長期レビュー

パナソニック「3つ星ビストロ NE-R3500」 最終回

~スマホ連携機能がかなり使える! 献立を考えるのが楽しみに
by 阿部 夏子

 
「長期レビュー」は1つの製品についてじっくりと使用し、1カ月にわたってお届けする記事です。(編集部)


パナソニックのオーブンレンジ「3つ星ビストロ NE-R3500」

 パナソニックのオーブンレンジ「3つ星ビストロ NE-R3500」の長期レビューをお伝えしている。1回目では、トーストを5分以内で両面こんがり焼き上げるスピード加熱や、野菜の下ごしらえや解凍など使用頻度の機能の性能の良さを、2回目では、ビストロの大きな特徴でもある加熱時間10分の「10分でちゃんとごちそう」メニューや冷凍した食材を一気に焼き上げる「凍ったままグリル」機能をご紹介してきた。

 最終回となる今回は、今モデルから新たに搭載したスマートフォンとの連携機能を中心にご紹介しよう。

1回目は→こちらから
2回目は→こちらから

スマートフォン連携機能で買い物メモいらず!

本体前面に用意されているAndroid携帯をかざす場所

 今回のビストロのように、スマートフォンと連携した白物家電というのは、今年の大きなトレンドの1つでもある。外出先から、自宅にある家電製品の操作ができたり、スマートフォンをリモコン代わりに使えたりと、各社様々な製品を展開している。パナソニックでもオーブンレンジだけでなく、エアコンや炊飯器、洗濯機、体組成計など様々な製品にスマートフォン連携機能を搭載して、注目を集めている。

 ただし、それが実際に便利なのかというと話は別。多くのスマートフォン連携家電が、Android携帯にしか対応していないこともあって、iPhoneユーザーの私が使いこなすのはまだ先だろう――と勝手に思い込んでいた。それが今回、同僚のAndroid携帯を借りて、ビストロの操作をしてみたところ、その便利さに驚き。ビストロの機能を使いこなすために、Android携帯に乗り換えるのもアリかも……と真剣に悩んでしまったくらいだ。

 ビストロのスマートフォン連携機能は大きく分けると3つある。まず1つめはレシピ検索機能。ビストロの目玉でもある「10分でちゃんとごちそう100レシピ」はもちろん、本体付属のクックブックに掲載されているレシピ、さらには本体に付属していない「スペシャルレシピ」までも用意されている。

レシピ検索画面こちらはアプリ限定のスペシャルレシピレシピは写真付きでわかりやすい

 次に、本体操作機能。これは事前に選択したレシピ画面を本体にかざすと、選択したレシピのメニュー画面が表示され、あとはスタートスイッチを押すだけの状態になるというものだ。ビストロのようなハイエンドモデルのオーブンレンジでは、何百という自動メニューを搭載しており、そのメニューを探すのも一苦労だった。それが、スマートフォン連携機能を使えば、携帯を本体にかざせば一発でメニュー画面が表示されるというわけだ。

 3つめは、本体の使い方ガイドが確認できるという機能。オーブンレンジに限らず、最近の家電製品は機能が複雑な分、取り扱い説明書も分厚くて大きい。スマートフォンで基本的な使い方が確認できるのはかなり便利。たとえば、電車の中で各機能を確認したり、使っていてわからない機能をスマートフォンですぐに確認できる。

 これら機能を使うには、あらかじめAndroid携帯に「Panasonic Smart App」をインストールして、パナソニックの会員サイト「クラブパナソニック」への無料会員登録を行なう必要がある。操作は至って簡単で、アプリをインストールしてから実際に使い始めるまで10分ほどで作業は終わる。

同僚のAndroid対応スマートフォンを借りて「Panasonic Smart App」をインストールスマートフォンを本体にかざすことで、機器の登録が完了購入時期などを登録する。操作は簡単でアプリのインストールから使い始めるまで約10分程度で終わる

