長期レビュー
パナソニック「IHホットプレート KZ-HP2000」 その1
鍋がセットになった「IHホットプレート KZ-HP2000」 |
不況の影響で「内食(ないしょく)」がブームなのだという。食事を提供する業種が「外食」、お弁当やお総菜の提供が「中食(なかしょく)」。これに対して自宅で調理して食べることを「内食」というそうな。検索してみると、本年6月時点で、コーヒー豆や焼きそばの生麺、ウイスキーなど、安く手軽に準備できるものが売り上げを伸ばしているという。
カフェに行く代わりに自宅でコーヒーを煎れて“おうちカフェ”。3食いくらで売っている焼きそばの生麺なら、調理が簡単なうえに大人も子供もわいわい食べられて、しかも残りものの野菜も片付くという特典付き。確かに便利な食材だ。ウイスキーだって自宅で工夫して飲めば飲み代の節約になる。なるほど!
実家の父は昔から内食派で、特にみんなでつつける鍋や焼肉系が大好き。しかし毎回支度から片付けまで行なうのは母なので、少しでも母が楽になればと以前本誌でご紹介した「土鍋風鍋付きIH調理器 KZ-PG30」を誕生日にプレゼントした。自分で使ってみて真っ先に浮かんだのが、毎回カセットコンロを出しては片付ける母の姿だったからだ。
当然母は喜んだが、案の定それ以上に父が大喜び。その際「土鍋風鍋がついているのは非常にありがたいが、あれで肉を焼いていいのか? 焼肉やスキヤキはどうしたら?」という質問があったのである。IH調理器なので、IH対応の鍋やプレートを探さなくてはいけないからだ。最終的には近所のショップでIH対応のプレートを買ったようだが、やはり“焼き”のカバーも大事だ。
そこで目にとまったのが、内食がターゲットのど真ん中というパナソニック製のIHホットプレート「KZ-HP2000」である。
というわけで、今回はこの「KZ-HP2000」のプレート、及び鍋の使用感などを全3回でレポートさせていただく。
メーカー | パナソニック |
製品名 | IHホットプレート KZ-HP2000 |
希望小売価格 | オープンプライス |
購入場所 | Amazon.co.jp |
購入価格 | 25,500円 |
■トッププレート、専用プレート、鍋、へらの4点セットですぐ使える
「KZ-HP2000」は、IHホットプレートに鍋がついているので、買うだけでIH調理器による焼き物と鍋物の両方をカバーできる、ちょっとお得な製品である。しかも付属の鍋やプレートを外すと卓上IHクッキングヒーターとして利用できるため、別売の天ぷら鍋を使えば、揚げ物も可能だ。
構成はトッププレート、専用プレート、鍋、属品としてプレート使用時のやけど防止用のガード、プレートに傷をつけない樹脂製へら、取扱説明書となっている。
広いトッププレート | 上に専用プレート用の「ガード」を乗せた状態 | ガードの中に専用プレートをセットしたらホットプレート完成 |
フタもついている | トッププレートの裏側。ファンに見えるのは「吸気口」 | 右側についている操作パネル |
電源ケーブルは磁石式になっているので、取り付けも簡単 | 電源ケーブルを取り付けた様子 |
トッププレートのサイズは汚れてもサッと拭けるような非常にフラットなデザインだ。511×351×55mm(幅×奥行き×高さ)、重さ約3.5kg。右側に操作部、左側側面には電源ケーブル接続用のコネクタ、本体底面には吸気口がついている。操作部のボタンに点字がついているのは、火の扱いが難しい目の不自由な方でも簡単に料理ができるようにという配慮だろう。
鍋は内径24.4cm、深さ7.2cm、重さ1.8kgで満水時の容量は3.7L。「KZ-PG30」のときは黒く重厚なフタで「土鍋風」となっていた鍋だが、「KZ-HP2000」では透明なふたに変わっている。
取っ手付きの専用プレートは367cm×351×55mm(同)、重さ3.1kgで、従来機比1.2倍で業界最大だという。使用する際はトッププレートに付属の「ガード」を載せ、その中に専用プレートを置く。表面はフッ素樹脂でコーティングされており、ディンプル加工が施されている。
天ぷら鍋は付属していないが、本製品とコンセントさえあれば、焼き物、炒め物、鍋、煮込み料理からスープまで幅広くカバーできるわけだ。だだし鍋もプレートもガスコンロでは使えないので注意してほしい。
専用プレート単体の状態 | 専用プレートの裏側の様子 | プレートの表面はフッ素樹脂で覆われ、ディンプル加工が施されている |
鍋本体とふた、ふたつまみがついている | ふたのつまみは自分で取り付ける | ふたが完成した「鍋」。土鍋風と違って中が見えやすい |
IHクッキングヒーターに鍋を乗せた様子 | 鍋単体の様子 | 鍋の裏側 |
左から電源ケーブル、へら、取扱説明書 | 取扱説明書をひっくり返すと、反対側がレシピに! | 専用プレートでへらを使っているイメージ |
へらには金属部分が一切ない | プレートをこすってもキズがつかない |
■IHヒーター搭載のホットプレートだから、火力がパワーアップ!
