長期レビュー

三洋電機「eneloop bike CY-SPL226」 第4回

~エネループバイクでロングライドは可能か?
by スタパ齋藤
 
「長期レビュー」は1つの製品についてじっくりと使用し、1カ月にわたってお届けする記事です。(編集部)



三洋電機「eneloop bike CY-SPL226」
 三洋電機の「eneloop bike(エネループバイク) CY-SPL226」長期レビュー第4回目。前回ではこの自転車がサイクリングにも向くことがわかったが、最終回となる今回は、やや実験的な内容───eneloop bike CY-SPL226すなわち電動アシスト機能が付いたママチャリで、東京都の奥のほ~にある奥多摩湖(小河内貯水池)まで行けるかどうかを試したい。

 [第1回目のレポートはこちら] [第2回目はこちら] [第3回目はこちら]

 eneloop bike CY-SPL226で行く目的地は奥多摩湖。もうちょい西へ行くと山梨県になるという、東京都の西端にある美しい貯水池(ダム)ですな。なお、出発地点は拙宅。

 ルート/走行計画としては、まず、拙宅から青梅駅まではアシストを使わず自力で走る。距離は約13km。この区間はわりと平坦なので、まずは「eneloop bikeはアシスト無しでも実用的かどうか?」を検証してみたいと思う。

 そして、青梅駅から奥多摩湖までは約28km。この区間ではアシスト機能を使う。標高差は300m少々。基本上り坂となるが、拙者の最も大きな関心事は「電池が保つかどうか?」である。何しろ拙者の体重は110kgオーバー。これを約28km・標高差300m少々まで持ち上げてくれるのだろーか、を検証したい。

今回eneloop bikeで挑戦するルート(青梅駅~奥多摩湖の区間)。走行距離は約28km ※地図はGoogleマップより引用

 あと、走行に際して、eneloop bike CY-SPL226の仕様の一部を変更し、また装備もシッカリと整えた。というのも、拙宅~青梅駅~奥多摩湖までは、片道合計で約41km、日帰りで往復82kmと、いわゆるスポーツ自転車にとっては長くはない距離だが、ママチャリでの走行と考えれば十分にロングライド。ちゃ~んと支度しないと、途中で体(とくに膝)を傷めたり、肉体的限界が来て走行不能になったりと、フツーにマジメに危険を伴う距離だ。……まあ奥多摩湖に至る道(国道411号/青梅街道)は、民家や商店、コンビニなどもあるので行き倒れってコトはないと思うが。ともあれ、出発前にその仕様と装備をご紹介する。

奥多摩湖ツーリング用に装備を整えたeneloop bike。サドル周りは拙者体格に合わせて交換した非純正品クルマも走る道を行くならバックミラーが必須。後方の様子を常に把握すれば、余裕のある走行が可能になって安全だGPSマップも装着。コレは記事作成のための情報確認用っス。でも、あればあったでいろいろ役立つ&楽しいことは確か

長距離走行にはボトルが必要。走行中でも水を飲めることが大切。少しずつ継続的に給水すると疲れにくいし、体のトラブルも抑えられるボトルはこのような金具(ボトルケージ)で保持する。ママチャリにボトルってのも案外シックリくる。実際に使いやすかったカゴには多用する小物を。小物はひとまとめにし、下にはクッションを。ひったくり防止のため、ネットなどで覆うと安心&安全だ

荷台にはバッグを取り付けた中身はタオルとかウィンドブレーカーとかケータイとか非常食とか荷台からはこんなふうに取り外せる。面ファスナー式で脱着が容易なので、自転車を置いてショップに入るときなどは荷物を丸ごと持ち歩ける

ワイヤー錠があると安心。eneloop bikeはループ錠装備だが、高級品なので丸ごと持ち去られる可能性も。そうなったらもはや走れず、お手上げだワイヤー錠はこんな位置に装着。自転車を離れるたび、毎回施錠しましたヨサドルとシートポストは体に合ったモノへと交換。この部分、長距離走行には最強に重要。サドルが合ってないと尻に激痛。サドル高が合ってないと膝に激痛。走れなくなっちゃうヨ!!

