長期レビュー

東芝「鮮度名人 GR-A56R」 その1

~550Lの鮮度名人にたどり着いた理由
by 清水 理史

 
「長期レビュー」は1つの製品についてじっくりと使用し、1カ月にわたってお届けする記事です。(編集部)



「壊れてから」では間に合わない冷蔵庫の買い換え

 エコポイント制度も開始され、家電の買い換えを検討している人も多いかもしれないが、そんな中、我が家では思い切って冷蔵庫を買い換えることにした。

 今まで使ってきた冷蔵庫は、妻が嫁入り道具として持ってきた1997年製造の三菱製「MR-J37R」。10年選手だが、まだまだ現役で、冷却能力にこそ問題はなかったものの、自動製氷機能が2年ほど前からストップして手動で氷を作る必要があったり、開けた後はトビラをグイッと押さないとしっかり閉まらなかったり、ときどき「ダ・ダ・ダ・ダ・ダ」とビックリするくらい大きな音をたてたりと、そろそろ限界が近づいてきたことを自らアピールしはじめていた。

これまで使っていた三菱製の冷蔵庫「MR-J37R」。365Lタイプとさほど大きくはない冷蔵庫だドアがきちんと閉まらなかったり、自動製氷機能が壊れているなど、ところどころにガタがきていたいつ買ったのか?とあらためて見てみたら、97年製だった。10年以上使ったのだから、そろそろ買い換えてもいいところ

 そんな中、近所の知り合いから、冷蔵庫が壊れたので氷を分けてくれないかとのお話が……どうやら、突然壊れたようで、単なるハコとなった冷蔵庫の中には、まだ山のように食品があるらしい。

 詳しく話を聞いてみると、すでに家電量販店に駆け込んだそうだが、いかんせん食品をムダにするわけにはいかないので、機種選びの前提はとにかく「即納」であること。要するに、在庫がある機種、色しか選べなかったうえ、価格交渉もまともにできないという弱い立場での買い物となったそうだ。

 というわけで、家電の中でも、冷蔵庫ばかりは壊れる「前」に買っておきたい製品。壊れてからでは、いろいろと不都合なことが発生することがよくわかったので、思い切って買い換えることにしたわけだ。

【冷蔵庫が突然壊れると……】
・食品、特に生ものと冷凍食品が即日ムダに
・選べるのは在庫がある機種、色のみ
・価格交渉もまともにできない


設置できるギリギリのサイズを選ぶ

 冷蔵庫を買い換えることは決まったものの、どの機種を選ぶのかが実に悩ましい。

 家電量販店を家族でグルリと回りながら、いつものように冷蔵庫のドアというドアを開けまくってみたところ、妻と子供の目が釘付けになったのが、日立の「R-SBS6200」という冷蔵庫。何とタンク式のアイス&ウォーターディスペンサーが内蔵された製品で、サイズも巨大なら価格も50万円近くもする庶民離れした冷蔵庫だった。

 さすがにそれは現実離れしているので、あきらめざるを得なかったが、どうやら以前の冷蔵庫のサイズに不満があった妻としては、大きい冷蔵庫に惹かれるらしい。詳しく聞いてみると、(1) 大容量、(2) デザイン、(3) 付加機能というのが冷蔵庫選びの基準となっているとのことだ。

 これまでの我が家の冷蔵庫は365Lの容量で幅は600mmとなっていたため、キッチンの冷蔵庫置き場に設置しても幅にまだまだ余裕があった。このため、縦長の食器棚を設置して、コップなどを収納していたのだが、この棚を思い切って無くせば、500L以上、幅750mmまでの製品が選択肢に入る。

これまでの冷蔵庫の幅は600mm。設置場所に余裕があったので、細長い棚を設置して食器などを収納していた食器棚を取れば、750mm程度の冷蔵庫でも設置できることが判明。妻の要望もあってなるべく大きいサイズの冷蔵庫を探すことに

 幅750mmまでとなると、各メーカーとも550~600Lの大容量冷蔵庫がラインナップされている。価格を考えると、15万円前後となる500Lクラスがお買い得なのだが、どうせ大容量が欲しいならトコトン大きいサイズを狙ってみることにした。


野菜室がないという新発想

 大きさが決まったので、デザインと機能を比べながら機種を選ぶことにした。

 まずはパナソニック、容量は550Lで幅は685mm。内部が広くコンパクトなのに大容量なのは確かにイイ感じ。続いて日立。目玉は真空技術で食品の鮮度を保てる真空チルドV。魚や肉の鮮度が保てるので、これも良さそう。以前使っていた冷蔵庫と同じ三菱は、冷凍技術がポイント。熱いまま冷凍できたり、切れちゃう冷凍などが特徴。シャープはエアコンや空気清浄機でもおなじみの除菌イオンのクリーン技術採用。暖かいものを保管できるホット庫もユニーク。

