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タイガーの炊飯器は「風」で甘みと旨みを引き出す? 最上位の味を食べてきた
2022年7月21日 14:05
本日7月21日に発売された、タイガー魔法瓶の炊飯器最上位モデル「土鍋圧力IHジャー炊飯器 炊きたて 土鍋ご泡火(ほうび)炊き JPL-S100」。2023年に創業100周年を迎えるタイガーが培ってきた技術の粋を集めたという記念モデルは、従来や他社製品とどう違うのか。実際に炊いたご飯も味わいながら取材してきた。
風を吹きかけて、吹きこぼれを防ぎながら高火力を維持
JPL-S100は、最高温度約280℃でごはんの甘みを引き出す「土鍋ご泡火(ほうび)炊き」に、新技術「連続ノンストップ加熱」を採用したのが特徴。ごはんの深い甘みとほどよい粘りを引き出す技術とのことだが、これまでと何が違うのだろうか。
土鍋でご飯を炊いたことがある人は分かると思うが、強火でご飯を炊き続けると、フタの脇から吹きこぼれてしまう。昔のようにかまどで炊くなら多少の吹きこぼれは気にならなかったかもしれないが、もし今の炊飯器で炊くたびに横から吹きこぼれてしまっては、とても使いづらくなってしまうだろう。
そのため、一般的な炊飯器で吹きこぼれを防ぐには、内部の熱を上げ過ぎないように温度を制御する方法をとらざるを得なかったのが現状だ。
これに対し、タイガーは温度を下げるのではなく「フタ内部に風を送る」ことで火力を維持しながら吹きこぼれを防ぐというアプローチをとったのがユニークなところ。
そばやそうめんなどの麺をゆでる時の知恵として、沸騰して吹きこぼれそうになった際に上から息をフーッと吹きかけると、火を弱めなくても泡がすぐ収まることは知られている。これと同じように、炊飯器の中で風を送ることにより、高い火力を維持しながら吹きこぼれを防げるというのだ。
タイガーの炊飯器には以前から独自の「ハリつやポンプ」があり、このポンプは釜の中の余分な蒸気などを取り除く役割を持っているが、これを活用して、炊飯中のフタ内部に風を送る新たな通り道を用意した。
こうした工夫により、従来品に比べて約106℃(約1.25気圧時)の状態を、約1.5倍長く維持。大火力でじっくりと炊きあげることで、米のα化(糊化)を促進し、甘みと粘りを引き出す。従来モデルJPL-G100に比べて甘みを約17%、粘りも約3%アップさせたという。
タイガーならではのもう一つの強いこだわりが「本土鍋」だ。三重県四日市の「萬古焼(ばんこやき)」の本物の陶器を使った内鍋で、一つの本土鍋を完成するのに約3カ月も要するという。土鍋が持つ遠赤効果で米の芯まで熱が届き、ふっくら炊けて旨みを引き出す。
さらに、タイガーが以前から大事にしてきたのが「泡で包む」炊き方。米を傷つけずに泡で包んだ状態でおどらせることにより旨みを逃さず、表面はつややかで、もっちりした食感を引き出すという。
前述した「ハリつやポンプ」は、保温時にも活躍。木製のおひつに入れたご飯は適度に水分がコントロールされることでおいしさが保たれる。これと同様に、JPL-S100はポンプで釜内の熱や湿度を適度に保つことで、時間が経っても色つやの変化を防ぎ、おいしさが持続するという。
使い勝手の面も配慮され、日常の手入れはマグネット着脱の内ぶたと本土鍋の2点のみを洗うだけでOK。新たにしゃもじが抗菌仕様となったことで安心感も高めた。
他の炊飯器のご飯と食べ比べ
今回、タイガーと他社の炊飯器で炊いたご飯の食べ比べを実施。米の品種は青森県のブランド米である「晴天の霹靂(へきれき)」。なお、銘柄米用の炊飯モードもあるが、今回はどの炊飯器も通常のモードで炊いたものを試食した。
他社製で炊いたご飯は、舌触りに粘りやもっちり感のインパクトが強く感じられるものがあった一方、タイガーJPL-S100のご飯は見た目にも一粒一粒の形がしっかりした炊き上がりとなっていて、噛むと口に広がる甘みも強い。
米に含まれた水分が多い炊き上がりだと、食感がべちゃっとしたり、味がやや薄まって感じてしまうこともあるが、JPL-S100は粒の中に甘みと旨みがしっかり詰まっていると感じる。晴天の霹靂という品種自体がしっかりした食べごたえを特徴としており、その良さを活かした仕上がりになっていた。コシヒカリなどの品種ではまた違った炊き上がりになると思うが、他の米だとどんな味わいになるかも試してみたくなった。
JPL-S100の前モデルからの進化点だけで言えば、先ほど説明した「連続ノンストップ加熱」と「抗菌しゃもじ」の2つとシンプル。だが、炊き上がりのおいしさは簡単に生まれたのではなく、魔法瓶に始まり電子ジャーから現在の圧力IH炊飯器まで、100年近くに渡って「熱」と向き合ってきた技術の積み重ねがあればこそのもの。これらのノウハウと、こだわりの本土鍋や圧力制御などの進化が組み合わさった結果が、この最上位モデルに詰め込まれていることを、ご飯の味でも実感できた。