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日立・家電新会社、高付加価値商品をスピーディーに提供したい ~社長会見

 日立コンシューマ・マーケティング(以下、CM社)と、日立アプライアンス(以下、AP社)は、4月1日に発足する両社の合併会社「日立グローバルライフソリューションズ」の社長就任会見を行なった。会見は、同日付けで取締役社長に就任する谷口 潤氏が、目指す姿や日立グループ内で同社が果たす役割などを、全て1人で説明し、記者からの質問にも全て1人で回答するというスタイルで行なわれた。

日立グローバルライフソリューションズ 取締役社長に就任する谷口 潤氏

 同氏はまず、新会社が"お客様の豊かな暮らしに貢献する「生活ソリューションカンパニー」"であると説明。空調・家電・ソリューション事業者として、多様化するユーザーに寄り添い、デジタル技術を活用した商品・サービスを提供していくとした。

 そのうえで、2016年以降同氏が、制御プラットフォーム統括本部にて、産業分野へのIoT導入などの社会イノベーション事業を、立ち上げから事業確立まで担当した経験を説明。その際のコ・クリエーションなどの経験やノウハウも含めて、事業をリードしていくと意気込みを語った。

同氏は、社会イノベーション事業の立ち上げから確立まで担当した経験やコ・クリエーション経験などで、事業をリードしていくとした

 また日立グループは、2015年に国連サミットで採択された「SDGs(Sustainable Development Goals、持続可能な開発目標)」を受け、インクルーシブな社会を目指すとし、2021年中期計画では、5つの事業領域に分割して社会の課題を解決していくという。

 5領域は「モビリティソリューション」「ヒューマンライフソリューション」「インダストリーソリューション」「エネルギーソリューション」「ITソリューション」で、これら各領域をグループが保有する「エネルギープラットフォーム」と「Lumada IoTプラットフォーム」で横串化して連携していくという。

日立グループでは、5つの領域で社会課題を解決するという

 このとき、新会社は「ヒューマンライフソリューション」を担当。具体的には、グループの保有する「遠隔監視を含むIoT」「AI・アナリティクス」「ロボティクス」「エネルギーマネジメント」などのプラットフォームを活用しながら、IoT化された家電製品やサービスをユーザーへ提供することで、生活課題を解決し、QoL向上させるとした。IoT化された家電製品としては、すでにドラム式洗濯機、冷凍冷蔵庫、ロボット掃除機が発売されている。

 ユーザーへ提供する製品やサービスには、自社製以外のものを活用することも想定しており、同氏のコ・クリエーションなどの経験を活かし、すでに他社との協業も進行しているとした。また同時に、ユーザーデータをビッグデータ化し、グループ強みである社会インフラの開発などへ役立ててもいくという。

同社が担う「ヒューマンライフソリューション」分野の役割

 合併以前の業務分担は、AP社が、空調事業では商品企画、販売、保守・修理を、家電事業では、商品企画、設計、製造を行ない、CM社が、家電事業の販売、保守・修理を行なっていた。これを統合することで、商品企画~製造~アフターサービスまでを一括して行なえるようになるが、その目的は、ユーザーニーズを迅速にキャッチアップし、全ての工程をスピーディーに行なうためだとした。

 全工程をスピーディーに行なうことで、迅速ながら細やかにユーザーニーズを反映した高付加価値商品の創出しつつ、同時にユーザーデータを活用しグループの成長にもつなげたいという。特に、高付加価値商品については、アジアを中心に増加している、中間層や富裕層に向けたプレミアムプロダクトなどを考えているとした。

 現在、空調事業の設計、製造を行なっている、日立ジョンソンコントロールズ空調との関係性については、現在までも良好であり、今後も引き続きの関係性を保っていきたいとした。

CM社とAP社の統合で、スピーディーに高品質な製品提供が可能になるという

会見場には深澤直人氏デザインの空気清浄機も展示

 会見場には、既報の深澤直人氏デザインの空気清浄機「EP-PF120C」も展示。3月14日~17日に中国・上海で開催されたアジア最大規模の家電展示会「APPLIANCE & ELECTRONICS WORLD EXPO 2019」にも展示された製品。

 本機の日本発売については、日本市場では、加湿機能付きの空気清浄機が多く売れる傾向があることから、現在は検討段階であるとした。また本機は、AP社が"毎日の暮らしを彩るデザイン価値の創造"を掲げて発足した「Hitachi meets design PROJECT」の第1弾製品となるが、第2弾以降の製品は、現在準備中であるという。

空気清浄機「EP-PF120C」
操作部。タッチ式のボタンを採用する
部屋の角にも収まるよう、背面の角を落とした形状になっている
床置きで上から見られることが多い前面パネルは、フィンに傾斜が付けて、中身が見えにくいように配慮したという