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エレクトロラックス・ジャパン長岡社長が語る、今後の日本市場での展開

 エレクトロラックスが11月2日に発売する新型スティッククリーナー「Pure F9」。発表の場で、エレクトロラックス・ジャパン 代表取締役の長岡 慶一氏に単独インタビューを行なった。

エレクトロラックス・ジャパン 代表取締役の長岡 慶一氏

――本日発表したスティッククリーナー「Pure F9」と、これまで展開されていた「エルゴラピード」との違いを教えてください

 「Pure F9」は、これ1台で家中を掃除できるというコンセプトで作られています。優れた吸引力とその持続力は、日本の平均的な住宅を掃除しきれるだけのスタミナを持っています。また移動する重心は手首の負担を軽くするだけでなく、しっかり掃除することも可能です。キャニスター掃除機をリプレイスできるだけの実力を持った掃除機として、発表しています。

 その点「エルゴラピード」は、キャニスター掃除機があるという前提でのサブ的な掃除機という側面が強いと思っています。

2018年11月発売の新型スティッククリーナー「Pure F9」
2017年9月発売の「エルゴラピード リチウム プレミアム」

――これまで日本市場では掃除機のほか、調理家電や洗濯機を発表されていますが、他の家電を発表される予定はありますか

 残念ながら現在は、これまで販売していない種類の家電機器を日本で展開する予定はありません。それよりも、すでに販売している掃除機、調理家電、洗濯機を強化していく予定です。

 掃除機については、現在の製品ラインナップでは、まだ満たせていないお客様のニーズがあると思っています。複数の製品を投入して、今後も積極的に取り組んでいく予定です。

 調理家電については、これまで日本で販売したものは、フットプリント(接地面積)が大きかったと反省しています。日本市場のみ向けということではありませんが、現在、フットプリントの小さいものを準備中です。とは言えまだ現在は、どういうお客様へどういう値段でどういうチャンネルを通じて販売するかも含めて、検討の段階です。

 ちなみに、エレクトロラックスの「プロフェッショナルシリーズ」は、ミシュランで星を持つレストランの5割が使っているという調理家電で、シェフの声を反映させたプロユースの製品です。つまり我々の強みは、シェフと直接会話しながら調理家電を作れる点にあると思っています。これまでも、シェフの声を反映したコンシューマー向けの商品を作ってきましたが、今後はこのサイクルを体系化できないかを模索しています。

 洗濯機については、日本ではコンシューマー向けよりも法人向けに注力しています。例えば、医療用途の洗濯機は、日本の厚労省ガイドラインにより、洗濯時の水温に85℃以上が求められます。弊社の洗濯機は、既にスウェーデンなどで医療用途の実績がありますので、これが可能です。ですから、まずは医療用での展開ができます。さらに、例えば理容店やレストランといった、衛生が求められる周辺の事業での展開も可能です。現在はそういったことを中心に取り組んでいます。

――日本市場については、どうお考えでしょうか

 本社の日本に対する考え方は、ここ5年ほどで変わってきています。以前は、例えばスウェーデン本国やヨーロッパで人気があった製品が、日本で販売されました。ですが現在では、日本でリサーチやマーケティングを行なって、日本人の75%が良いと言ったものが、世界で発売されるようになっているのです。

 これはどういうことかと言うと、我々にとっての日本市場というのは、売上と利益だけでなく、製品に対して世界で最も厳しい市場として"フィードバックを得る場"でもあるということです。

 製品の意見をもらうために、日本でグループインタビューなどを開催すると、みなさん、大変熱心に意見を言ってくれますし、"良い物"に対するみなさんの熱意を感じます。私は、日本人は道具に対する思い入れが違うんじゃないかと感じています。

 また日本は、本国のスウェーデン同様に、靴を脱いで生活する文化です。その事もあってか、日本からのフィードバックは、スウェーデンのメンバーに理解されることが多いんです。

――最後に、エレクトロラックスの今後についてお聞かせください

 エレクトロラックスは、世界で一番最初に製品購入に割賦を導入し、世界で一番最初にロボット掃除機を作った会社です。他社にないユニークなことを続けながら、消費者の生活を豊かにすることをモットーに106年経営してきました。

 スウェーデンのある"スカンジナビアカルチャー"の一つに、"人と同じことはやらない"、"me tooにならない"ということがあると思います。他のメーカーと同じ物を作っても、消費者の生活は向上せずに、横ばいのままです。今後も、チャレンジを続けながら、みなさんの生活を豊かにしていければと思っています。

2001年発売のロボット掃除機「トリロバイト」