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パナソニック子会社、忙しい毎日の山積みタスクを解決する月額サービス「Yohana」
2022年9月13日 17:58
パナソニック ホールディングスが100%出資するYohana(ヨハナ)は、忙しい家族のくらしを専門チームがサポートする次世代ファミリーコンシェルジュサービス「yohana メンバーシップ」の提供を、9月15日から神奈川県で開始する。月額料金は18,000円。なお、キャンペーンとして9月15日から12月12日までに申し込むと、月額8,000円で1年間利用可能。
ローンチに先立つ9月13日に、同サービスの発表会が東京都内で開催された。その様子を交えて、サービスの詳細を説明していきたい。
「yohana メンバーシップ」サービスを、同社は「家族の忙しいくらしを専門家のチームがサポートするサブスクリプション型のサービス」だと定義する。
日本ローンチ時点では、子育て世代や共働き世帯をメインターゲットとしている。そのため、解決できるタスク例を見た限りでは、家事代行を含めた便利屋または秘書サービスが、月額定額制で利用できるとイメージすると、分かりやすいだろう。
ユーザーであるyohanaメンバー(以下:メンバー)は、1週間の献立を作ってもらったり、休日の旅行の企画を立てて手配までしてもらったり、家族や友人への誕生日プレゼントや出産祝いを選んでもらったり、子供におすすめの絵本の紹介、プロクリーニングの手配、テーマパークを満喫するためのプラン作成などのサービスを受けられる。
サービスを開始すると、メンバー(ユーザー)ごとに担当者「yohanaガイド」と「yohanaスペシャリスト」が配置される。「yohanaガイド」は、メンバーや「家族の好みを知り、中長期的な目標を立て、叶えたいくらしを実現するためにサポート」するという。一方の「yohanaスペシャリスト」は、「日々のTo-doを整理して、解決」していく。
メンバーは、なにか要望があれば、まずは自身の担当である「yohanaスペシャリスト」に相談する。メンバーの要望を、専用のアプリ経由で受け取った「yohanaスペシャリスト」は、Yohana内の栄養士や旅行の専門家などで構成される「yohanaリサーチャー」に、栄養バランスと家族の好みに応じた献立作成や、旅行プランの作成などを指示する。また実際に、自宅への訪問が必要な、料理代行や工事などに関しては、「yohanaネットワーク」の構成員が行なうという。
Yohana内には、グルメ情報サイトのプランナーや、子育て/住宅/旅行情報誌のライターなど、各分野の第一線で活躍する専門家が集められている。そうした専門家が、「yohanaリサーチャー」などとして活躍する。
なお、To-do整理や企画提案、調査、手配以外の実作業が発生する場合は、月額利用料金とは別途に料金が発生する。
サービスを利用する際には、専用のアプリを使う。アプリのレイアウトは、「yohanaスペシャリスト」とすぐにチャットできるものとなっている。頼みたいTo-do(タスク)があれば、まずは「yohanaスペシャリスト」にチャットで連絡してもよい。その内容に応じて、「yohanaスペシャリスト」がタスク解決に向けた提案を行なう。メンバーは、その提案から気に入ったものがあれば進めてもらい、調整が必要であれば「yohanaスペシャリスト」との相談を続ければよい。
なお、ひと月に発注できるTo-do数に制限はなく、何度でも依頼できる。ただし、同時に依頼できるTo-doは3つまで。
「yohanaスペシャリスト」への依頼は、チャット経由以外にも、アプリの「To-doリスト」から新規作成することで行なえる。まずは、アプリの「To-doリスト」内にある「マイリスト」に、解決すべき事柄をリストアップしておくとよいだろう。この段階では、「yohana メンバーシップ」サービスを利用するかどうかは考えなくてもよい。「旅行の行き先を考える」や「ママ友とのランチ場所を選ぶ」、「トイレットペーパー購入」など、家庭でのTo-doをなんでも記載しておける。メンバー自身が解決した場合にはリストから消せばよいが、サービスを利用したい場合には、解決したい事柄の詳細を追記してオーダーする。
サービス利用の依頼をすると、To-doリスト内の「準備中」へと移行し、「yohanaスペシャリスト」の元に届くと「進行中」リストに移る。タスク完了までは、「yohanaスペシャリスト」と、さらに詳細を詰めるためのやり取りがあるかもしれないが、基本的にメンバーは、タスクが完了するのを待てばよいだけとなる。
