長期レビュー

タニタ「カロリズム & インナースキャン50」 その3

~ダイエット結果がグラフで一目瞭然! の体組成計
by 正藤 慶一

 
「長期レビュー」は1つの製品についてじっくりと使用し、1カ月にわたってお届けする記事です。(編集部)




 無理せずに日常生活の中でダイエットするために購入した、タニタの身体活動計「カロリズム」を使ってはや4週間目に突入。なるべくエネルギーが消費できるよう、連載の2回目で判明した通り、帰宅時は1駅先まで歩いて電車に乗り、エスカレーターではなく階段を使い、バスではなく歩いて帰っている。我ながら良くやっていると思う。

 さて、そのカロリズムの計測と同時に使っているのが、同じくタニタの体組成計「インナースキャン50 BC-306」だ。BC-306の機能を簡単に説明すると、体重や体脂肪率などの計測データを自動で保存し、グラフで一覧表示し、分析できる点が特徴。使用開始から4週間以上も経ったこともあって、BC-306にもサンプルデータが集積されてきた。

 これまでの2回はカロリズムを中心に取り上げてきたが、今回は日々のダイエットの成果を記録し続ける、このBC-306を中心に紹介しよう。

日常の細かな動きの消費エネルギーも計ってくれる「カロリズム」を使い続けているが……今回は同時に使用している体組成計「BC-306」をメインに取り上げる
 

量るだけで結果を自動で保存。面倒な操作は一切なし

 BC-306における体組成の計測方法は、一般的な体組成計とはまったく変わらない。あらかじめ本体内に身長や年齢を登録し、本体上部に乗る。すると、ピッピッと音がして、体重のほか、体脂肪率や筋肉量といった体組成データが表示される。ここまでは、特に珍しいことなど何もない。

使用前には、身長や年齢といった個人情報を登録する。自分の名前を付けることも可能計測時には、自分が登録した番号のボタンを押し、体組成計の上に乗る

 BC-306の特徴はここからだ。一般的な体組成計では、体重を量ったところで終わり。しかし、BC-306は、冒頭でも述べた通り、測定後に体組成データを自動で記憶し、棒グラフで分かりやすくデータの変化を見て取れるのだ。この際に、特別なボタン操作は不要。つまり、フツーに使っていくだけで、数値を常に記録し続けてくれる、とても賢いヤツなのだ。ちなみに、2009年6月現在で、体組成計の本体単体で測定データがグラフ表示できる機種はBC-306と、色違いのBC-307だけだ。

 グラフは毎回の計測後に自動で表示されるが、測定後以外にも、表示部の「グラフ」ボタンを押せば表示できる。

 ここからはグラフについて詳しく見ていきたいが、今回は私が実際に量った体重のグラフを例に見ていこう。

ここ4週間の体重の変遷。左端のグラフが、計測を開始した5月20日の体重(67.2kg)。徐々に体重が落ちてきているのがわかる
 「グラフ」ボタンを押すと、右の画像のようにモニターに表示される。パッと見だと、画面左のスタート時点の5月20日前後は割と高めだが、右へと向かうほどグラフはだんだんと低くなっていく。つまりは、徐々に痩せてきている、ということだ。いいダイエットができているのかもしれない。

 モニター右上にある「65.60kg」が、今日(6月16日)時点での体重となる。カロリズム使用開始時は67.2kgであることを考えると、確かにマイナスにはなっているが、この4日前の6月13日に量ったときは、64.8kgともっと痩せていた。つまり、軽くリバウンドしたことが分かる。

 原因はわかっている。6月14日、実家に帰り、母親が作ったおいしい料理と圧力式IH炊飯器で炊いたごはんをついつい食べまくってしまった。せっかく64kg台まで落ちたのに、大食いをしたせいで痩せ分が一気に戻り、また65kg台へリバウンドしたわけだ。せっかく毎日歩いているとはいえ、やはり食べすぎは禁物……ということをBC-306には学ばせてもらった。こうして過去のデータを振り返りながら反省できる点も良いところだ。

