長期レビュー

パナソニック「IHホットプレート KZ-HP2000」 その2

~ホットプレートで焼きまくり!
by すずまり

 
「長期レビュー」は1つの製品についてじっくりと使用し、1カ月にわたってお届けする記事です。(編集部)



パナソニック「IHホットプレート KZ-HP2000」

 2回目となる今回はホットプレートを使って、手軽な焼き料理に挑戦しまくるのである。1回目はこちら

 ホットプレートを使うには、まず本体の上にガードを載せ、中に専用プレートをセットする。プラグをコンセントに接続すると、通電と同時に自動的に「ホットプレートコース」のランプが点等するので、そのままふたをして [切/スタート] を押す。すると230℃で予熱が開始される。このときメニューに応じて上または下矢印で温度を設定する。指定温度に達するとアラームで知らせてくれるので、ふたをあけて調理開始となる。予熱の所要時間は5~6分程度だという。

 温度設定は下は90℃から上は250℃までセット可能だ。ただし選択できる温度は7段階で、保温時は90℃。薄焼き卵は140℃、クレープが160℃でどちらも「弱」(弱火)に相当する。ハンバーグやホットケーキは180℃、お好み焼きは200℃で、これらは「中」(中火)だ。餃子、ステーキは230℃、焼きそば、チャーハンは250℃で、「強」(強火)となる。焼肉の場合は230℃または250℃のいずれかを選ぶ。調理が済めば、再び[切/スタート] ボタンを押すだけで加熱は停止する。

 「ホットプレート」で使えるタイマー機能は、最大60分までわかる「カウントタイマー」のみだ。10分~1時間の間は1分単位、1秒~9分59秒は1秒単位に変わるため、調理開始からどの程度時間が経過したかがわかる。ただし、時間を指定して加熱を停止したり、アラームで時間を知らせることはできない。ちょっと残念だ。

 さて、それでは実際に試した焼き物メニューをご紹介しよう。今回は、焼きそばや餃子などホットプレートを使った定番料理から、ちょっとしたアイディア料理まで6種類のメニューを作った。

焼きそば(2人前)

 鉄板料理の代表格といえば「焼きそば」である。そこで2人前の焼きそばをシンプルに豚肉とキャベツで作ってみることにした。

 火力は付属のレシピの「オホーツク北見風塩焼きそば」を参考に、予熱を250℃にセット。ふたをして予熱が完了するまでにかかった時間は5分50秒ほどだった。予熱が完了するとアラームで知らせてくれるのでありがたい。

 約6分間が長いか短いか。前でじっと座って待っていれば長く感じるかもしれないが、おそらくは準備をしている間に経過してしまうので、まず予熱を開始してから準備すれば待つことなく最高温度で即調理がはじめられるだろう。

 豚肉を入れてもキャベツを入れても温度が下がる気配はなく、順調に炒めることができた。ちょっと困ったのはプレートの滑りの良さだ。付属のへらとの間にほとんど摩擦を感じないうえにフライパンより広いため、慣れるまでは具をあちこちに飛ばしてしまいがちであった。

豚肉とキャベツで2人前の焼きそばを作ってみた強い火力で豚肉もいい焼け具合に炒めものは周りのガードが油だらけになってしまうようだ

 麺まで入れたボリュームでは、このプレート1枚で家族4人分はギリギリで、混ぜるには少々厳しくなりそうだ。3人分までだったら大丈夫かもしれない。

 仕上がり具合だが、よく焼けておりいい具合にできたと思う。調理後は90℃で保温できるので、みなでつつくには便利だろう。せっかくなので、専用のトングなども付属させるとプレート料理の便利度がアップしそうな気がする。


焼きそば作り全工程。すべりのよいプレート上での調理にやや手こずってしまったが大胆な(?)焼きそばが完成した

焼肉と焼き野菜(1人前)

