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【CES 2019レポート】暮らしに変化を与えてくれる、日本であまり見ない生活家電たち
2019年1月24日 12:31
2019年1月8日~11日に、アメリカ・ラスベガスにて開催された世界最大級のエレクトロニクス展「CES」。毎年9月にドイツで開催される「IFA」が一般消費者も見学できる展示会なのに対し、CESは記者のほか、バイヤーやメーカー開発担当など、専門家しか入場できない。そのため、技術進化や構想段階の展示が多いのが特徴だ。
開催前の1月6日に、CESイノベーションアワードを受賞したアイテムが一度に展示された会場から、筆者の専門領域である生活家電について、私たちの生活に変化を与えてくれそうな展示を中心に、まだ日本ではあまり見ない製品などをピックアップしてリポートする。
特に、女性を支援する提案がいろいろあり、日本でもぜひ多くの人に知ってもらえれば、もっと子育てもしやすくなるかもと感じた。また、「クスッ」と笑えるユニークなものもあり、目を楽しませてくれた。
Woman Tec/Baby Tec
自動搾乳機
授乳中の母親が、職場のトイレで自ら母乳を絞っているのを知っている人は多くない。しかし、たくさんの働く母親がこのような努力をしてきたのも事実。我が子が口にする母乳をトイレで絞らなくてはならないことに、心が折れるという声も聞いた。そんなストレスが見事に解消される素晴らしい製品だ。日本への展開を大いに期待したい。
elnie.com
ブラジャーのなかにセットしておくだけの自動搾乳器。電動のポンプで母乳を絞り、ハードタイプの容器150mlに溜まる仕組み。音も静かでチューブなどもなく手軽にできるの魅力。パーツは分解して洗えるので衛生的に維持しやすい。スマホのアプリと連動して、搾乳量や時間が記録され、最適なタイミングで搾乳できるようになる。
willow
こちらは絞った母乳を、浮き輪のような専用のビニールバッグに収めるタイプ。口を閉じれば横にしても中身が溢れることはなく、そのまま冷凍することも可能。使う時は、ハサミで口をカットして哺乳瓶にそそぐだけ。保育園では冷凍した母乳を解凍してあげてくれるところも多いので、まさに働く母親には便利なタイプ!
女性の月経管理「LOON CUP」
月に1度の月経時に出る血をカップに収めるもの。その期間を快適に過ごす目的もあるが、それだけでなくスマホとカップがBluetoothで連携しているのが新しいところ。カップに溜まる「量・色・周期・体温」を自動的に記録でき、これらの情報を健康維持のデータとして役立てることができる。カップがいっぱいになるとスマホにサインが届き、取り替え時もわかる。日本への普及はまだ先かもしれないが、IoTもここまで活用されているのは先進的。
赤ちゃんカメラ「Babeyes」
乳幼児の様子を監視する「見守り」目的のカメラは目新しいモノではないが、このカメラは赤ちゃんに装着する点が新しい。赤ちゃんに着けることで、仰向けやうつ伏せなど姿勢が分かり事故を防ぐという目的かと思いきや、赤ちゃんが何を目にしているかを記録するという。赤ちゃんに向かって話しかけたりあやしてくれる、両親を始めたくさんの人の記録を撮っておくことは、みんなに愛されたことがあとから確認できることにつながるとのこと。「思春期の非行防止にも役立つかもね!」と担当の男性が説明していたのが、印象的だった。
赤ちゃんの排泄管理「うんこボタン」
Wi-Fiにつないで使う、赤ちゃんの「うんち」を記録するデバイス。おむつ換えをするタイミングで「うんち or おしっこ」いずれかのボタンを押すだけ。記録はWebアプリで管理できます。おむつ換えでは、とりあえずボタンを押しておいて、あとからメモを追加したり、睡眠に置き換えることも可能。Webアプリなので、祖父母やベビーシッターなど、複数の人に赤ちゃんの世話を頼む時も情報を共有ができて便利。母親以外の積極的な育児参加を促すきっかけにもなりそう。
排泄モニター「Dfree」
下腹に貼り付けておくこと、超音波センサーで膀胱化をとらえ排泄のタイミングを予測できるデバイス。介護アイテムとして、介護する側の負担を軽減することができる。また、高齢者は排泄の感覚が鈍くなるので、おもらしすることを気にして外出を控えるなど消極的になるのを防ぐ効果も大きいとのこと。超高齢化に突入している日本らしい提案。
企業ブースから
積水ハウス