 3つある機能の中で、特に便利だったのが、レシピ検索機能。前述のように何百というレシピがあるので、全てのメニューを把握するのはとても無理。それが、スマートフォンで全てのメニューを検索できるので、会社帰りの電車の中で「今日のご飯どうしようかな」と探すことができるのだ。

 スマートフォンの見やすい画面で、メニューブックをじっくり閲覧できるので、これまで知らなかったメニューを発見できるという利点もある。私の場合、冷凍餃子をビストロで調理できるというのを初めて知った。これは自動メニューには入っていないレシピで、本来なら加熱方法や時間を自分で設定する必要がある。それが、スマートフォン連携機能なら、冷凍餃子のレシピページで焼き方を確認、後はビストロに画面をかざすだけで、加熱方法や加熱時間が設定されて、後はスタートボタンを押すだけ。

冷凍の焼き餃子も加熱できるというのをアプリで初めて知った作り方は図も入っていてわかりやすいスマートフォンの画面を確認しながら、準備を進められる
冷凍餃子をグリル皿に凍ったまま並べる上からキッチンペーパーをかぶせて、ペーパーが濡れる程度の水をかける冷凍餃子は自動メニューが用意されているわけではなく、下面を集中的に加熱する「下面グリル」で加熱。自分で加熱時間や加熱方法を調節するのが難しそうだ
冷凍餃子メニューの設定画面を本体にかざす。すると、自動で加熱時間や方法を読み込む本体に転送された内容焼き上がりはこの通り。パリっと焦げ目がついた

 さらに、レシピには「お買い物メモ」という便利な機能も搭載されている。これは材料が一覧で表示されるもので、チェックマークもついている。これを手にスーパーに行けば、必要なものが一目で確認できるというものだ。オーブンレンジの自動メニューは、その食材に最適な調理時間などが設定されているので、レシピ通りの材料を使うのがベスト。そのため、これまではレシピページの写真をスマートフォンで撮影して、その写真で必要な材料を確認しながらスーパーで買い物していたのだ。

 従来、ビストロの自動メニューを作るには、まず自宅で作るメニューを決めて、そのページを写真で撮影、スーパーに買い物に行って、帰宅したらもう一度レシピブックを見ながら調理、という4段階のステップが必要だった。ビストロの自動メニューがおいしいとわかっていながらも、やはり面倒で、前もって「今日はビストロで作るぞ」と、準備しなければならなかった。

 それが、スマートフォン連携機能があれば、帰宅途中にレシピと材料をチェック、帰宅途中にスーパーで買い物、スマートフォンで作り方を見ながら、本体にかざして調理スタートという風に、時間も手間も大幅に軽減される。これは活用しない手はないだろう!

お買い物メモ機能。材料が一覧になっていて、自宅にあるもの、既に購入したものにはチェックを入れられるスーパーでもお買い物メモを確認しながら買い物できる

 一度使い始めるととにかく便利で、スマートフォンの連携なしでは、ビストロの魅力が減ってしまうとまで感じている。諸事情あるのはわかっているが、iPhoneとの連携を切望する。

ケーキ作りももちろん得意!

 これまで料理の下ごしらえやパナソニックならではの「凍ったままグリル」や「10分メニュー」を紹介してきたが、オーブン機能で焼き上げるケーキなど、オーブンレンジの基本調理はどうなの? と気になった人もいるかもしれない。答えはもちろんイエス。ビストロならではのスピード加熱で、本格的なロールケーキを約14分(予熱含まず)で焼き上げてしまう。

 ロールケーキというと、手間がかかって難しいイメージがあるが、フードプロセッサーとビストロを使えば生地作りから焼き上げまで30分で終わる。そこから粗熱を取って、生地とクリームをなじませることを考えても、1時間半あれば十分だろう。手作りのおやつを作りたいというママには強い味方になりそうだ。