一人分の焼肉を用意

 これまたプレート料理の定番「焼肉」である。野菜多めで1人前の材料を用意して焼いてみた。温度は250℃を選択している。

 使っていて特に違和感を感じることもなく、調子よく焼肉を楽しむことができた。ジューと焼ける感じがたまらない。ふたをしての野菜の蒸し焼きもおいしく、かなりヘルシーな焼肉を堪能した。

 と、「おいしかった」で終わってはいけない(笑) この手のプレートで焼く際に気になるのは、場所による焼け具合の差だろう。焼きそばのときはプレート全体を使っての炒めものだったため、場所による温度のムラは感じられなかったが、今回はどうだろうか。

 最初に中央に肉を置き、つい習慣で周りに野菜を置いてみたのだが、若干温度差があるように感じられたのだ。そこで隅で肉を焼いてみたところ、やはり中央付近に比べてやや温度が低いのではと思われた。きっちり時間を計って同時に裏返すといった実験は行なっていないが、肉の焼ける音や焦げ目の感じは違っていたように思う。

肉はスーパーで調達(高級品ではない)中央部で肉を焼いてみた。音といい、焼け具合といい、かなり調子いい初回の焼き風景
焼けた肉。うっかり撮影に現を抜かしていると焦げてしまうので要注意だ盛大に野菜も焼いてみた

 そもそも機能として「全体的に温度が均一になる」と謳われているわけではないことや、IH調理器とプレートの接点は中央部分であり、そこを基点に温められることを考えると仕方ないことかもしれない。「トッププレートの円の内部がもっとも焼けやすい」と頭にいれておけば、調理しやすくなるだろう。


中央部分で肉を焼いている様子プレートの右端で肉を焼いている様子。中央付近の肉の反応に比べて、ややおとなしい感じがした

肉餃子と野菜餃子(48個)

 焼肉でプレート上の温度差が気になったので、プレート全体に広げて焼ける料理として餃子を選択した。

 ご家庭で餃子を焼く場合、通常サイズのフライパンでは家族全員分を一度にまかなうことは難しいだろう。誰かはできたてを食べているのに、誰かはずっと焼いているという不公平な状況も生まれがちだ。餃子パーティを開くときにも、一度に全員分が焼けるほうがいい。その点、ホットプレートは最適なアイテムというわけである。

 全て手作りに越したことはないが、時間も考えて今回はすべてスーパーで調達した。16個入り3パック、合計48個だ。合計48個の餃子が一度に焼けるかどうか挑戦である。

餃子48個分をスーパーで調達48個並べてみたところ、まだまだ置ける余裕ぶり!

 250℃で予熱し、プレートに急いで餃子を並べ、水を入れて蒸し焼きに。ふたに窓がないため中の状態がわからないのはちょっと困った。ふたにはぜひ窓がほしいところだ。様子をみながら約8分間蒸し焼きにし、最後にごま油を全体にたらして、焦げ目をつけた。

 中央部分の餃子を見ると、こんがりと焦げ目がついていた。念のため周辺の餃子もひっくりかえしてみたところ、周囲に行くにつれて薄くなっていった。右端などは最初においたにもかかわらず、中央の餃子に比べて全く焼き色がついていない。これは焼肉のときに感じた温度差がそのまま現れた格好だろう。やはりプレート全面が均一の温度にというわけにはいかないらしい。

 とはいえ解決策はある。並べるときは周りから並べ、中央部分を最後にすればいいのだ。さらに食べるときは、中央部分から手をつけ、残りを中央に集めて食べている間に焼き上げればいいのである。

 実際に中央付近の餃子を皿に移し、周りの餃子を空いたスペースに移動したところ、食べているうちにいい焼き色がついてくれた。

中央部の餃子はいい具合に焼けていた部分的にひっくり返してみたところ、中央付近は強く、左右に離れるにつれて焼き色が薄くなっているのがわかる。置いたのは左側からだが、右側のほうが若干焼き色が濃いこちらはトッププレート。円の部分が焦げ目のつきやすいエリアとなる
最初に中央部分の餃子を皿へ移して食べ始める空いたスペースに周囲の餃子を集めておく食べている間にちょうどよい焦げ目がついた餃子