新調した東芝の冷蔵庫「鮮度名人 GR-A56R」。一般的に上下に4分割されている部屋がこの製品では3つしかない

 正直、どれも捨てがたく、いっそのこと全メーカーの機能が一緒にならないかとわがままを言いたくなるところだが、各社ならではの特徴を見ながら、毎日使う妻に選んでもらったところ、最終的に選んだのが東芝の「鮮度名人 GR-A56R」となった。

 この冷蔵庫、面白いことに独立した野菜室がない。一般的な冷蔵庫の場合、順番の違いはあるにせよ、一番上がメインとなる冷蔵室、その下に小さな製氷室、および冷凍室、そして一番下が野菜室と、縦に分けると大きく4部屋に分かれている。

 ところが、この東芝のGR-A56Rは、一番上がメインの冷蔵室、その下に製氷室があり、残りの一番下には冷凍室しかない。もう1つあるべき野菜室が存在しないのだ。

 何かの間違いかと、メインの冷蔵室を開けると、ここがやたらと広い。要するに、野菜室という特別な部屋はなく、冷蔵室に一緒に野菜を保管するという新しい発想になっているのだ。冷蔵室の中に、銀イオンによる抗菌効果が期待できるAg抗菌ケースと呼ばれる特別なスペースはあるが、基本的にどこに野菜を保管してもかまわないということになる。

一般的に独立している野菜室が、このGR-A56Rにはない。メインの冷蔵室に、肉や調味料などの普通の食材と一緒に野菜を収納できるやたらと多くて奥行きがあるドリンクポケットも特徴。きゅうりやにんじんなどはここに立てかけて収納することもできる

 よく調べてみると、i-ツイン冷却と呼ばれる機構によって、冷蔵、冷凍にそれぞれ別の冷却器を使用するというしくみになっており、このおかげで冷蔵室の湿度を約85%と非常に高く保てるようになっている。一般的なシングル冷却の場合、湿度は25%前後となることから、野菜がしなびてしまったり、ラップなしでは肉や加工食品などが乾燥してしまうが、この冷蔵庫の場合、野菜の鮮度を保ち、ラップなしでも食品を保管できるようになっている。

 実際に野菜がどれだけフレッシュに保管できるのかは、追々レポートしていくつもりだが、とりあえず、我が家では以下のようなポイントで結果的に東芝の鮮度名人 GR-A56Rを新しい冷蔵庫として選択することになったわけだ。

【東芝 鮮度名人 GR-A56Rを選んだポイント】
・野菜と他の食材を区別する必要なく効率よく収納できる
・ラップなしでも鮮度を保って食材長持ち
・冷蔵室、野菜室と食材によってドアを開け分ける手間なし
・野菜も肉も同じ場所で見渡しやすいのでメニューを考えるのが楽
・巨大な冷凍室で子供のお弁当にかかせない冷凍食品もたっぷり収納



3ランクアップも消費電力は低減

 このように、思い切って、ワンランクどころか、3ランクくらい上の大容量、高機能な冷蔵庫に買い換えることにしたわけだが、消費電力に関しては、何と今まで使っていた冷蔵庫よりも低い。

 省エネルギーセンターが公表しているデータによると、今回、購入した東芝のGR-A56Rの年間消費電力量は450kWh、今まで利用していた三菱のMR-J37Rは552kWhとなっており、年間の電気代で比較すると約2,800円の節約になる計算だ。


機種名年間消費電力量1年当たりの電気代
新形冷蔵庫「東芝 GR-A56R」450kWh/年9,900円/年
従来冷蔵庫 「三菱 MR-J37R」552kWh/年12,696円/年

 

 価格が実売で18万円前後と若干高いのと、横幅が600Lクラスと同等の740mmもあるので、どちらかというと同機能で幅が685mmと狭く、価格も15万円前後とリーズナブルで、しかも消費電力も380kWhとさらに低い511LのGR-A51Rの方がお買い得感は高いが、今回はあえて大容量にチャレンジしたみたところだ。

 ところが、そのおかげで搬入がまた一苦労となった。2階にキッチンがある筆者宅に、どのように巨大な冷蔵庫を搬入したのか、このあたりはまた次回レポートすることにしよう。




2009年6月1日 00:00