長期レビュー

東芝「ZABOON(ザブーン) TW-Z9100」最終回

~気になるニオイも水を使わず脱臭! 光熱費削減にも貢献します
by 藤山 哲人

 
「長期レビュー」は1つの製品についてじっくりと使用し、1カ月にわたってお届けする記事です。(編集部)



最終回は水を使わずにぬいぐるみなどが除菌・脱臭できる機能などを紹介しよう

 これまで4回に渡ってお届けしてきた東芝のドラム式洗濯乾燥機「ZABOON(ザブーン)TW-Z9100」だが、いよいよ今回が最終回。一部で「この筆者や家電Watch編集部に東芝からお金が入っているんじゃないか?」とまことしやかに囁かれているが、それはまったくのデタラメであると宣言しておく。なにせ広告だったら脱水運転音がうるさいとか、粘着質に自分で測定器作ってまで床の振動が大きいなんて調べませんって(笑)。

 全5回という、これまでで最長のロングレビューになってしまったが、これは筆者が惚れ込んだ機能が盛りだくさん過ぎて、編集部に「どの説明もカットしたくない!」という強い要望を出していたからにほかならない。

 さて最終回のテーマは、お風呂の残り湯を使った場合や、水を使わない脱臭モードなどの“清潔機能”、そして、家族や夫婦間の円満の秘訣にもなる“経済性”を紹介しよう。ザブーンは、真っ白でフワフワの洗濯物を提供してくれるだけじゃなく、脱臭や抗菌に加え、お財布と時間、そして家族にも優しいのだ。

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銀イオンの抗菌水で、お風呂の残り湯でもニオイなしで安心

 まず最初は、“お風呂の残り湯を使っても大丈夫?”という清潔面から見ていこう。

こちらが残り湯。トロみがつき、浮遊物もチラホラ見られ、さすがにコレで頭や顔を洗う勇気はない。普段なら使わないところだが、今回はあえて洗濯するぞ!

 読者の中でも、ニオイやバイ菌などで、お風呂の残り湯を洗濯に使うのをためらう人は多いはず。5人家族の我が家の場合も、追い焚き機能でお風呂のお湯を使い回すと、「このお湯は中華料理のあんかけ?」と思うほどトロみの付いたお湯になってまう。中学生2人、小学生1人の娘軍団に言わせれば「このトロトロは哲ちゃんのせいだ!」(注:家では“お父さん”ではなく名前の“哲ちゃん”と呼ばせている)と、腑に落ちないことを言われるが……。

 しかしザブーンで風呂水を使う場合、カタログによれば「抗菌水でニオイや雑菌から衣類を守る」と謳われている。その理由は、洗濯槽の水を循環させる経路に銀イオンを水に溶かしだす「抗菌水ユニット」なるものが付いているからだ。

 銀(Ag)イオンは、汗のにおいや加齢臭、タバコ臭や生ゴミ臭に効果があると言われている。テレビCMでも、脇の下などにシュー! とひと吹きする抗菌・消臭スプレーのCMでもお馴染みだ。さらに、大腸菌や緑膿菌(食べ物を腐らせる原因)、黄色ブドウ球菌(皮膚や頭髪にもいる菌で、繁殖すると食中毒の原因になる)などに対する抗菌効果についても、各種機関から実験データが公開されている。つまりザブーンの抗菌水も、銀イオンを使った抗菌・消臭効果が期待できるということだ。

 そこで今回は、お風呂のフタを開けるとムワッとニオイがする残り湯を使って洗濯し、ニオイを嗅いで問題なく洗濯できているかをチェックしてみよう。

勇気を振り絞って、残り湯で洗った自分の靴下のニオイを嗅いでみる。辛いな~、今回の仕事、辛いよ……と思いきや、あれ、全然臭くない! (画的に臭そうに見えるのはご容赦ください)

 トロみの付いた残り湯で洗うのは勇気がいるが、そのお湯で洗った洗濯物のニオイを嗅ぐのは、さらなる勇気が必要。これも読者と科学と実験結果のため! と、自分の靴下のニオイを嗅いでみた。今回の実験は、技術は要らないけど精神的に辛いな……(笑)。と思っていたら、