CESの会場のアチコチに「SmartHome」というコーナーがたくさんあり、どこもセンサー技術やコネクトのシステムなどを提案していた。そんな中、生活にどんな変化があるのかを具体的に提案していたのが、積水ハウスだ。初めてCESに出展した積水ハウス。住宅をただの器ではなく、「健康」「つながり」「学び」の場として、世界一幸せな場所にする新プロジェクト「プラットフォームハウス構想」をお披露目。その第一弾として「健康」をテーマに「急性疾患対応」の取り組みについて展示した。
住まい手の呼吸数・心拍などの生体データを随時取得できるようにすることで、倒れている状態の時「寝ているだけなのか体調に異常があるのかを家が判断するという。異常を発見した後は、オペレーターが救急を要請し、隊員の到着を確認すると遠隔操作で玄関の鍵を開けることが可能で、早期発見により命を救う確率が増やせるという提案。センシングの技術やこまかな仕様については公表されなかったので詳細は不明だが、今後、実証実験・臨床研究を重ね2020年春に「プラットフォームハウス」を発売予定とのこと。
シャープ
IFAにつづきCESにも復活! 4年ぶりとなるブース出展では『8KとAIoTで世界を変える』という事業ビジョンに基づき、最新の取り組みを紹介していた。日本でも馴染みの空気清浄機や、先日発表したペット事業のほか、AIoT/Smart Homeなどが提案されていた。冷蔵庫・IHコンロ・食洗機・オーブン・換気扇など、IoT搭載のアイテムが揃うSmart Kitchen Suiteなどは、日本では展開していないので今後の展開に期待したい。
オムロン
オムロン株式会社の展示では、まだ日本で展開していない、スマートウォッチ型の血圧計「HeartGuide」の展示が印象に残った。FDAの医療機器認証を受けた血圧計機能で、2018年12月に米国で発売。スマートウォッチ型だと常時血圧を測定できるため、運動中や睡眠中の血圧も測定でき、より健康管理がしやすくなる。また、簡単に心拍数が計測できる計測機も展示。スマホをセットし親指を置くだけでOKで、データはアプリで管理できる。保険を個人でかける米国では、健康状態により料金に影響するので、この手の製品導入には積極的とのこと。いずれも日本での発売はまだ先だが、ニーズはあると感じた。
Shiftall
パナソニックの子会社であるShiftall(シフトール)が、ビール専用の冷蔵庫「DrinkShift」を展示。自社開発の専用冷蔵庫とビールの減り方に準じて自動補充するサービスだ。スマホのアプリと専用冷蔵庫を組み合わせ、庫内のビール残数から使い手が飲むペースを自動で判断は、最適なタイミングで指定した場所へビールを届ける。ビールは専用店から届き、クラフトビールを中心として多数の銘柄を取り揃える予定とのこと。配達してもらうセットは、好きな銘柄を組み合わせられるのもユニーク。
LG
LGのプレスカンファレンスは印象的だった。5Gの実用性から8K・スマートホーム・amazon dashとの連携・ビール製造機と、実に多岐に渡っていた。目玉は8Kテレビ。スクリーンのように巻き取れるOLED(有機EL)で、画面がスルスルと台座に巻き込まれていく様は驚きとワクワク感があり、プレスカンファレンスでのお披露目では会場にどよめきが起きた。その一方で、ビール製造機「LG Home Brew」というアナログな印象のする提案もあり、かえって印象に残り好感が持てた。
Pet Tec
ペット関係の展示も非常に多かった。特に、ペットの健康を管理するためのウェアラブル関連は、国を問わずさまざまな製品が展示され、ペットが一大産業になっているのを肌で感じた。シャープがグローバル展開を目指すのも納得できる。そんなペット関係から、日本では見ない提案を紹介する。
AI自動給餌器「Mookkie」
猫を顔認識して個体を識別できる自動給餌器。フードにホコリやゴミが入らないよう、透明なカバーが付いており、猫が近づくとフタが自動で開く。この製品は、猫の顔を認識し個体識別できるのが特徴。登録した猫の顔にしか反応しないので、他の猫にフードを取られてしまうのを防ぐこともでき、多頭飼いの家庭におすすめだ。
自動給餌器「FEEDER 101」
ウェットフードにも対応する自動給餌器。ドライフードを水でふやかして与えるオーナーが多いというニーズを受け、本体にはドライフードと水をセットでき、食餌の時間になると自動的にフードと水を混ぜて提供する。6個のトレイがあり、ドライフード、水、ウエットフードなど、時間により出てくるものをプログラムすることも可能。今後はカメラを搭載しペットの様子を確認できるようにバージョンアップを予定している。春以降、米国のクラウドファンディングで製品化を目指すとのこと。価格は2万円以内を想定。
自動トイレ「LavvieBot」