 能書きはこれくらいでやめ、早速走り出してみよう。

まずは、アシスト機能オフでスタート。写真は出発後30分くらい走った頃だが、けっこーペダル回しまくりで汗かきまくり。アシスト機能オフに加え重装備なのでサスガに重~い!! のであった
 まずは拙宅から青梅駅まで。距離約13kmで標高差100mくらい。ゆる~い上り坂が続くって感じだが、eneloop bike CY-SPL226のアシスト機能をオフにして走るとどういう感じなのだろうか?

 正直な話、アシスト機能をオフにした電動ハイブリッド自転車は重いですのう。バッテリーやモーターを積み、さらにある程度頑丈なフレームを持つのでしょうがないが、あまり軽快な感じではない。とはいえ、ペダルを踏み続けるといつの間にかその重さに慣れ、フツーの自転車という感じで走っちゃえるようになった。そして青梅駅に到着。

はぁ、もうすぐ青梅駅。アシストOFFの重いママチャリで13kmも走るのは、やっぱりけっこーシンドイのであった昔ながらの風情漂う青梅駅に到着。てか、青梅あたりから向こうは全体的にのどかな雰囲気が残る。ココからはアシスト機能をオン!! 軽快に走って奥多摩湖に到着する……予定、である

青梅の街には昭和レトロなショップなどが多い。赤塚不二夫関連も。一日遊べる観光地だったりするので、ゼヒ一度このよーな懐かしさのある映画看板も多々。でも上映しているわけではなく、街中を飾るアートとしての看板ですな

 青梅駅からはアシスト機能をオン!! である。青梅駅から先は少しずつ傾斜が急になっていくが、アシスト機能によりラクに進んでいけた。ゆっくり、ラクに、気ままに進んで、見て回る。快適に観光するための足としてeneloop bikeはマジ秀逸だと感じた。

青梅駅から先は電動アシスト機能をオンに。これまでより少し傾斜のきつい上り坂が続くが、これまでより軽快に進める。さすが電動アシスト!!間もなく日向和田駅を過ぎ、「奥多摩名物へそまんじゅう総本舗」が見えてくる。蒸したてのまんじゅうを味わえるバッテリーはまだ十分ある。この調子なら奥多摩湖まで保つかも!!

しかし徐々に勾配が急になってきた同時に空気が冷たくなり、渓流の色も独特なものになってきた

……などと観光者気分で進んでいたら、もう御嶽駅。しかし奥多摩湖まではまだ約19kmもあったりする
 御嶽駅あたりまで来ると「奥多摩に来たなぁ」てな気分になる。大きな橋が目立つようになり、その下には美しい渓谷が。しかしママチャリロングライドの本番はこれからである。御嶽駅から奥多摩湖までは約19km。そして御嶽駅あたりと奥多摩湖の標高差は300m。ココからガガガッと上っていくわけですな。
御嶽駅を抜けると風景がかなり変わってくる。高いトコロを走ってるって感じと、思ったら、バッテリーインジケーターが1つ減った。この状態でのバッテリー残量は50~75%。奥多摩湖まで保つかニャ?青梅駅からこの「青梅マラソン30km折り返し」地点まで12km程度。この走行でバッテリーが30%くらい消費された感じですな

鳩ノ巣駅に到着。奥多摩湖まであと12kmくらい奥多摩駅に近づくと、山が下に見えるようになってくる橋の上からの渓流も格別の美しさ

トンネルも増えてくる。自転車にとっては危険な通過ポイントですなこのように照明アリ&歩道アリのトンネルもあるが、そうでないトンネルのほうが多い。超注意して通過しないとネ!!eneloop bikeはハデに点滅する尾灯を標準で装備。これによりトンネル内を安心して通過できた

 ここまでのけっこー急だったり長かったりする上り坂、eneloop bikeのアシスト機能がビシッと助けてくれましたよええ。どの坂でも息が上がるということがなかった。楽勝ってほどラクなわけではないが、あーもーダメ~ってほどキツくはない。周囲の風景を見たりして気を紛らわせれば頑張れる程度の厳しさだ。

