほぼ同じ傾向が見られるとして、「この3社における寡占化が進んでいる」としている。なお、GfKの調査結果によるシェアは、46.6/23.5/14.4%となっている(順位同じ)。

メーカー別では、シャープ、パナソニック、ダイキンの順番となった

需要は“花粉症対策”から、“冬場から春先にかけての総合的な健康管理”に変化

 空気清浄機の購入理由に関する複数回答では、1位が「花粉症対策」で49.2%、2位が「風邪の予防(ウイルス対策)」で40.2%となった。また、4位の「タバコの臭い」(22.4%)、5位の「ペットの臭い」(13.3%)など、臭いに関する回答も多い結果となった。

 空気清浄機の購入時期は、「2008年12月以前」が46.5%と最も多かった。しかし、2010年10月から2011年3月の間に限ると、全体の17.4%と高く、2009年10月~2011年3月の12.9%を4.5ポイント上回る結果となった。通常、空気清浄機の販売は、花粉が飛散する1~3月がピークであるものの、最近では10~12月の購入者が多くなっているという。

 価格.comではこの理由として、空気清浄機の機能が、単なるフィルター機能だけのものから、冬場の風やインフルエンザ予防に活躍するとされるイオン放出機能や加湿機能を搭載したものへシフトしてきていることを指摘。需要が“花粉症対策”から、“冬場から春先にかけての総合的な健康管理”に変わってきているという。

空気清浄機の購入時期。2008年以前に購入していた割合が最も高かった。近年は10月~12月の花粉シーズン前に購入する例が多くなっている
 
購入時に重視した点は、1位が「価格」。続いて「花粉除去機能」、「メーカー・ブランド」と続く(複数回答あり)

 「購入時に最重視した点」に関しての複数回答では、「価格」が55%で1位。「花粉除去機能」は40.2%で2位、「ウイルス除去機能」は37.1%で4位、「フィルター寿命」は30.3%だった。3位には38.3%で「メーカー・ブランド」が入ったが、価格.comでは「(前述の)大手3社に集中している」「ウイルス除去機能についてのイメージが強い製品を選ぶ傾向がある」としている。



花粉症対策や消臭効果で、性能を実感している人が多い

 満足度については、「大変効果を実感している」が16.4%、「やや効果を実感している」が48.8%で、約65%が効果を感じている結果となった。特に、花粉症対策を目的としている人に、性能を実感している人が多かったという。

 一方で、「効果を実感していない」(20.9%)、「わからない」(10.4%)、「まったく効果を実感していない」(3.5%)というネガティブな意見も、約3割見られた。特に、「イオン放出機能」を重視して購入した人、価格の安い小型製品の購入者に、効果が実感しづらいという傾向や意見が見られたという。ただし、イオン放出機能については、消臭、カビなどの抑制効果に関しては、効果を実感する人が多かったという。

 空気清浄機を購入していない人に対する、今後の空気清浄機の購入意向を問う設問には、「具体的な購入予定はないが、今後購入したい」が約半数の50.4%。「購入する予定がある」が6.9%で、過半数が購入に関心を寄せる結果となった。価格.comではこの結果を受け、「空気環境に対して、かなり多くの人が関心を持っていることの現れ」としている。

空気清浄機に対する満足度は、「大変効果を実感している」が16.4%、「やや効果を実感している」が48.8%だった現在、空気清浄機を持っていない人でも、「購入の意向がある」が半数を超えていた

 同社では最後に、空気清浄機の普及率や認知度は、3年前と比較すると大きく上昇しており、今後はウイルス抑制効果や加湿機能を備えた加湿空気清浄機を中心に、人気が高まっていくだろうと展望している。





(正藤 慶一)

2011年3月30日 00:00