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花王、洗浄力アップの「アタック ZERO」100%再生プラ容器で環境負荷低減

「アタック ZERO(ゼロ)」改良新発売。左から通常用ボトルタイプ/ワンハンドプッシュタイプ、ドラム式専用ボトルタイプ/ワンハンドプッシュタイプ

花王は、衣料用濃縮液体洗剤「アタック ZERO(ゼロ)」を改良して4月10日に発売する。通常用とドラム式専用をラインナップし、価格はオープンプライス。店頭予想価格はいずれもボトルタイプ(400g)が400円前後、ワンハンドプッシュタイプ(400g)が550円前後。

汚れを落ちやすくするセンイ改質技術「AC-HEC(エー・シー・ヘック)」が進化。同製品を使用することで従来の皮脂汚れに加え、くすみや黒ずみの原因となる粒子汚れが付着しにくくなるという。本体容器には100%再生プラスチックを採用し、再生プラスチックの活用を本格化していくとする。

洗浄力アップ。洗濯したのに黒ずむ「汚れ戻り」を防ぐ

洗浄剤に独自の界面活性剤「バイオIOS」と、センイ改質剤「AC-HEC」を採用する。AC-HECは、繊維を汚れに強い性質に変えるという同社独自のセンイ改質技術。繊維の表面に親水性を持たせることで、皮脂汚れを落ちやすくする点を特徴とする。

今回の改良ではAC-HECが進化。洗濯して一度落ちた汚れが洗濯液の中に残り、再び衣類へと戻ってしまう「汚れ戻り」の原因となる「粒子汚れ」にも対応した。粒子汚れには泥汚れのほか、カーボン汚れ(大気中のススなどの汚れ)も含まれる。進化したAC-HECにより、粒子汚れが衣類へ付着しにくくすることで、泥汚れの汚れ戻り防止率が現行品と比べて10%アップ、カーボン汚れに対しては12%アップしたという。

汚れ戻りしやすい粒子汚れを付着しにくくした
汚れ戻り防止率が泥汚れでは10%、カーボン汚れでは12%アップ

2025年までに日用品ボトルをすべて再生PETに。サステナブルな循環社会を実現

本体ボトルには新たに、100%再生プラスチック(ポリエチレンテレフタレート/PET)を採用する。4月3日に改良発売する食器用洗剤「キュキュット Clear(クリア)泡スプレー」にも100%再生プラスチックボトルを用いるなど、再生プラスチックの活用を本格化。2025年までに、使用料の多い国内日用品のPET素材のボトルをすべて100%再生PETへ変更するとしている。

同社はこれまでも、つめかえ/つけかえの促進、内容物の濃縮化などの取り組みを行なってきた。それらによるプラスチックの削減量は、つめかえ/つけかえなどを行なわなかった場合と比べると約75%としている。

ボトルに100%再生プラスチックを採用
つめかえ/つけかえなどによるプラスチック削減量は約75%

またアタック ZEROに含まれる洗浄基剤「バイオIOS」も環境に配慮したサステナブルな原料を活用しているという。多くの衣料用洗剤の洗浄成分(界面活性剤)の原料となっているのは、アブラヤシやココヤシからとれる天然油脂。しかし世界の天然油脂生産量の中で、洗剤に使える油脂はわずか5%。限られた原料だけでは、洗剤の生産量に限界があることに加え、原料生産地の森林伐採など、環境問題につながる恐れもあったという。

そこで同社は、食用油を採取したあとに残る固体油脂に着目。従来は界面活性剤の原料として不向きとされ、用途が限られていた固体油脂から、高い洗浄力を発揮する洗浄基剤「バイオIOS」を開発し、洗浄力の高さと持続可能性を両立させた。

天然油脂だけでは生産量に限界があるほか、環境問題につながる恐れも
固体油脂を活用した独自の洗浄基剤「バイオIOS」を開発

花王は2019年に、持続可能な豊かな暮らしの実現に向けたESG(環境/社会/ガバナンス)戦略「Kirei Lifestyle Plan(キレイライフスタイルプラン)」を発表。これについて同社 ESG部門 ESG広報担当部長 大谷純子氏は、「自分が清潔で健やかであることを実現するために、誰かを傷つけたり、環境に負荷をかけたりといったことは皆さん望んでいらっしゃらないと思います。私たちは少しでも環境負荷が少ない選択肢をご提供したいと考えています」と語る。

また再生プラスチックの利用はメーカーにとってはコストアップとなるが、その点については「資源循環型社会の技術開発を後押しするためにも、工夫しながら再生プラスチックの供給量を増やしていきたい」(大谷氏)と意欲を見せた。

店頭にたくさんの衣料用洗剤が並ぶなかで、香りの種類や抗菌効果の有無など選ぶ基準は人それぞれだ。ただ、多くの洗剤が既に高い洗浄力を持っているのも事実であり、今後は環境負荷に配慮された製品かどうかという点も、判断基準のひとつに加わる可能性は充分にあるだろう。

環境負荷の少ない社会を実現していくという