 一度に焼ける個数としては、標準サイズの餃子なら48個どころか、詰めれば60個は焼けそうである。熱々の焼きたて餃子がたくさん食べられるのはかなりうれしい。ビールが好きな方にはたまらないだろう。さっぱりした漬け物やおひたし、ご飯などを用意してワイワイ楽しみたいところだ。また、小さなフライパンで何度も焼いていた大家族には、一度に全部焼けてありがたいのではないだろうか。

 焼いているときはカウントタイマーを参考にしたが、時間が来ても音で知らせてくれないのは残念だ。ずっと見ているわけにはいかないので、設定時間で音を鳴らしてくれるとありがたい。加えてアラーム後の経過時間がわかれば更に便利だろう。

市販の既成生地でピザを焼く(2枚)

 「うちでは昔ホットプレートでピザを焼いていたよ」という知人の話を聞き、試してみることに。ちょうどスーパーで具をトッピングするだけの生地を見つけたので、採用決定である。

 ピザストーン付きのオーブンのように上からも下からも加熱できるわけではないので、もしかしたら生焼けになるかもしれないという不安も抱きつつ、生地にピザソース、チーズ、ベーコン、アスパラなどをトッピングして230℃で4分ずつ、合計12分ほど焼いてみた。

 結果、一応火の通ったピザはできたが、反り返ってしまい、オーブンやオーブントースターで焼いた出来には程遠かった。オーブンや、オーブントースターのように庫内の熱が蓄積しにくいためだと思われるが、生地が厚かったことも影響していたようだ。

市販の生地に具をトッピング直径20cm程度のピザなら、2枚同時に焼ける気がつくと生地が反り返っていた

 後日聞いたところ、生地は手作りで薄めだったという。環境を考えれば、薄いクリスピータイプのピザのほうが向いているようだ。焼き具合は失敗したが、直径20cm程度のピザが2枚同時に焼けることはわかった。上からの焦げ目はつかないが、生地さえ工夫すればオーブンがないお宅でもピザが焼けるだろう。

火が通ったことを確認して皿に移してみると、裏側だけ焦げていたナイフを入れた状態ホットプレートを使うには生地が厚すぎたらしい

餃子の皮の「かんたんピザ」

餃子の皮を使って、ピザを作るのだ。レシピではコーンやオリーブも使っている

 分厚いピザ生地で失敗したこともあり、薄い生地でリベンジしたいと考えていたところ、付属のレシピに餃子の皮を使ったピザ「かんたんピザ」なるものを発見。餃子の皮2枚の間にピザソースをはさみ、さらにその上にピザソースを塗り、具をトッピングして焼くというものである。

 レシピを参考にしながら用意したのは、24枚入りの餃子の皮1袋、チーズ、玉ねぎのみじん切り、1cm角に切ったベーコン、ピザソース、タバスコ、オリーブオイル、バジルの葉。

 最初に16枚で計8つのピザを作り、軽くオリーブオイルをふりかけ、180℃に熱したプレートで5~10分焼く。最後にバジルの葉を飾り、お好みでタバスコをふりかけて完成だ。残りの8枚で余った玉ねぎ、チーズ、ベーコンを挟んでサンドイッチ風にアレンジしてさらに焼いてみた。

生地部分はピザソースをはさんだ餃子の皮2枚であるとりあえず8枚焼いてみたチーズが溶け、玉ねぎに火が通るかがカギである

 焼かれた餃子の皮は裏がこんがりときつね色になり、非常にクリスピーなスナックに仕上がった。具にも火が通り、おつまみとしてかなりいけそうな味である。ただアツアツはうれしいのだが、いきなり口へ運ぶとかみついた瞬間に口の中(特に前歯の裏!)をヤケドしそうなので気をつけていただきたい。できあがったら一度お皿に降ろすなどして、やや冷ましてから食べたほうがいいようだ。