ロールケーキを焼く前の状態。角皿にクッキングシートを敷いて生地を流し込む加熱時間は約14分。事前に約6分の予熱がかかる裏面もしっかり焼き上がっていた
フルーツと生クリームを敷き詰める後は生地を巻いて、クリームを馴染ませる1時間ほど冷蔵庫で寝かしたら完成。卵の味がしっかりする家庭的な味のロールケーキができあがった

 もう1つ、グリル機能で試してみたのが、今が旬のさんまの塩焼き。さんまは脂の多い魚なので、ガスグリルで作ると、受け皿の掃除だけでなく、煙やニオイも気になる。ビストロでは「サンマの塩焼き」の自動メニューを用意。15分(さんまの数による)程度で、ぱりぱりに仕上げてくれる。

 両面一気に仕上げてくれるので、途中でひっくり返す必要もなく、焼き加減も最適。これはガスコンロの出番が少なくなりそうだ。

旬のさんまの塩焼き。頭と内蔵は事前に取り除いてある(好みに応じて、そのままでも良い)ビストロではさんまの塩焼きの自動メニューが用意されている両面パリパリに焼き上がった

片付けは、調理後すぐ! がキモ

 最後に気になるお手入れ面についてみてみよう。まずは、使用頻度の高いグリル皿について。これはとにかく使ったらすぐに洗うのが鉄則。特にグリル調理などで油が出る時は、すぐに洗うことをお勧めする。ビストロのグリル皿は、熱効率を高めるために、グリル皿の表面には溝が設けられているので、油が冷めるとその溝の部分に油が固まってしまい、面倒な掃除が必要になる。

 私の場合、グリル皿がまだ熱いうちにブラシを使って一気に水洗いして、その後はクッキングシートで、残った汚れを拭き取るようにして使っている。

 ビストロは、鏡面仕上げの美しいデザインも魅力の1つ。本体表面の掃除も定期的にするようにしたい。特に正面の扉は、指紋や油汚れが目立ってしまう。マジックリンなどを含ませたキッチンペーパーで、2週間に1回は掃除した方が良いだろう。

グリル皿は使用後すぐに、ブラシを使いながら水洗いする溝に残った汚れはクッキングペーパーで取り除く鏡面仕上げの扉は指紋や油汚れが付きやすい。2週間に1回は拭き掃除したい

働くママに迷わずお勧め!

 今回、特に感動したのが、スマートフォン連携機能。「スマホ連携オーブンレンジ」と聞くと、たとえばTwitterやFacebookを使いこなしている人じゃないと無理なんだと勝手に思い込んでいたが、実際は至って生活感満載で、画面表示も見やすく、個人的には紙の説明書よりも見やすいと感じたくらいだ。使い始めるまでの設定も簡単で良い。

 特に高級オーブンレンジの場合、搭載自動メニューの数の多さで競っているところがある。その結果、自動メニュー数200や300が当たり前で、オーブンレンジの価値はある意味メニュー数の多彩さで表現されていたのだ。じゃあそのレシピはどこに載っているのかというと、取り扱い説明書と一緒になった分厚いクックブックだった。各メーカー、使い勝手に工夫を施しているものの、極端な話、そのレシピブックを紛失してしまったら、そのオーブンレンジの価値も半減してしまうじゃないか! と内心思っていたのも事実。

 そのジレンマを解消してくれたのが、今回のスマートフォン連携機能だった。パナソニックは業界の中で良い先陣を切ってくれたと思う。

 早さや便利さにフォーカスした機能が多く、ターゲットがわかりやすい製品。たとえば、シャープのヘルシオであれば、脱油・脱塩、栄養素の確保を特徴とした「健康調理」を前面に押し出しているが、ビストロは時短調理はもちろん、まとめ作りを前提とした「凍ったままグリル」機能、1人分の調理を設定可能にしているなど「共働き夫婦」をターゲットにしているのが明らかだ。ゆっくり料理をする時間はないけど、なるべく手作りの料理を作ってあげたいという働くママには迷わずおすすめしたい1台だ。






2012年10月3日 00:00