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日立、生活・エコシステム事業の2018年度売上は4,850億円、2021年度には5,000億円以上を目指す ~事業戦略説明会開催

 日立製作所は6月4日、機関投資家やアナリスト、報道機関を対象にした事業戦略説明会「Hitachi IR Day 2019」を開催。日立製作所 執行役副社長 ライフ事業統括本部長の小島 啓二氏が、生活家電事業をはじめとするライフソリューションに関する事業戦略について説明した。

日立製作所 執行役副社長 ライフ事業統括本部長の小島 啓二氏

 ライフセクターは、家電および空調機器の生活・エコシステム事業、パワートレインやシャーシー部品など自動車向け製品を担当するオートモーティブシステム事業、診断システムや治療システムなどのヘルスケアビジネスユニットで構成されており、2018年度の売上収益は1兆8,000億円。そのうち、生活・エコシステム事業の売上収益は4,850億円で、同セクターの27%を占める。調整後営業利益率は4.6%となっている。

ライフセクターは、生活・エコシステム事業、オートモーティブシステム事業、ヘルスケアビジネスユニットで構成される

 小島副社長は、「ライフセクターは、健康、安全、快適をキーワードに、社会課題の解決を目指す事業分野」と位置づけ、「IoTの活用により、生活者のQoL向上と省エネを実現する。そして、健康・安全・快適な生活を、強い製品群と、強い技術であるLumadaで支える」としたほか、「ライフセクターにおけるLumadaを活用した事業モデルの確立を急ぎたい」とした。

 また、日立製作所の東原 敏昭執行役社長兼CEOは、「ライフセクターにおいては、次の成長に向けた事業の再構築を行ない、引き続き構造改革をしなくてはならない領域だと認識している。2019年度は、収益の改善に取り組み、将来の成長戦略を立案していく1年になる」とした。

日立製作所 執行役社長兼CEOの東原敏昭氏

 ライフセクター全体では、2021年度に、売上収益で2兆1,000億円、海外売上収益比率で60%超、調整後営業利益率は10%超、EBIT率は10%超、ROIC(投資資本利益率)で15%超を目指す計画を掲げた。

 「ライフセクターでは、事業の入れ替えとオペレーション改革により、収益性の大幅な改善に取り組む。2021 中期経営計画は、次なる成長ステージに向けた準備期間と位置づけ、事業構造改革を完遂し、2021年度に10%超の営業利益率を目指す(小島氏)」と述べた。2021年度までの3年間で、累計投資規模は3000億円を想定している。

「2021 中期経営計画」では、売上収益2兆1,000億円、海外売上収益比率60%超、調整後営業利益率10%超を目指すという

 そのうち、生活家電などを担当する生活・エコシステム事業は、2021年度には、売上収益で5,000億円以上、調整後営業利益率で8%超、EBIT率で10%超(2018年度実績で6.1%)を目指す。

 「生活・エコシステム事業は、空調事業の構造改革に続き、白物家電事業を構造改革するフェーズに入ってきた。家電事業は、営業利益率が5%弱と、我々から見ると、かなり低収益である。いかに構造を改革するかがすべてとなる。日立グローバルライフソリューションズの社長には、46歳という若い谷口 潤氏が就任し、構造改革を引っ張ることになる(小島氏)」とした。

 「2018 中期経営計画」における生活・エコシステム事業の構造改革の成果として、空調事業におけるジョンソンコントロールズとの統合が順調に推移していることを示し、2018年度実績では、同事業における日立の売上収益が約1,400億円、EBIT率で14%であったことに触れたほか、製造、販売、サービスを一体化した日立グローバルライフソリューションを設立したことをあげた。

 だが、その一方で、白物家電事業が営業利益率が5%レベルに留まっていること、海外事業が生み出す利益の拡大が今後の課題になっていることを指摘。大型家電の設計、製造、物流改革により、顧客チャネルを革新して、高収益化を図るほか、戦略パートナーとの協業によるアジア成長地域の白物家電事業の規模拡大を図る考えを示した。

生活・エコシステム事業は大型家電の設計、製造、物流改革や、アジア成長地域の白物家電事業の規模拡大を図る考え

 「国内では、チャネル構造を含めて、サプライチェーン全体に手を入れていく必要がある。ECチャネルの方が圧倒的に利益率が高いが、冷蔵庫や洗濯機などの大型家電は、ECチャネルには馴染んでいない。製品とサプライチェーンの両方を見直して、新たな動きに対応していくことになる。海外は規模を追求することが必要であり、フル連結化にはこだわらない形で、柔軟にパートナーを探していく。とくに、中国、ASEANでは、パートナーとの連携によって規模を拡大するとともに、効率をあげていくことになる。生活・エコシステム事業においては、EBIT率は、確実に10%を超えていきたい(小島氏)」との姿勢をみせた。

 また、Lumadaについては、サービス事業モデル「Smart Life Infrastructur as a Service」を通じて、スマートシティ向けにアセット管理デジタル基盤を提供。コネクテッド家電とビルシステムとの連携提案などを目指す。

 さらに、新たにライフセクターデジタルフロント事業本部を設置。2019年度に400人規模の体制を、2021年度には1,000人にまで拡大。同事業本部に設置したスマートシティ本部を通じて、APACや中国のスマートシティビジネスを加速する考えを示した。

Lumadaについては、サービス事業モデル「Smart Life Infrastructur as a Service」を通じて、スマートシティ向けのアセット管理デジタル基盤、コネクテッド家電とビルシステムとの連携提案などを目指すという
ライフセクターとLumadaにおける、2019~2021年度のロードマップ