 「あれ?ぜんぜん臭くないぞ! って言うか洗剤のいい香りじゃん!」

 ニオイは水道水で洗ったものとまったく変わりなく、とても残り湯で洗ったものとは思えないものだった。銀イオンはその場限りではなく継続性があるので、娘が着る体操服や夏場の衣類では、さらに効果を発揮することだろう。ザブーンは、衣類の汚れだけでなく、ニオイやばい菌まで洗濯してくれるのだ。


イオンで水を使わずにキレイにする「ウイルスハンター」は、わずかだが効果あり

 3日目の残り湯を使っても洗濯物に移り香することなく洗濯できたが、ザブーンにはもうひとつ、脱臭と除菌に関わる機能がある。それが「ウイルスハンター」機能だ。

 これはエアコンや空気清浄機などで見かける「○○イオン」とかいう脱臭・除菌方法と同じ。ザブーンの場合は、1mmの1/1,000となる「ナノサイズ」よりもさらに1/1,000も小さい大きさの「ピコイオン」を発生するので、より強力という触れ込みだ。これにより水を使って洗濯できないぬいぐるみやクツ、スーツや帽子をピコイオンで洗浄し、脱臭・除菌するという。

ウイルスハンター機能は、水ではなくピコイオンで脱臭・除菌するモード。ぬいぐるみやクツ、デリケートな衣類やスーツなどもキレイにできるウイルスハンター運転中は、青く独立した「Picoion」ランプが光る。それ以外は乾燥運転とほとんど同じ

 しかし、各メーカーの打ち出している「○○イオン」効果については賛否両論あって「科学的な根拠がない」という否定的な意見は多くある。一方で、メーカー側は「効果あり」と大きく宣伝していてその溝は深い。さながら「宇宙人はいるか?いないか?」という論争に近くなっている。確かに言えるのはただ1つ、「今のところ科学的な根拠は怪しくても、実験結果では効果があると認められた」という点だ。

 こういう場合は、ユーザー側で実際にやってみるのが手っ取り早い。除菌効果については自宅で証明する実験手段が見つからなかったので、ニオイに特化した実験を行なってみよう。

 用意したのは、中学1年生の娘が1カ月履いた上履きと、筆者が3カ月間洗わずに使っていた枕と枕カバーだ。なおマニュアルには「ピコイオンでは、汗や皮脂は汚れが落ちないのでいったん洗濯してから行なう」と記載されていたので、枕とカバーは一度洗濯してからウイルスハンターに掛けた(クツは洗わないまま)。

 このウイルスハンターには、イオンを全体になじませるようにドラムを回転させる方法と、デリケートな衣類やぬいぐるみ、クツ向けにドラムを回転させない方法の2通りが選べる。枕とカバーはドラム回転、上履きはドラム停止でそれぞれ実験してみた。

 また、運転時間は自動的に計算してくれないので、手動で30分~6時間まで指定する。ここでは1時間運転してみたところ、次のような結果になった。なお、今回は音香科学の「臭い測定器」で計測したニオイの数値を参考にしている。数値は測定器独自のもので特に単位はないが、0が屋外の臭い(無臭)を示し、値が大きいほど「臭い」ことを示している。ちなみに、換気をしている部屋はほとんと無臭の「9」、納豆のニオイは「246」、タバコの煙のニオイは「1338」だった。

ウイルスハンター運転におけるニオイの変化を、音香科学の「臭い測定器」で計ってみよう。写真は我が家のリビングで、数値は「9」ウイルスハンター運転前における、娘の上履きのニオイは「12」。数値が大きいほど、ニオイが強いことになる自分用の枕は「40」(ウイルスハンター使用前)
【ウイルスハンター機能による、ニオイの変化】
対象物 使用前 ウイルスハンター
運転後
娘の上履き1210
自分用の枕+カバー4013

 上履きのニオイは、元から12と低かったものの、それでもわずかだが減少していることを確認できた。さらに長時間運転していれば、もっと数値が下がる可能性もあっただろう。しかし、マニュアルには目標時間などが書かれていないのが残念。こういう場合は、だいたい何分という指標を示してもらいたいところだ。