 ……試しにアシストをオフにして数百m走ってみたが、上れないことはないものの、肉体的にかなり消耗。アシストによりずいぶんラクしてるってコトを再確認した次第である。

 ところで、青梅駅から先は、徐々に勾配がきつくなりつつ、アップダウンも増えてくる。で、案外多いのがわりと急な下り坂だ。下り坂ではもちろん、後ろブレーキを軽くかけ、eneloop bikeの回生ブレーキが働くようにする。つまり意識して充電するわけですな。

 ただ、急な下りだと、スピードが出すぎて回生ブレーキが働かない。スピードが出れば出るほど回生ブレーキ働きまくりで充電しまくり、という仕様だったら嬉しいんだが、実際は24km/h以上のスピードでは回生ブレーキが働かないのだ。この点、ちょっと違和感&疑問が残った。

奥多摩駅へ到着!! 青梅駅から約20kmの距離ですな。この駅まで輪行(電車など公共交通機関で自転車を運ぶこと)して奥多摩湖を目指したりするサイクリストも多い。奥多摩駅から奥多摩湖までは約6km奥多摩駅から進むとすぐにこのようなコンビニが。わりと多くのサイクリストがここに立ち寄ったりする。なぜかと言うと……ココが東京都の最終コンビニなのダ!! この先にもコンビニじゃない商店や飲食店ならありますけどね。奥多摩湖過ぎて山梨まで行けばコンビニもありますけどね

コンビニで買い物を終えて走り出そうとしたそのとき、バッテリーインジケーターが「1」の状態に。これは電池残量25~50%を示す。奥多摩湖まで行けるのか~ッ!?奥多摩駅から先は勾配がキツくなるが、その分、景色もよくなる橋のずーっと下に渓流が流れてたりする。風も冷たくて気持ちイイのだ

 傾斜がキツくなると、ペダルを踏む足にも力が入る。さらにはハンドルをグイグイ引っ張りつつ足に力を入れる、という踏み方にもなる。そこで気づくのがeneloop bikeのフレームの柔らかさだ。

 えーとですね、力入れてグイグイとペダル踏むとですね、フレームがですね、グニグニと左右に捻れる感じが体感できますヨ。目視もできる。なんかフレームが軟弱な感じで不安ではあるが、しかし、もしかすると乗り味のソフトさにつながっているのかもしれない。気のせいかもしれないけど。

 さておき、いよいよ目的地がすぐソコに!! 最後の力を振り絞り(ってホドは疲れてないけど)、最後の電力でアシストしてもらいつつ、奥多摩湖にフロントホイールを向けた。

あと3つトンネルを抜ければ奥多摩湖の直前に!!なんか空が近くなっているような気がしてくるそして目の前に奥多摩湖(小河内ダム)が現れた!! あ、壁みたいなのがダムですな
そしてまさかのバッテリー切れ!! 写真ではインジケーターが消灯しているが、実際は最後の1つのみが点滅状態になっている
 で、ここでウソのようなホントの話なんですけど、奥多摩湖直前の駐車場に来た途端、バッテリーが切れてしまった! ……のだが、eneloop bike CY-SPL226にはパワーリザーバー機能があり、バッテリー切れ状態でも、実は1Ah分の予備容量が残っている。これを使えばオートモードで約4km走行可能なのだ。

 ってコトで、パワーリザーバー機能を使い、最後に残った予備容量を使って奥多摩湖へ。数百mだが、かなりキツい最後の上り坂をしっかりアシストしてもらいつつ、目的地に到着した。

 到着時の感想は「やっぱスッげェよ俺の最強にマキシマム強まった電動ハイブリッドヒルクライムバイクっ!! イィ~ヤッハァ~!!」てな感じであり、興奮冷めやらぬまま弁当食って一休みして、実は隠し持っていた満充電予備バッテリーを使って快適に帰途についた拙者であった。

しかし、電池切れでも1Ah分の予備容量を残す秘技「パワーリザーバー」を炸裂させて、アッサリと奥多摩湖へ到着深いエメラルド色のダム湖はいつ見ても美しいっ!!

 体重110kgオーバーの拙者が青梅駅→奥多摩湖までアシストしてもらって上れたので、フツー的な体重の人なら問題なくイケるのではなかろうか。ともあれ、ロングライドまでデキちゃうんですな、今時的電動ハイブリッド自転車、侮れない。



その1  / その2  / その3 / その4


2010年6月25日 00:00