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資生堂のスキンケアIoT「Optune」が本格展開、「無自覚夜更かし」など新たな分析ポイントも追加

 資生堂は1日、これまでベータ版で提供していたIoTスキンケアサービス「Optune」の本格的な展開を発表した。「Optune(オプチューン)」は、「Optimum Tuning」の略で、ユーザー一人ひとりに合わせた最適なスキンケアを提供する新たなスキンケアサービス。資生堂初となるサブスクリプション型サービスで、価格は月額1万円となる。

「Optune」とは?

 「Optune」は専用のマシンとiPhone向けのアプリケーションで構成されるIoTスキンケアサービス。専用マシンには「Optune」専用の化粧品カートリッジをセットする。iPhoneのアプリケーションを使い、iPhoneのカメラで自分の肌を撮影。肌情報に加えて今日の気分、環境、睡眠データ気象情報などが資生堂のクラウドに送信される。すると専用マシンからその時の肌の状態に合う、最適なスキンケアが抽出される。

 化粧品がカートリッジから抽出される際、本体下部が白く光る。このときに手をかざすと手のひらに化粧品が抽出される。化粧品は2ステップに分けて抽出されるので、1度目を顔になじませたら、もう1度化粧品を手に取り、同じく顔になじませる。

大まかな使用の流れ

 カートリッジは無くなりそうになると、これまでのユーザーの肌に合わせたスキンケア商品が自動的に選ばれ、自宅へ送られてくる。

資生堂ジャパン 代表取締役社長 杉山繁和氏
資生堂ジャパン 次世代事業開発部 ブランドマネージャー 川崎道文氏

 現代の忙しい女性に対して「スキンケアは『Optune』に任せ、仕事や子育て、自分の趣味の時間をもっとたくさん持ってほしい」と資生堂ジャパン 代表取締役社長 杉山繁和氏は語った。

ベータ版からの進化点

「無自覚夜更かし」に対応

 ソフトウェアのアルゴリズムの進化としては、肌に影響を与える外的要因として、従来の「気温」、「湿度」、「紫外線」に加えて「花粉」と「PM2.5」が追加された。

 内的要因としても、「気分・ストレス」、「生理周期」、「加齢」に加えて「体内リズム」が追加された。

 資生堂ジャパン 次世代事業開発部 ブランドマネージャー 川崎道文氏によると「女性の就業率は70%にも達する。働いていると、生活リズムも不規則になりがちだ。不規則な生活を送っていると、就寝中に脳が覚醒状態になりやすい。これを資生堂では『無自覚夜更かし』と呼んでいる」という。

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 「無自覚夜更かし」をしている女性は肌の水分量が低下するという。そこで、「Optune」ではユーザーの無自覚な夜更かしを検知し、1週間後の肌状態に備えたソリューションを導き出すという。

 アプリでは、その日、その時の肌状態や、抽出されたソリューションの確認ができ、過去の肌状態やケアの実績をさかのぼって見ることもできる。また、カートリッジの残量が少なくなると、配送手配をしたことを通知したり、毎日使用していると「毎日頑張っていますね」というメッセージを表示したりするなど、ユーザー満足度を高めるための工夫がある。

カートリッジも性能を強化し改良

 製品版「Optune」では、カートリッジも改良された。これまでの基本性能である「香り・精油由来」、「心地よい使い心地」、「安全品質」に加えて「美白」、「オイルカット」、「肌の生まれ変わりをサポート」、「透明感」、「引き締め」、「ニキビ・肌荒れ予防」といったスキンケアに関する性能が強化された。

ソリューションは8万パターンへ

 「無自覚夜更かし」への対応、カートリッジ性能の強化によって、スキンケアソリューションはベータ版では1000だったが、製品版では8万パターンへと大幅に増加した。「一人ひとりへの最適化、Optimum Tuningが更に進化した」と川崎氏は語る。

今後はスキンケア以外の製品にも

 「従来の店頭で購入するタイプのスキンケア製品では、購入と購入の間についてはよく分かりませんでした」と川崎氏は言う。ユーザーが購入した化粧品を本当に使い切ったか、気に入らずに少し使って放置しているのではないか、あるいは誰かにあげてしまったのではないか、という点が課題だったという。

 しかし、「Optune」であれば、ユーザーの使用状況を逐一把握することが可能だ。従来のCRM(顧客関係管理)は、再購入や購入する品目を増やすことを目的としている部分が大きかった。しかし「Optune」でのCRMはユーザーに気持ちよく使い続けてもらうことを目指していると川崎氏は語る。

 これからの課題として、突然使用を辞めてしまったユーザーにはどのようにアプローチしていくか、逆に使い続けてくれているユーザーに対してはどのようにコミュニケーションを取るか、などの部分があるという。

 「近年では〇〇 as a serviceという言葉をよく聞くが、資生堂では『Beauty as a Service』として美容のサービス化をリードしたい。現在はスキンケアのみだが、今後はファンデーションやその他の製品にも拡大していくこともあるかもしれない」と川崎氏は、今後のさらなるサービス拡大への意欲を見せた。