同サービスが解決できるタスクは様々だが、例として次のようなものを挙げている。
- 1週間の夕食の献立を提供
- 子供の口に合うミールキットの調査と手配
- 離乳食と大人の食事を同時に頼める料理代行
- 重要なイベントのリマインダー
- 週末の日帰りレジャーや、長期休みの旅行の企画から手配まで
- 家族への誕生日プレゼント選びや手配
- 出産したばかりの友人への出産祝いの手配
- コロナ禍で会えてない遠方にいる両親へのプレゼントや差し入れ
- 子供へのおすすめ絵本の紹介
- 信頼できる料理代行の手配
- プロクリーニングの手配
- テーマパークを満喫するためのプラン作成
- 子供の誕生日における撮影会の企画や手配
- 夫婦水入らずの時間を作るための、ベビーシッターの手配
- 小学校で使うエプロンの刺繍代行
- 資格取得に向けた参考書や勉強方法の案内
- 大人のための初心者バレエ教室
- 週末農業用の場所や道具の調査
- 家具の組み立て代行
以上は一例なので、例に挙げられていないことも、まずは「yohanaスペシャリスト」に相談してみるのがよさそうだ。
ヨーキー松岡さんが語る「Yohanaが生まれた経緯」
「yohana メンバーシップ」サービスを提供するYohanaのCEO・ヨーキー松岡さん(本名は松岡陽子。パナソニックホールディングス 執行役員)は、東京出身の神奈川育ち。中学校の頃にアメリカに引っ越し、以来、アメリカで生活している。テニスのプロになりたいと思っていたが、怪我が多くて断念。AIやロボットなどのテクノロジー関連を大学で学び、カーネギー・メロン大学やワシントン大学などで教授として約10年を過ごしたという。
その後は、Google Xのイノベーション責任者兼共同創業者やNestのCTO、Googleヘルスケア部門の副社長、米ヒューレット・パッカードの取締役などを務めた。
だが、自身のプロフィールで最も重要なのが「子供4人の母親であること」だという。「1番重要なのは母親であること。そこを大切にして、毎日暮らしています」と話す。
そんな松岡さんが4人目の子供を生んだ直後の写真が残っている。出産直後に会社へ復帰した時に、赤ちゃんを自分の膝の上にのせて、パソコンに向かっている。この頃、子供たちのために頑張らなければいけないという一念で、働いていたという。だが、新型コロナの流行により、松岡さんの暮らしは崩れてしまう。
「今までなんとかバランスが取れていた生活が、崩れてしまったんですよね。自宅で仕事をするようになり、子供たちの学校の授業も家で受けるようになりました(リモート授業)。仕事をしている私の足に、子供がしがみついてきたり。これは続けられるはずがないじゃない! って思いました。トイレまで子供がついてきました」
「(新型コロナ禍では)本当に大変で、しかもアイソレーション(孤立)されていたので、これが自分だけの問題なのかが分かりませんでした。でも、友達に聞くと、私もよと。そして新聞を読んだら、世界中のみんなが、同じ気持ちになっていると分かりました。そうした悩みを、テクノロジーで解決できないか、そう考えたのでYohanaを設立しました」
松岡さんは、ローンチした「yohana メンバーシップ」サービスには、その時の思いが組み込まれていると語る。
「私たちのミッションは、今を生きる家族が幸せであるように、希望のある日々を続けられるようにサポートすることです」
すでに「yohana メンバーシップ」は、2021年9月からアメリカのシアトルでサービスを提供し始めている。6月の実績では、1,000世帯が利用し、20,000以上のタスク(To-do)を完了しているという。また2022年6月からはロサンゼルスでもサービスを開始し、アメリカでは一定の成功を収めているとする。
「国内初のローンチ場所は、神奈川県です。自分が育ったところなので……なんて勝手なことを言っていますけど……神奈川県から始めさせていただいて、どんどん広げて、なるべく早く全国の皆さんに届くように、広げていきたいと思っています」
また、発表会で登壇した同社のジャパンプロダクトリード・藤田大法(ひろのり)さんは、はっきりと時期の明示は避けたものの、「オペレーションチームなどの拡大が見えてきた時点で、神奈川県以外にも拡大していきたい」とした。そのほか「家族に対して作ったサービスですが、高齢化などの社会問題があります。そうしたターゲットにも応じたサービスを提供していくこともあるかと思っています」としている。