 そんな私のためなのか、BC-306には目標体重も設定できる。目標値を64kg台ギリギリの「64.95kg」に設定すると、グラフ上にラインが引かれ、「ここが目標値」であることを教えてくれる。当面のところは、このラインを超えることを目的に生活していくことになる。

実は4日前は64kg台だったが、実家で大量に食事をしたため、また65kg台に戻ってしまった。こうした変化が分かるのも、グラフ機能の特徴目標体重を設定すれば、グラフ上に目安のラインが引かれる。写真は目標体重を「64.95kg」に設定したところ


 なお、また、グラフ表示中にもう一度「グラフ」ボタンで、日単位でのグラフを週平均、月平均の全3通りで表示できる。今回は使用開始から1カ月しか経っていないためあまり比較にはならないが、3カ月後や1年後になれば、大まかな体重の変遷が見て取れることだろう。

グラフは前述の1日単位のほか、週平均でも表示できる。ただし、4週間しか使用していないため、サンプルが少なく分かりづらい月平均でも表示できる。現時点では、5月と6月しかデータがないため、週平均と同様に変化が分かりづらい
 

 体重データ以外もすべてグラフ表示。「標準」「肥満」などの判定機能も

 体重以外にも、体脂肪率/筋肉量/推定骨量/基礎代謝/体内年齢/体水分率/内臓脂肪レベル/BMI(肥満度を表わす指数)の計9種類の数値が計測できる。しかも、すべての値において、体重同様にグラフで変遷を表示し、比較することが可能だ。

 ここでまず注目したいのが「筋肉量」と「基礎代謝」、そして「体脂肪率」の3点。ダイエットでよくあるのが、体重は落としたは良いが、筋肉まで落としてしまい、基礎代謝が減り、痩せにくい体になってしまうというケースだ。一瞬だけ痩せても、結局それはリバウンドの危険を増やしてしまうだけ、ということも考えられる。つまり、うまく体の脂肪だけを落とすことがポイントなのだ。

体脂肪率のグラフ。途中までは順調に減っているが、4日前、実家で大量にごはんを食べた当りから減っていないのが気になる基礎代謝を減らさずにダイエットできれば、自然と痩せやすい体質になれる基礎代謝の目安となる筋肉量はそれほど落ちていない。歩くことで筋肉が維持できているようだ

 私のグラフを確認すると、筋肉と基礎代謝量は横ばいといったところで、体脂肪率は減少傾向にあるように見える。最終的なデータは来週にまとめたいが、ボチボチ順調ではあるといえそうだ。ただし、前述のように実家に帰って大食いした日から、体脂肪率がやけに高くなっているのが気になる。とりあえず、これを減らすことを当面の目標としたい。

メタボリック症候群の目安となる「内臓脂肪」レベルも表示可能。10未満は「標準」なので、とりあえず今のところ問題はないようだ
 次に注目は「内臓脂肪レベル」で、これは今流行の「メタボリック症候群」を判定するためのもの。内蔵に脂肪が溜まると、糖尿病や高血圧、動脈硬化といった生活習慣病の原因となるとされている。説明書よれば、体脂肪率が低い人でも内臓脂肪が高い人もいるらしい。

 しかしながら、私の内臓脂肪レベルは、常に標準ランクの「4~5」で推移している。どうやら今のところ“メタボ”の心配はなさそうだ。ちなみに、この内臓脂肪レベルは10以上が「やや過剰」、15以上で「過剰」となる。

 このほか、骨全体に含まれるミネラル分の量を表す「推定骨量」、体に含まれる水分の割合を表示する「体水分量」も、常に平均値だった。この2つの値は、いわゆる「食べないダイエット」をすることにより数値が減り、健康に影響を及ぼすことがあるとのことだった。「食べないダイエット」をやっている人には、注意して欲しい項目だ。

