長期レビュー

タニタ「カロリズム & インナースキャン50」 最終回

~食事制限なしでダイエットできました
by 正藤 慶一

 
「長期レビュー」は1つの製品についてじっくりと使用し、1カ月にわたってお届けする記事です。(編集部)



 1カ月にわたってレビューをしてきた「カロリズム」「インナースキャン BC-306」も、今回で最終回。最後に、この2製品を使ってきた結果、どれだけダイエット効果があったかという点を紹介したい。[→第1回  第2回  第3回]

カロリズムインナースキャン BC-306

カロリズムで判明した“歩く”ダイエット法で1カ月、結果は……

 今回、この製品をレビューしたのは、第1回目で述べたとおりダイエットが目的。しかし、フィットネスに通ったり、断食をしたりといった取り組みをするのではなく、「日常生活の中で運動を増やす」「無理な食事制限はしない」「痩せすぎない」という、あくまで普段の生活の中でできる努力で、という条件を加えていた。

 あれから1カ月。第2回目で「とりあえず歩く」「階段を使う」ことがエネルギー消費につながることがカロリズムで判明したことから、帰宅時にはひとつ先の駅まで歩いて乗り、エスカレーターではなく階段を上り、帰りは2km離れた自宅までバスを使わず徒歩で帰るという日々を送った。疲れたら、電車のイスに座り休んだ。立っていてもさほどエネルギーが消費されないことは、2回目で証明されたからだ。

 それでは、カロリズムを使用開始した5月20日と、それから1カ月(31日後)の6月19日の体重を比較してみよう。5月20日は67.20kgだったが、1カ月後の6月19日は……65.30kg。マイナス1.9kg、つまり、約2kgの減量ができたというわけだ。

5月20日時点の体重は67.2kg1カ月(31日後)の6月19日に量ると、65.3kg。1カ月でマイナス1.9kgだった

【5月20日と6月19日の体組成の比較】
日付体重BMI体脂肪率筋肉量推定骨量基礎代謝体内年齢体水分率内臓脂肪
レベル
5月20日67.20kg22.213.6%55.05kg3.0kg1631kcal18才60.0%5.0
6月19日65.30kg21.610.6%55.35kg3.0kg1635kcal17才63.6%2.5


 この「1カ月でマイナス2kg」という数値、あまりセンセーショナルとはいえない。減っていると言えば減っているけれど、もっと痩せられる方法はいくらでもある。読者の中にも「おいおい、1カ月やっておいてそれかよ!」という声もあるかもしれない。

 しかし、個人的にはこの結果には大変満足している。なぜなら、これは毎日必ず食事を摂り、お菓子やジュースを楽しみながらもこの結果になったからだ。つまり、食事面でのストレスはゼロ。記者は、以前レビューにて1カ月食事制限をして6kg痩せるということをやったが、我慢・我慢の連続で、はっきり言ってとても辛いものだった。それと比べると、普段の生活に歩きを加えるだけでこれだけ痩せられたというのは、むしろ評価すべきことではないだろうか。

 その他の数値では、内蔵脂肪レベルは以前の5.5~5.0から4.5~4.0を記録する日が多くなった。メタボ対策にもしっかりと効果があった模様だ。筋肉量、推定骨量、体水分率などはほぼ横ばいと、ダイエットのせいで筋肉が弱まったり、骨がスカスカになるということもなかったようだ。一方で、基礎代謝量は1,600kcal台を割り1,500kcal台後半を記録する日が増えてきたが、これは体重が減ったことによる影響かもしれない。基礎代謝は多いほど太りにくいため、今後はこれを減らさないように気を付けていきたい。

“メタボ”具合を示す内臓脂肪レベルは、6月19日は2.5レベルと極端に低かったが、基本的には4~4.5で推移している筋肉量はほぼ横ばい筋肉量は維持できたのに、基礎代謝は平均的に見ればややマイナスか。太りにくい体質になるべく、より高い数値をキープしたい

体水分率など、その他の体組成も、特に問題はなかった。健康的にダイエットできたようだちなみに、3日後の6月22日は、体重は64.85kgと、目標値の64kg台に到達できた


自発的に食事と運動を意識できるため、2点セットでの導入がお勧め

 カロリズムとインナースキャンを使うことで、もう1つメリットがあった。それは、エネルギーに関する関心が高めることができる点だ。

 この2製品を使う前は、例えば食事で「食べ過ぎたなー」と思っても、知らん顔でそのまま寝て、そのことを忘れたまま日々を送っていた。

矢印で示している部分が、ご飯を大量に食べてしまった「大食いポイント」。その後3日ほどは体重が高いが、運動量を増やすことによって、減らすことができた
 しかし、インナースキャンは体重の記録がそのまま残るため、ごまかしが利かない。食べ過ぎたその翌日の体重のグラフはギューンと伸びており、結果が一目瞭然。しかも、一度増えると再び体重を減らすまで以降3~4日ほどかかってしまうことも分かった。目に見えて結果が分かるので、なるべく大食いをしないように心がけるようになった。