 枕については、いったん洗濯した影響もあってか40→13にまで下がった。枕の消臭効果は、洗濯によるものかピコイオンによるものかは定かでないが、洗濯と合わせると「効果アリ」と、ここでは友好的に解釈しておこう。なぜなら嫌がる子供たちに無理やりニオイを嗅がせてみたところ、「え?そんなに臭わないね」って言ってくれたからだ(これで臭かったら、DVになりかねないけど!)。

 しかし、なにより驚きの実験結果は「オレの枕はいくら洗ってピコイオンで消臭しても、中学1年女子が1カ月履いた上履きより臭い」という点だ。オレ……、そんなに臭いのかなぁ?



3つのセンサーで賢く節約! 体感できなくても請求書に現れるはず!

 脱臭・抗菌効果の次は、ザブーンのエコ性能を見ていこう。第1回目の連載では、洗い運転ではたった10Lしか水を使わないというエコ性能を紹介したが、ザブーンには3つのセンサーが搭載されていて、さらにお金と時間を節約してくれる。

1) 布量センサー

 ドラムに入れた洗濯物の量を判断して、もっとも経済的な水量や洗剤の量を指定してくれるというもの。この機能は、どんな洗濯機にも搭載されているので、さほどアドバンテージにはならないだろうが……

2) 布質センサー

 例えば水を吸いにくい化学繊維の場合は、すすぎで使う水量を減らすなど、洗濯物の布質を調べて、それに合わせて使用水量を合わせてくれるのが布質センサーだ。どうやって調べているのか興味深いが、見えないところで賢く自動的にエコしてくれているようだ。

3) 温度センサー

 気温が高い場合は、洗濯時間を自動的に短縮するのが温度センサー。今は冬場なので、だいたい15分ほど洗い運転しているようだが、夏場になるとさらに短縮されるうれしい機能だ。

 これらの機能は、普段使っているぶんにはなかなか気付きにくい。過去に述べた通り“エラーフリー運転”ができるのがザブーンなので、洗濯スタートボタンを押すとその前を離れてしまうからだ。しかし、影で貢献してくれているのがこれらの機能になる。

センサーによりエコ運転が可能となると、液晶中央上に「ECO」運転中のサインが表示される

 また度合いは分からないが、エコ運転を行なっている場合は、液晶に「ECO」サインが点灯するので、エコに貢献している気分は十分に味わえる。

 さてマニュアルやカタログには、この3つのセンサーしか記載されていないが、これまで4回連載した実験結果を見れば、加速度センサーも搭載しているのは明らかだ。おそらく一般には通じにくいということでカタログなどではカットされたのだろうが、開発現場の「えー!それ切っちゃうの!?」という声が本体内部から聞こえて仕方ないので、筆者がここで復活させておこう。

4) 加速度センサー

 すすぎや脱水時に洗濯物の偏りやドラムに振動を自動的に検知して、偏りを直したり、モーターの回転数を抑えて運転する。エラーフリー運転が可能なザブーンの心臓部とも言えるセンサーで、エラーによりヒトの手間をかけないことに大きく貢献している。

※加速度センサーは、筆者がこれまでのレビュー結果から推測したものです。代用品が使われていたり、別のしくみであったりする場合もあります


1回の洗濯~乾燥に掛かるお金は40円そこそこ。洗濯物を干すのがバカらしくなる!

 ザブーンが搭載しているセンサーで賢くエコ運転をしてくれるのは分かったが、やはり生々しい金額に換算してみないとピンと来ない。そこで1回の洗濯にかかる金額を割り出す実験をしてみよう。

残り湯を使って洗濯する際に、テープを使ってすすぎ時の使用水量を測ってみた。すすぎ1回当たりで20L。運転中にすすぎは2回繰り返し、また洗濯時には10Lを使うので、合計50L使う計算となる

 これまでの実験から、洗い運転で使う水量はたった10Lということまで分かっているので、今回は2回のすすぎも含めた水を計ってみた。結果は1回のすすぎに使うのは20Lとなり、合計すると1回の洗濯に使う水はわずか50Lと判明!

