長期レビュー

ダイソン「エアマルチプライアー タワーファン&フロアーファン」 最終回

~タワーファンの「縦長の風」はヒッジョーに快適&便利!!
by スタパ齋藤

 
「長期レビュー」は1つの製品についてじっくりと使用し、1カ月にわたってお届けする記事です。(編集部)



ダイソン「Air Multiplier(エアマルチプライアー) AMO2 タワーファン」

 ダイソンの「Air Multiplier(エアマルチプライアー)」の長期レビュー第3回目。最終回となる今回は「AMO2 タワーファン」の機能や使用感を中心に書いてみたい。なお、第1回目のレポートはこちら、第2回目はこちら

 エアマルチプライアーシリーズのなかで最もスリムなのが、このタワーファン。スリムなんだが、しかし、十分な風量を送り出せるというのがこの機種の特徴だ。

 右上の写真の通り、縦長でかなり特徴的な外観だが、もちろんこの縦長リング部から風が吹き出る。リング部は約75×19cm(縦×横)で、奥行きは約11cm。この部分から最大で毎秒528Lの風を送り出せる(吸気は最大毎秒約33L)。

 風の吹き出し部は縦長だが、フットプリント(台座)は25cmの円。小振りのお盆が置ける程度のスペースがあれば設置できる。これはテーブルファンより省スペースだったりするが、それでいて風量はテーブルファンの約1.3倍あるのだ。

 ちなみに高さは約101cm。高さ調節は行えず、床から約27cmくらいまでが支柱部となる。つまり、床上27~100cmくらいが風の吹き出し口となるわけだ。なんというか、縦方向に幅のある風を出せる扇風機である。縦長の風……かな!?

タワーファンのサイズは250×250×1,007mm(幅×奥行き×高さ)。狭い面積の場所にも余裕で設置できる左から、テーブルファン、タワーファン、フロアーファン。エアマルチプライアーシリーズ中、最もスリムなのがタワーファンだ。
椅子と並べてみた。座った状態で全身に風を吹き当てられるというイメージですな。ファンや吸気部などがある支柱部。円形のフットプリント(台座部)は直径25cm。電源ボタン、首振りボタン、無段階の風量調節ツマミがある

 実は、タワーファンの最大風量は、前回レポートしたフロアーファンよりも少ない。最大風量を比較すると、フロアーファンが毎秒594L、タワーファンが毎秒528L。その差66Lのスペック差があるのだ。

 しかし、正直な話、なーんかこう、その風量の差が感じられないっつーか、よくわかんない拙者。いやむしろ、風量が多いハズのフロアーファンよりも、風量が少ないハズのタワーファンのほーが、多くのシチュエーションで「豊富な風量が得られている」と感じられちゃったりして。しかも、な~んか、このタワーファンのほーが静かに動作しているような気さえする。

 ともあれ、タワーファンを使ってみた印象を、まず風量と騒音という側面から書いてみたい。タワーファンもリモコン操作で風量を調節できるので、これを基準としてみる。なおリモコンは8段階だが、本体の風量調節ツマミを使えば風量を無段階で調節できる。

付属の専用リモコン。電源のオンオフ、段階的な風量調節ができるリモコンはマグネット内蔵で、このようにタワーファンのリング部の上に吸着できる

 まずは風量を最小状態にすると、そよ風より少し強い微風という印象になる。この状態での動作音は静かだが、ほかのエアマルチプライアーシリーズと同様、独特のやや高めのモーター音がする。このモーター音、拙者的には気にならないのだが、音が気になるか否かは本人の感受性次第なので、家電量販店の店頭などで、ぜひ一度実機の動作音を体感してみてほしい。

 次に風量2段階目だが、これもまずまず静音。風量は動作音にしては強めという印象だ。この風量くらいまでなら、テレビなどを観ながらでも動作音がウルサイという感じにはならないだろう。

 しかし、3段階目に入ると動作音がやや気になりはじめ、4段階目は「ちょっとウルサくなってきた」てな感じで、5段階目以降はヤカマシ気味の騒音になる。風量も同時に増えていくが、3~4段階目以降の風量だと、拙者的には「フツーの扇風機の強運転の風量!?」てな感じ。

 こちょっと説明しにくいが、タワーファンの風量は手をかざしただけだと、それほど強くない風量といったところ。3~4段階目でも、手をかざして感じるにおいては「強運転の風量!?」とは感じず、「まぁ、8段階中の3~4段階目という風量ですな」と感じる。

 しかし、この風を体全体で浴びると印象が異なる。タワーファンは前述のように“縦方向に幅のある風を出せる扇風機”だ。ゆえ、タワーファンから出てくる風を、座った状態で浴びると、顔~肩あたりから膝~つま先あたりまでまんべんなく風が当たる。そのため、タワーファンから出ている以上の風量を体感しているように感じられるのだ。

 とまあ細々書いたが、タワーファンを一言で言うと「騒音風量比の高いエアマルチプライアー」である。もっと分かりやすく言うと、より低い騒音で、より豊富な風量が感じられる、みたいな。実際そうで、大風量を誇るフロアーファンとこのタワーファンを、最小風量運転で比べてみると、明らかにタワーファンの方が涼しいのであり、冷えるのであり、キモチイイと感じる拙者なのであった。

 というわけで、非常に気に入ってタワーファンを試用中。またこのタワーファン、前述の省スペース性と合わせて、便利に使えるシチュエーションが多い。ヤケに使い回しが利くエアマルチプライアーと言える。具体的には以下の写真のようなシチュエーションだ。

ここからは、タワーファンにピッタリなシチュエーションを写真で紹介していこう。まずは、仕事中での使用。風量を最小限に抑えての運転は静かでありかつ全身に適度に風が当たって快適。真夏にエアコンをオフにできることも多々あったり脱衣室にタワーファン。風呂上がりの体を一気に冷やせるのであり汗と縁遠くなるのであって非常に爽快。非常に狭い(細い)スペースに置いても使えるのがタイヘン実用的ちょっとわかりにくいが、自転車を置いている玄関で使用中のところ。冷房ナシだが、向こうの部屋は冷房があるため、タワーファンが向こうの部屋の冷気を運んでくれる。玄関で自転車イジリをするときに便利
こちらは熱がこもりやすいキッチン。窓から風が入りにくい場合、タワーファンをこのように置いて風通しをよくする。シンクの乾燥にも一役買って何かと便利である窓の近くに置き、部屋の風通しをよくするのにもタワーファンが役立つ。早朝に窓を開け、タワーファンでひととおり換気したりすると、室内の温度がグッと下がるときどき、冷蔵庫に風を当てている。こうすると冷蔵庫から発する熱を効率良く逃がし、氷が速くできたりも!! なお実際に使用する際には、冷蔵庫の右側にタワーファンを置いている

 てな感じだ。省スペース性が高く、縦長の風(!?)を出せるタワーファンだからこそ、マッチするシチュエーションだと思う。

 というわけで、「タワーファン」と「フロアーファン」についてレポートしてきたが、拙者が買うとしたら、やはりタワーファンですな。前述のとおりさまざまなシチュエーションで使える=凄く役立ってくれるので、メーカー価格である54,000円もミョーに頷けるところがあるかな、みたいな。

 ともかく、タワーファンやフロアーファンが加わったことで、エアマルチプライアーシリーズの選択幅がグンと広がり、目的に合わせて選べるようになった。エアマルチプライアーシリーズ各機を改めて見てみると、興味深い発見があるかもしれない。外見的にも機構的にも魅力があるので、ぜひ一度、実機に触れてみてほしい。



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2010年8月13日 00:00