焼けたらバジルの葉で飾って完成(少ないのは確認用に食べたから)表面に焦げ目はないが、火は通っている裏を見るとこんがり焼けているのがわかる。おせんべいのようだ
生地はさくさく、具はアツアツ残った生地で具をはさんで焼いたところ、見た目はいまいちだが、冷めてもおいしいスナックが完成した

 さらにアレンジとして、餃子の皮だけを油なしでこんがり焼いて、いろんな具を載せてサクサク食べるという手もあると思った。ビールが好きな人も、そうでない人も楽しめる料理がいくつも生まれそうだ。

手抜きだけどおこげたっぷりの石焼き風ビビンバ

ホットプレートなら石焼き風のビビンバも手軽に楽しめる

 外で働くお母さんにとって帰宅後の食事の支度は大変だ。さらに、行楽シーズンとなれば一家で外出して、全員同時に疲れて帰宅。その後に、お母さんだけさらにご飯の支度でてんてこ舞いというのはチョット悲しい。そこで、ボリュームがあって簡単で、見た目の迫力もあり、大人から子供まで大喜びのメニューが必要である。それがホットプレートで作る「石焼き風ビビンバ」だ。

 作り方はかなり大雑把。230℃で予熱した油をひかないプレートに挽肉を入れて炒め、醤油で味付けしてしまう。肉を脇へよけておき、そのままご飯を入れて形を整え、上にナムル、キムチをトッピング。そのまま脇の挽肉もトッピングし、上から焼肉のたれをたっぷりかけ、お焦げができるまで5分ほど焼いてしまうのだ。最後に卵の黄身を中央に投下し、全体をよく混ぜて完成である。

おこげを作るなら、やはり中央狙いでうかうかしていると、このようなおこげだらけになってしまうあちこちでおこげができている。これなら焼きおにぎりもこんがり間違いなしだ
 生存競争の激しい家庭で育った筆者の視点でいえば、みんなでつつくなら肉は挽肉がいいと思う。食べた食べないで喧嘩になりにくいからだ(笑) ナムルは手作りする余裕があればいいが、面倒ならスーパーでセットを買ってしまえばさらに楽になる。

 かなりいい加減な作り方で見た目も微妙だが、これがあなどれない食べ応え! 特におこげがすごい。石の器と違って加熱中のホットプレートは冷めないどころか、火力の強さでおこげでき放題なのである。特に本製品ならこれまでも指摘した中央付近が狙い目。ご飯全体がひっくり返せそうなくらいおこげができる。この特性を活かさない手はないのだ。

 おこげ大好きという方、石焼きビビンバが大好きなので、自宅でも簡単に楽しみたいという方はぜひお試しいただきたい。


火力を実感できた石焼き風ビビンバ。お好みでご自由にアレンジしていただきたい

みんなで“できたて”を楽しんで

 プレートの場所によって温度に差があるという点は気になるが、それを知った上で活用すればかなりありがたい製品といえるのではないだろうか。とにかく量をこなせるというのがホットプレートの強みだが、さらに火力が加わることで、より手早くおいしく調理できるようだ。今回ご紹介したレシピ以外にも、ハンバーグ作りなどで活躍してくれることは間違いない。

「ガード」のおかげで、うっかり側面を触ってもヤケドしない

 使うほどに「ガード」の存在価値も認識できた。大きくかさばるため、洗浄後の置き場に困ることもあり、正直無駄ではないかと思ったこともあったのだ。しかし実際に触れてみて、直接熱せられたプレートに触れて大やけどしないよう配慮されたすばらしいパーツであるとわかった。

 狭いテーブルの上で準備していると、うっかりプレートの縁に触れそうになることがある。しかしレートガードなら触っても全く熱くない。実際にはガード自体も多少熱を帯びているのだが、ほんのり温かい程度でヤケドするほどではないのだ。よく考えているなと感心した。くれぐれもはずして使うことのないように気をつけたいところだ。

 次回は鍋料理と全体のまとめをお送りしたい。




2009年7月17日 00:00