食事を減らすダイエットでは、体水分率が減ってしまうことがあるという。グラフを見たところ、逆に増えているようなので、特に問題はなさそうだ推定骨量は標準的な3kgを維持していた

 なお、内臓脂肪レベル/体脂肪率/筋肉量/推定骨量のグラフを表示している際に、本体の「詳細」ボタンを押すと、アニメーションでその日の数値を「標準」や「肥満」または「過剰」といったように判定してくれる機能もある。このアニメーション機能、正直なところチープだが、なかなか脱力なキャラクターが出てくるので個人的には気に入っている。

内臓脂肪レベルを判定してくれる画面。画面左上のダルマのようなキャラクターが妙に気に入っている推定骨量の画面で「詳細」ボタンを押すと、1日のカルシウム摂取量を示してくれるこちらは体脂肪率の判定画面。ここでのキャラクターはダルマではなく、ただのニッコリマーク。なかなかシュールだ

表示部は取り外し可能。見られたくない個人データを守るパスワード機能も


表示部は本体から取り外せる
 測定とグラフ表示については以上だが、BC-306にはまだまだ機能が付いている。

 その1つが表示部。連載第1回目でも触れたが、BC-306の表示部は本体から簡単に切り離せる。一般的な体組成計なら、計測後の数値を屈んで確認するしかないが、本製品なら手元でじっくりと画面が見られる。もちろん、計測の際には必ず本体に取り付ける必要があるが、ネジやストッパーなどは使用しないため、着脱はとても簡単だ。

本体に接続する場合は、写真の端子部を本体の端子部に合わせる細かい数値やグラフが手元で確認できる。撮影にも便利だった

 また、計測データを人に見せないようにするパスワード機能も備わっている。本製品は表示部の「グラフ」ボタンを押せばすぐにデータが見られるが、しかし、家族や友人と住んでいる人には、データを見られたくないという人もいるだろう。そんな時は、4桁の番号のパスワードを設定すれば、グラフが呼び出される度にパスワード入力が求められるため、他人に盗み見されるのを防ぐこともできる。

 このほか、50g単位で細かく体重が量れたり、普段から運動している人用の「アスリートモード」も搭載されている。

パスワードは数字4ケタで設定可能他人が見ようとするとパスワードを要求。合致しない場合は計測データが表示されない

 本体だけで数値の変動をグラフ表示できるのはこれだけ!

 というわけで、BC-306の盛りだくさんの機能を一通り紹介してきたが、このBC-306でも計れないものがある。それは、「部位別」の脂肪率や筋肉量だ。

 体組成計には、BC-306のようにただ上に乗るだけのもののほか、体組成計に付いているハンドルを持ち上げながら、体の部位別の脂肪率や筋肉量を計測するタイプもある。いわゆる、“部分ヤセ”が計れるタイプだ。他社でいえば、オムロンの「カラダスキャン HBF-701」がそれに当たる。

 BC-306にはこのハンドルが付いていないため、部分別のダイエット効果を計測するのには向かない。「足の太さを何とかしたい」「二の腕をもっと細くしたい」という場合には、部位別の計測に対応した機種を購入するのが良いだろう。

 とはいっても、BC-306は「本体でグラフ表示ができる」という、唯一無二の機能がある。前述のオムロン「HBF-701」もデータは保存できるものの、グラフ表示機能は備わっておらず、変動の推移はBC-306の方が分かりやすい。

 日々のデータの推移が分かると、「昨日食べ過ぎちゃったから、今日は食事を抑えよう」というように、すぐに改善策が取り組める。部分ヤセにこだわらないのなら、乗るだけで簡単なBC-306がお勧めだ。



 さて、来週はいよいよ連載の最終回。カロリズムとインナースキャンを使い通して、どれだけ痩せられたか、または使ってみてこれがお勧め! という点をまとめることにする。


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2009年6月17日 00:00