 水道代は、たいてい上下水道の使用量として合算請求され、だいたい1L当たり0.2~0.4円といったところ。なので、中間の0.3円を取って1回の洗濯で使う水道料金を計算してみると、15円ということになる。大型の縦型洗濯機だと洗濯槽が60L程度あるので、洗いに使う水量よりも、少ない水で洗濯とすすぎ2回をこなすのがザブーンなのだ。スゲー! ザブーンって本当に水を使わないぞ!

 一方電気代は、洗い~脱水までが約2円。乾燥まで行なうと28円という計算になった(測定器による筆者調べ。洗濯物はおよそ6kg時)。

 お天気のいい日に洗濯物を外で干さないのは、気が引けてしまうのはよく分かる。しかしザブーンに洗濯物を入れスタートボタンを押して放置しておけば、乾燥まで確実に終わらせてくれて、水道・電気代込みでたった43円でできてしまうのだ。そう考えると、コインラインドリーってどれだけボッタクリなんだ!?

ザブーンでは運転終了後に、洗濯~乾燥で使った水と電気代の差を表示する機能がある。それによると、1回当たり45円。実際の運転から算出した筆者のソロバンとほぼ同じ価格を示したので、マニュアルでは「おおよそ」としているものの、かなり信頼性がある表示と言える

 この原価計算は筆者の調べによるものだが、ザブーンには運転終了後にボタンを押すと、今回の洗濯にかかった水と電気代を表示してくれる機能がある。それによれば、写真の通り45円だ。これまでに筆者が独自で算出したコストが、水道代が15円、電気代が28円なので、合計で43円。筆者のソロバンとほぼ同じ価格という結果になった。この表示は、かなり信頼性があると言えるのではないか。

 脱水した洗濯物を30分もかけて干す手間(冬の朝なら過酷労働手当ても欲しいところ)を時給に換算すると、乾燥まですべて洗濯乾燥機に任せてしまったほうが安上がりということになる。たった26円の電気代で、30分の辛い作業から開放されるのだ。なんだか脱水した洗濯物を干すのがバカらしくなってきたぞ! そしてこの原価をナイショにして奥さんにザブーンをプレゼントすれば、間違いなく恩を売れる! 多少の呑み代や浮気も多めに見てくれるかも?というぐらいの大きな恩だ。

 ザブーンのエコ性能は、洗濯や乾燥だけでなく、夫婦間の駆け引きも円滑にしてくれるハズだ。ただし、これは筆者の保証外になるけど(笑)。


メンテナンスは乾燥フィルターを片付けるくらい。ピコイオンで洗濯槽も自動クリーニング

 さて、最後にメンテナンスについて見てみよう。洗濯乾燥機のお手入れといえば、縦型にしても斜めドラムにしても、糸くずフィルターと乾燥運転のホコリフィルターの手入れが必要になる。

 まず糸くずフィルターだが、縦型だとたいてい槽内に袋状のものが付いていて、何年か使うと穴が開いて交換しなければならないが、ザブーンの糸くずフィルターは、水を循環させるポンプユニットに樹脂製のものが備わっている。

 縦型だと何回か洗濯すると糸くずフィルターが膨れ上がるほどになるが、ザブーンはほとんど糸くずが出ない。写真は20回ほど運転したものだが、糸くずはたったのコレだけなのだ。つまりザブーンはそれだけ衣類をやさしく洗っているから、糸くずも出にくいと言い換えられる。

本体下部のメンテナンスドアを開けると、糸くずフィルターユニットの栓が見える。水の循環ユニットにあるので、密閉されているのだ20回ほど運転しても、糸くずフィルターにはこれだけしか溜まらない。これはザブーンがいかに生地をやさしく洗濯しているかという指標になるだろう

 逆にものすごく溜まるのは、乾燥時のホコリフィルターだ。それまで使っていた(ピー)製の縦型洗濯乾燥機でも、乾燥運転を数回したら掃除機で吸ったりして手間がかかったが、ザブーンの場合は溜まるホコリの量がハンパない!