「KZ-HP2000」の最大の特長は、熱源にIHヒーターを用いている点だろう。このため、火力が強く、予熱時間が短いので素早く調理に入れて、プレート全体で焼きムラがないというのだ。ホットプレートにIHヒーターが搭載されるのは、同社の製品としては初めてだとか。従来は「シーズヒーター」が使われていたという。
ここでちょっとおさらいしてみよう。「シーズヒーター」とは、ニクロム線の発熱体を絶縁体でくるみ、渦巻き状にして金属のパイプに入れたクッキングヒーターのこと。単身者用ワンルームの小さなキッチンで見かけたことがある方もいらっしゃるだろう。発熱時にはヒーター部分が赤くなる調理器具である。加熱に時間がかかり温度調節がしにくいが、スイッチを切っても冷めにくいので、温度が上がったあとの余熱調理はしやすいのが特徴だ。
一方「IH」とはInduction Heatingの略で「電磁誘導加熱」のこと。磁力発生コイルから発生した磁力線により鍋に渦電流を発生させ、電気抵抗により鍋自体が発熱する仕組み。炎がないため安全で、加熱時間が短いというメリットがある。また、トッププレートがフラットなため手入れもしやすい。ただしどんな器具でも使用できるわけではなく、IH専用の器具を用意する必要がある。
渦巻き状のクッキングヒーターの熱が接している鍋に伝わる場面と、直接鍋が発熱している場面を想像すれば、どちらの加熱が速いかわかりやすいだろう。かつて使用したことのあるホットプレートを思い返してみると、なかなか表面が温まらず、なんども手をかざしたりして温度を確認した記憶がある。焼肉の際は、一度に肉などの材料を大量に投下すると、「ジュー……」という音が小さくなるなど、心持たない状態になったものだ。「KZ-HP2000」ではそれが解消され、温度を保ち続けてくれるらしいのだ。
同社サイトの製品説明によれば、従来のシーズヒーター搭載製品に対して半分の時間で済むため、消費電力も削減できるという。さらにインバーター加熱とマイコン制御で火力がコントロールできるため、調理しやすいという。
■焼く、煮る、揚げるに便利な4コースとタイマー機能を用意
「KZ-HP2000」にはコースとして、あらかじめ「ホットプレート」「加熱」「味しみこみ」「揚げ物」が用意されており、温度は「ホットプレート」の場合約90℃(保温)~250℃まで、揚げ物は約140~200℃、火力は75W相当~1400Wに対応している。調理時に[コース]ボタンで選択してから[切/スタート]ボタンを押して調理を開始するという手順になる。
操作部には経過時間がわかる「カウントタイマー」と、設定した時間になると自動的に切れる「切タイマー」(オフタイマー)が用意されている。「カウントタイマー」は最大60分までセットでき、「ホットプレート」「加熱」「揚げ物」に使える。一方「切タイマー」は最長9時間55分まで設定でき、「加熱」「味しみこみ」で利用可能だ。煮込みすぎが防げる便利な機能なのだ。
このほか「ホットプレート」「揚げ物」コースでは1時間、「加熱」コースでは2時間以上操作しないと自動的に電源が切れたり、鍋底の温度が上がりすぎると自動的に通電を制御するなどの安全対策も施されている。
というわけで、次回は火力がパワーアップしたという「ホットプレート」の使用感についてレポートする予定だ。プレート全体にムラがなく火力が強いということは、焼肉ならどこで焼いてもいいわけだ。また、一度にたくさんの材料を調理しやすいとも考えられる。非常に楽しみである。
2009年7月10日 00:00
「長期レビュー」は1つの製品についてじっくりと使用し、1カ月にわたってお届けする記事です。(編集部)