長期レビュー

パナソニック「ラムダッシュ ES-LA92」 その2

~3枚刃ラムダッシュと剃り比べ
by 清水 理史

 
「長期レビュー」は1つの製品についてじっくりと使用し、1カ月にわたってお届けする記事です。(編集部)



新旧ラムダッシュ2製品。左は筆者が以前から使っている3枚刃の「ES8238」。右が最新の「ES-LA92」

 前回では、クセが強く濃い、やっかいなヒゲを持つ筆者がラムダッシュの最新モデルES-LA92を選ぶまでをお伝えしたが、今回はかねてから愛用している前モデルとの比較を通して、最新モデルの機能を見ていきたい。


慣れとは恐ろしいもの

 3枚刃と4枚刃でこんなにも剃り味が違うものか……

 ここ数日ほど、パナソニック「ラムダッシュ ES-LA92」を使ってヒゲを剃っていたのだが、試しにということで、これまで使っていた3枚刃の「ラムダッシュ ES8238」でヒゲを剃ってみたときの率直な感想だ。

 4枚刃のES-LA92でヒゲを剃ることにすっかり慣れてしまうと、同じように肌にES8238をすべらせるだけでは、うまく剃ることができず、よく見ると剃り残しがある。このため、ES-LA92なら軽く往復させれば済むところを、もう何度かヘッドを往復させたり、角度を変えて細かくヘッドを動かしてやらないとうまく剃れないのだ。

 正直、3枚刃のES8238から4枚刃のES-LA92に変えたときは、「確かによく剃れるなあ」とか、「軽くて良いなぁ」という漠然とした良さしか感じなかったのだが、逆に4枚刃から3枚刃に戻ってみると、その違いを明確に感じた。

 もちろん、単純に3枚刃より4枚刃の方が優れているという話ではない。4枚刃のES-LA92に機能的なアドバンテージがあることは確かだが、その剃り味というか剃り方が3枚刃と4枚刃で違うのだ。

 おそらく、ES-LA92を使っているうちに、軽く当てるだけで良く、しかも一度に広い範囲を剃れるという4枚刃ならではの剃り方に体が慣れてしまったのだろう。3枚刃のES8238も、性能的には決して悪くはないが、このような慣れから、4枚刃と同じような感覚で使うとうまく剃れないのだ。慣れというのは恐ろしいものだと実感したところだ。

刃の数だけではない4枚刃ラムダッシュの工夫

 というわけで、今回は、具体的に3枚刃のES8238と4枚刃のES-LA92でどのような違いがあるのかを詳しく比べてみることにした。

 まずは、外観だが、グリップ部分はさほど大きな違いがないものの、ヘッド部分がかなり違うことに気がつく。4枚刃のES-LA92の方がサイズが大きいうえ、ヘッドの向きも斜めに角度が付けられている。

 ヘッドを分解してみると、3枚刃と4枚刃の違いがよくわかる。どちらも内刃は2枚と同じだが、4枚刃のES-LA92はこの間隔が広い。4枚刃のうちの外刃2枚が中央に配置されるため、このスペースが空いているわけだ。カバー側を見ても、中央に外刃があることが確認できる。これだけ見ても、4枚刃の方が一度に広い範囲を剃れることがわかるだろう。

ES8238とES-LA92のヘッド。サイズがそもそもかなり違うヘッドカバーを外した状態。内刃の間隔が広く、一度に剃れる範囲が広い

 ヘッドの動作にもかなりの違いがある。以下はヘッドを指で動かしたときの動作の様子だ。ES8238は左右にヘッドが動くものの、前後の動作はなく、直線的な稼働となっている。これに対して、ES-LA92は左右に加えて、前後の動きも組み合わせた非常に複雑な動きが可能になっている。


ヘッドの動きの違い

 この動きは、実際に剃ってみるとわかるのだが、アゴの部分などを剃るときに非常に効果的だ。ヘッドが自由に動くおかげで、意識せずにシェーバーを動かしても、アゴの複雑な曲線に合わせて、ヘッド面がきれいに肌に沿って動く。ヘッドが斜めに当たると、どうしても外刃か内刃のいずれかの接地が不十分になり、剃り残しができてしまうが、そういった心配なく、つねに面で肌を捕らえている印象だ。

クセヒゲを残さない

 またクセヒゲも的確に捉えるようになっている。前回紹介したように、ES-LA92は内部の小型モーターが発生する前後の微細な振動でヒゲを絞り出すことができるうえ、外刃の最薄部が41μmと非常に薄く、横向きに生えているようなクセヒゲの根元にもしっかりと刃が当たるようになっている。このため、一回の動作で確実にヒゲを剃ることが可能となっている。

 少々わかりにくいかもしれないが、試しに、一往復だけでどれくらいのヒゲを剃れるかを実験したのが以下の動画だ。ES-LA92とES8238のそれぞれを一往復させてみたが、剃る場所の違いはあるにせよ、ES-LA92がほぼ剃り残し無くヒゲを剃れいているのに対して、ES8238は剃った範囲に何本かヒゲが残っていることが確認できる。

一往復でどれだけのヒゲが剃れるか試してみた

アゴの下の剃り比べ。左側をES-LA92で、右側をES8238でほぼ同じ時間剃ったときの状態。右側の方が若干だが剃り残しが目立つ

 ES8238は使い込んだ古い製品ということもあるが、ES-LA92の方が確かにより確実にヒゲを捕らえている印象だ。実際、ヒゲを剃った後の肌の感触も、ES-LA92の方がなめらかで、ざらざらとした剃り残し感もない。

 このような的確な深剃りは、肌の負担が軽いというメリットもある。剃り残しがある場合、どうしても何度もヘッドを往復させたり、強めに肌に当てることになるため、剃った後にヒリヒリとした感触が残る。

 しかし、ES-LA92の場合、力を入れずに、しかも特に何も意識せずにヘッドを動かしても、少ない回数で的確にヒゲを剃ることができる。これにより、肌のヒリヒリ感もなく、しかも短時間でヒゲ剃りを終わらせることができる。

 深剃りが効くというのは、キレイに剃れるだけでなく、やさしく、短時間で剃れるという意味でも効果があるというわけだ。

使い込むほどにメリットが見える

 このように、多少使い込んで古くなってはいるが、筆者がこれまで使ってきた3枚刃のES8238と最新のラムダッシュ ES-LA92を使い比べてみたが、あらためて比較してみるとやはりES-LA92のアドバンテージがよくわかる。

 シェーバーというのは、普段、あまり意識せずに使っているかもしれないが、やはりよく剃れる製品を使った方が、短時間でヒゲ剃りが終わるうえ、何より、剃った後の感触が心地良い。毎日のことなのだから、やはりここは剃り味にこだわりたいところだ。

 また、詳しくは次回紹介するが、自動洗浄システムによっていつでも清潔な状態で使えるというのも、毎日の心地よさに大きく貢献している。というわけで、次回はお手入れについて紹介することにしよう。




2009年8月21日 00:00