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炊飯器の釜の中、実は混ざっていなかった? 象印「炎舞炊き」は新ヒーターで甘味アップ
2022年6月7日 08:05
象印マホービンの圧力IH炊飯器「炎舞炊き(えんぶだき)」。全面的に改良した最上位モデルの「NW-FA10(5合炊き)/NW-FA18(1升炊き)」が6月21日に発売される。新しいIHヒーターによって釜の中で激しい対流を起こし、これまでよりふっくらした粒感と甘み成分を引き出すという。
より細かく炊きあがりを設定可能になった。その仕組みの詳細を取材するとともに、新しい炎舞炊きで炊いたご飯を試食してきた。
従来品では中心部の米が混ざってなかった?
象印の炊飯器の特徴は、複数のヒーターで加熱し米の対流をおこすことで米をかき混ぜ、甘みや粘りを引き出すもの。従来モデルは、同じサイズの6つのヒーターが円状に並び、向かい合う2つのヒーターを同時加熱していく「ローテーションIH構造」が特徴だった。
同構造により対流が起き、米が混ざっているように見えるが、「実際は釜中心部が熱のウィークポイントだったのです」と第一事業部の三嶋一徳氏は話す。着色した玉こんにゃくを米に見立てて炊飯時の動きを確認したところ、「対流しているようにみえて、内釜のフチを動いていた」(三嶋氏)。
赤に着色した米を下、青に着色した米を上に配置して炊飯した場合も、周囲は赤と青の米が混ざっているのに対し、中心部は十分に混ざっていなかったという。また、中心部だけでなく横方向の動きも確認するため、赤と青の米を左右に配置したところ、混ざった様子があまりみられなかったようだ。
コイル形状や配置を一新。中心部や横方向にも米が混ざるように
激しく対流すると、甘み成分が米をコーティングし、より甘い米になるという。そこで、中心部や横方向も米が混ざるよう改良したのが「3DローテーションIH構造」だ。今回は形の異なる2種類のヒーター各3個を採用し、配置も変更した。
1種類目のヒーターは、円形のもの。釜の中心部寄りに配備したことで、従来に比べて中心部から対流を起こせるようにした。もう1種類は楕円形のヒーターで、円形ヒーターの周囲に配置し、横方向の対流を生み出す。円形ヒーターは対角線上にある楕円形ヒーターと同時に発熱し、3組のコイルがローテーションで加熱していく。
同社のテストによれば、今回の進化により甘味についてはこれまでより還元糖が3%アップするデータが確認され、官能試験でも「弾力を感じやすくなった」結果が出たという。
ヒーター形状や配置が変わったことで、炊飯器本体のセンサーの位置も移動。従来は底部中心にあったが、ヒーターが中心寄りになったことで、センサーを横に設置することになった。
センサーが移動したことで、掃除のしやすさも改善された。内釜を外した際、センサーが中心にあると、米粒のカスなどを掃除する際に邪魔だという声もあった。内釜側面に接する位置にセンサーが移動したことで、本体内部に集まったゴミを集めやすくなった。
味の好みに合わせた炊き分け「我が家炊き」も進化
炊飯器市場には、米の銘柄にあわせて炊き分ける機能を備えた高級炊飯器もみられる。その中で、象印の高級炊飯器は「人に合わせた炊き分け」機能を強化している。
象印の「わが家炊き」は、前回の炊飯について「かたさ」「粘り」の2項目の感想を炊飯器に入力することで、米の炊き方を121通りに調節していく機能だ。
新製品では、2項目のアンケートに基づく炊き分けの変化の幅を拡大。アンケートに回答する前後の炊飯での味の変化をわかりやすくし、より早く自分好みのご飯を炊けるようにした。
また、白米の炊飯時に好みに合わせて炊き分ける機能も強化。従来の5通りから、「かたさ」3通りに「粘り」5通りの合計15通りから選べるようになった。
2種類の炊き分け機能を搭載したのは、「『わが家炊き』はアンケートを通して潜在的な好みに合わせて炊き、15通りの白米炊き分けは自身で認識している好みや食事にあわせて炊く」(三嶋氏)狙いだ。