 本来は毎回お手入れをする必要があるが、ここでは分かりやすく見てもらうために「乾燥フィルターお掃除」のサインを無視して3回分溜め込んでみた(読者のみなさんはまねしないように。ってブログなどで公開したくなるぐらい溜まるから面白いんだけど……)。

 その量たるや、タオルでできた小さいハンカチよりも分厚い。1回でもこの1/3の厚みになるのだ。これだけたくさんのホコリが詰まってしまうと、乾燥時間が長くなったり衣類が乾かないという不具合が発生してしまうので、毎回お手入れが必要になる。

 「えー、なんだか面倒だな」と思うかも知れないが、これだけ溜まると掃除するのが楽しくなっちゃうのが人間ってもの。気分はでっかい耳あかが取れたアノ高揚感と同じ(笑)。なにせ掃除機で吸い込まなくても、手でピロピロって剥がせるぐらいなのだ。ただ月に1回程度は、メッシュに詰まった細かいホコリを掃除してやる必要もある。

ホコリフィルターは、運転するごとにお手入れをする必要があるので、アクセスしやすい上部についているフィルターについているほこりの端をつまむと、ペロリと分厚いホコリ座布団が取り出せる。面白い!
本体に添付されているお掃除キットで、手の届きづらい奥も楽々でメンテナンスできる水色のボックスを差し込む本体側にもホコリが付着するので、定期的なメンテナンスが必要。でも、面白いほど取れるから、面倒とは感じられなかった

 3つめのお手入れは洗濯槽だ。CMでやっている洗濯槽クリーナーを使うと「ええっ!こんな洗濯槽で洗濯してたのか!」と黒い浮遊物が水面一帯に広がり、背筋が凍る思いをした読者も多いと思うが、ザブーンは設定により毎回洗濯槽を自動でクリーニングしてくれるので、そんな思いは一切なし。というか洗濯槽クリーナー要らずだろう。

 設定は簡単で、洗濯ボタンを長押しするだけ。これで毎回、運転後にピコイオンを1時間放出して、洗濯槽に付着する黒カビの発生を抑えてくれる。「イオン機能なんて信用ならない!」という場合は、機能をOFFにしておくことも可能だ。

 またドラムを洗浄したいという場合は、漂白剤をドラム内に入れ洗濯メニューから「槽クリーン」を選ぶと、数時間かけてドラムの洗浄が行なわれる。ただ槽クリーン運転は、かなりの水(ふだんの洗濯・すすぎに使う水に比べて)を注入していたようなので、お風呂の残り湯を使ったほうがいいだろう。洗浄にかかる時間もドラムの洗いだけで2時間、乾燥までやるとなると約4時間かかるので、運転開始時刻に注意したほうがいい。

液晶右下に表示されている「ピコイオン カビプロテクト」のサインが出ている場合は、洗濯・乾燥運転後に自動的にピコイオンを放出し、ドラムにクロカビが付かないようにしている槽洗浄中の液晶表示。運転時間は乾燥も含めると約4時間かかる。マニュアルには「月に1度行なうといい」とされていたが、浮遊物は一切出なかった(ピコイオン カビプロテクト設定時)

 これらの3つのメンテナンスポイントに注意すれば、洗濯乾燥機を最善の状態に保てるので、より洗濯や乾燥時間を短くできるようになる。


子供がいる家庭ではお手伝いもできる

 これまで紹介したとおり、ザブーンはエラーフリー運転が可能で経済的、メンテナンスする手間もほとんどない洗濯乾燥機だが、さすがに洗濯物を取り込んで折りたたむところまではやってくれない。でも、ファミリー世帯には「子供」という切り札がある。コレを上手く使いこなすと、洗濯物をたたんでクローゼットにしまうとこまで自動化できるのだ。

縦型洗濯機だと、洗濯が終わっても、「洗濯物に手が届かなーい!」

 しかし縦型洗濯機は高さがあるため、小学生の身長では洗濯槽の中まで手が届かないばかりか、物干し竿にも手が届かないので「私、背が届かないモン!」という一言で、お手伝いを拒否できるという超強力な免罪符を切ってくる。