猫のトイレは手入れが大変らしく、たくさんの自動トイレが登場していた。中でもこの製品だけが、砂の清掃から補給まで全てを自動でできていた。猫が排泄した部分の砂をかき混ぜることで、排泄物で汚れた砂と排泄物だけが下のトレイに排出されるので、トレイに溜まったものを捨てるだけでOK。砂の量を検知して、少なくなると上から新しい砂を補給する。トイレの汚れ具合はスマホのアプリに届き、トイレ砂の発注もワンクリックでできる。
ペットドライヤー「Pepe」
ペットを中に入れて乾かすドライヤー。ケージ内の7方向からから温風が吹き出す。温度設定ができ、ペットが嫌がらないよう静音設計になっている。床部分には珪藻土のタイルのような吸水性の良い素材が敷かれていて、水滴がどんどん吸収されていた。確かにシャンプー後のドライ作業はなかなか時間がかかるので、じっと入っていてくれるなら便利そう。LEDライトによるスキンケア効果や、マイナスイオン発生などのギミックも搭載する。
◇Pepe
ペットUV除菌機「avec」
中にいれてたペットをUV除菌できるケージ。犬を散歩すると、草むらや垣根の中など、興味の向くままアチコチに侵入していく。当然、毛にたくさんのホコリ・花粉・虫など、さまざまなモノが付着してしまう。そんな付着物を送風で取り除いたうえで、UV除菌してくれるという。ケージの排気口にはそれらの物質が外に漏れないよう、フィルターがセットされている。室内犬が増えているので、清潔志向が高い人にはニーズがありそうだ。
◇avec
猫じゃらしロボ「MOUSR」
猫のお守りをしてくれるペットシッターロボ。まるでネズミのようにチョロチョロと動きまわる小型のおもちゃで、スマホと連携して、MousrのセンサーとAIを使用して猫が飽きない動きを実現。どんな遊び方をしたかも記録に残る。猫のストレス解消にも良さそうだが、疲れて愛猫の相手ができない時にも便利そう。
目を引いた新提案
CESイノベーションアワードはじめ、たくさんのスタートアップ企業が実用化を目指してさまざまな製品を展示している。その中から、筆者が注目したものやココロ惹かれたものを最後に紹介する。
コードレスドライヤー「VOLO Beauty」
米国のスタートアップ企業。コードレスタイプのヘアドライイヤー。ヒーター系の家電なのにコードレスというのは珍しい。やはり、ヒーター部分に新しい技術を搭載することで、コードレス化を実現できたという。本体はそこそこ大きいが、コードレスなのに温度もしっかり高く、十分な風量がある。1回の充電で40分程度使えるとのこと。ヘアドライヤーがコードレスになると、洗面所周りがさらにスッキリするはず。標準化に期待!
節水型食洗機「Tetra」
その佇まいの美しさがまるでオフジェのようで、いつも人だかりができていたのがこの製品。デザインだけでも欲しいと感じた。透明な箱型の中に杵つきがセットされているので、食洗機だろうと予想はできたが、その仕組みがいまひとつ見えない。肝は、この企業Heatworksが開発した、水に熱を加えてお湯にする技術「Ohmic Array Technology」。この技術による熱効率の良さと、少しの水で洗えるため給水も排水もいらないのが、最大のメリット。どこでも設置ができ、かつデザイン性も抜群!日本でも展開して欲しい。
カラフェ「DUO」
こちらも先の食洗機と同じメーカーの製品。瞬時で水の温度を正確に調整できる技術により、左右で違う温度が注げる水差しとのこと。例えば、右側から注ぐ冷水、左側から注ぐとお湯、ということが可能としている。しかも1℃単位で調節可能。これぞまさしく「魔法瓶」。電池式なので、アウトドアで使えるのも魅力。
◇DUO
おつまみ付きビールサーバー「The Fresh Geoffrey」
フランスのスタートアップから。グラス・ワインクーラー・ビールサーバーのほか、おつまみ一式を載せられる自動ワゴン。コップを洗う機能もあり、ワインとビールいずれも飲める。スマホでキッチンから自分が居るリビングまで、誘導できる。キッチンで誰かがこれにセットしなくてはならないので、本当の意味で自動とはいえないが……とにかく和ませてくれた笑える製品。
BIG CLAPPY
日本のスタートアップから。JEMAのブースに、日本のスターツとアップ企業の展示が集約されていた。大きな赤いキャラクターが頭の上でひたすら拍手をしてくれるという、拍手ロボット。スマホのアプリと連動すると「一丁締め・三本締め」などのパフォーマンスモードや、音楽に合わせて手を叩くミュージックモードなども楽しめる。今回の視察で、もっともバカらしくて心癒された製品。日本の未来はちょっと明るいかも。