 しかし斜めドラム式のサブーンなら、免罪符もすべて無効だ。洗濯カゴに溜まっている家族の洗濯物を入れ、洗濯・乾燥ボタンを押し、洗濯スタート。洗剤の投入口も十分手の届く高さにある。

 つまり子供が何人かいる場合は、風呂掃除、トイレ掃除、洗濯当番を大きな子供と同様に公平に割り振ることができるので、兄弟・姉妹間の争いも少なくなるというものだ。

子供だって洗濯のお手伝いはできる。洗濯物を入れて、メニューの選択もボタンとダイヤルで楽々洗剤入れも手前にあるので、カンタンに入れられる洗濯終了後も、一番底にある靴下まで全部取り込める

 なにしろきょうびの小学生は、以前に家電Watchでレビューした年賀状プリンタをマニュアルを見ないでも使いこなすほど。それに比べたら洗濯機の操作などカンタンなので、「難しくてできない」なんて言い訳もできない。それどころか、光るスイッチや魅力的なダイヤルが色々あるので、面白がって洗濯をしてくれる。

 とはいえ、当番を終えた子供たちがテレビを見ながら食い散らかしたアイスの容器やポテチの袋、散乱するテレビのリモコンにゲーム機のコントローラは、いくら怒っても自分で片付けるクセがつかないので、こればかりは親がやらないとダメなのかなぁ?



超賢い洗濯乾燥機! 4人家族以上のファミリー世帯、共働き世帯には絶対お勧め!

 さて、たかが洗濯乾燥機機(笑)のレビューで、5週に渡って連載するという、家電Watch始まって以来の超長期レビューだったが、お楽しみいただけただろうか?

 連載を通して筆者も学ばせてもらったのは、白物家電はモノづくりの技術と知識とアイディアが製品の性能として顕著に現れるという点だ。ありものの半導体をいくつか組み合わせ、プログラムで製品ごとの個性を出すデジタル家電は、付加機能こそ違えど基本性能はほぼ同じと極論してもいいだろう(デジタル系のエンジニアの皆さんには申し訳ないが……)。

 白物家電は成熟した分野ではあるものの、「どれを買っても大差ない」というのは大きな間違いだ。また筆者のように「今使っている洗濯機を修理して使えばいいじゃん」的な考えも、改めなけらばならないことを身をもって感じた。成熟していても、まだまだ進化し続けているのが白物家電の面白さであり魅力だ。

 もちろん、現役で活躍している洗濯乾燥機の買い替え時というのは、なかなか分かりづらい。しかし、1つの指標がある。それは経済産業省が定めている、補修部品の最低保管期間だ。洗濯機の場合は、製造打ち切りから最低6年間はメーカーが補修部品をストックしておかなければならない。つまり6年前以上使っている洗濯機は、設計上の寿命を越えていることを意味していて、買い換え時と思っていい。ただし縦型洗濯機やヒーター式の乾燥機能の場合は、4年ぐらい前のモデルでも最新機種に買い換えることで、電気・水道代、そして時間節約という点も考えると買い替え時期に来ていると言えるだろう。これは連載で見てきた実験結果からも明らかだ。

 実はロボット工学出身の筆者から言わせてもらえば、ザブーンをはじめとした最新型の洗濯機は、ホンダの二足歩行ロボット「ASIMO」のような人型はしていないものの、さまざまなハイテク技術とメカニカルの設計、そしてエンジニアの知恵と努力、さらにはデジタルというエッセンスを加えた、AI(人工知能)搭載の洗濯乾燥ロボットであると言える。

 そして声を大にしてこのザブーンをおすすめしたいのは、4人家族以上のファミリーや共働き世帯だ。「4人家族で一番上の子供が中学生になってお母さんが再び働き始めた」というようなケースは、サブーンしか選択肢はないのでは?と思うほどお勧めである。20万円後半という高い買い物にはなるが、今使っている洗濯機の電気代と水道代を計算すれば数年で元が取れ、洗濯物にかける手間を最小限にしてくれることを約束しよう。




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2011年2月9日 00:00