 そして、その増えた分を取り返そうとするのにも、カロリズムが役に立つ。例えば、食べ過ぎた時には、歩く距離を伸ばしたり、家事を多くするなどして、普段よりも動くようにする。すると、エネルギー消費量の数値が高まり、カロリズム左側の「カロリズムグラフ」が、いつもより高く表示され、効果がパッと見でわかる仕組みになっている。その運動をしっかり継続すれば、食べ過ぎで増えた体重も、いずれは落ちていく。しかも、運動したことで筋肉が付くため、基礎代謝量が増え、より太りにくい体になる。

 先ほど、今回のダイエットの条件に置いて「食事制限はしない」と述べたが、そういう点では、一種の自発的に食事を制限していたことになるのかもしれない。たとえ食べ過ぎても、カロリズムでそれを取り返す機会が得られるのだ。

 今回はこの2つの製品を試したが、いずれも同じメーカーではあるものの、セットで使用されることを目的には作られていない。しかし、カロリズムは身体活動量は計測できるが、活動したことによる結果、つまり体組成のデータは計れない。一方でインナースキャンは体組成は分かるが、それを調節するための活動量は計れない。それを考えると、両者の組み合わせはお互いがお互いを補い合う、とても良い関係にあるといえそうだ。そういう点では、1点それぞれを買うよりも、2点セットで揃えた方が、よりダイエット効果が得られることになるだろう。


 歩数計よりもより詳細なデータが得られる

 ところで、第2回の中でも触れたとおり、日常生活の中で増やせるエクササイズはほとんどが“歩く”ことが中心だ。それなら、「わざわざカロリズムを使わなくたって、歩数計で済むんじゃないか?」 という意見もあるだろう。

 しかし、実際のところ、歩数と消費エネルギーの関係は必ずしもイコールというわけではない。

 下のグラフを見ていただきたい。これは、5月31日と6月20日にカロリズムにて計測したデータの比較である。総消費カロリーは、5月31日が2,531kcal、6月20日は2,563kcalと、似通った数値となっている。

 しかし、歩数を見ると5月31日は10,177歩、6月20日は20766歩と、1万歩以上の差がある。それでいて総消費カロリーはほぼ同じとなっている。これはどういうことだろうか?

【5月31日と6月20日におけるカロリズムのデータの違い】
日付総消費カロリー
(kcal)
活動
(kcal)
燃焼
(g)
歩数
(歩)
距離
(km)
歩行時間
(分)
エクササイズ値
(Ex)
5月31日253174618.7101777.12885.4
6月20日2563777.432.22076614.5317611.3


 答えは、上半身の活動量の差だ。5月31日は第2回で使用する写真撮影のため、歩くことよりかはポーズをちょこちょこと変えることが多かった。一方、6月20日はとにかくひたすら歩き、カロリズムグラフは最大の7マスまで到達してしまった。そのため、運動強度も高くなり、エクササイズ値は5月31日の倍となっている。

 これが歩数計なら、6月20日の総消費エネルギー量は計測できても、5月31日の上半身の動きは計測できなかっただろう。カロリズムの方が、上半身・下半身を含めた日々の活動量を細かく拾ってくれるのだ。

 結論をいえば、歩数計を選ぶよりも、もっと詳しいデータが得られるので、歩数計よりもお得といえるだろう。

 Tシャツに付けられないなど、課題も多い

 カロリズムは今年の4月に誕生した、個人向けでは初の身体活動計。そのため、正直に言うと物足りない部分も多い。

 まずは、パソコンと連携をしておらず、データが外部に出力できないという点だ。カロリズムのデータは過去7日間(エクササイズ量達成率のみ12週間)なので、例えば「使い始めの頃と比べるとどれだけエネルギー消費量が変わっているのかな」と思っても、既にデータは消えてしまっているため、確認することができない。今回は自分で表計算ソフトを使って入力してはみたが、これがなかなか面倒で、入力し損ねた日もあった。歩数計ではパソコンと連携して、データを移すという機能を持った製品があるが、そのような機能を今度はカロリズムにも盛り込んでほしいところだ。

 また、Tシャツに取り付けられない点も不満だ。普通の歩数計なら腰に付けるのだが、カロリズムでは上半身の活動量を計測するため、本体も上半身に取り付けることを勧めている。説明書では、スーツやYシャツの胸ポケットに入れられることを勧めている。しかし、Tシャツの場合は、ポケットがないのだから取り付けようがない。襟に付けることもできるが、付け心地ははっきりいって悪い。、これからの暑い季節はTシャツ1枚で暮らすことが多くなるのに、取り付けられないというのは悲しい。

 対策としては、首掛けストラップを付けて、あまりプラプラと揺れないようにシャツの中に本体を入れていれば、問題なく使用できる、ということは1回目で確認した。ただ、本体には同梱されないため、別途購入する必要がある。

パソコンにデータを吐き出す機能がないため、表計算ソフトを使ってデータを記入していたが、記入ミスが発生してしまった。連携機能があれば、こういったことは防げるのだが…基本的には胸ポケットに入れて使用するため、Tシャツには取り付けられない。ストラップを使えば首から提げられるが、別売りとなる

 さらにいえば、区間ごとのエネルギー消費量が分からりにくい点も気になる。歩数計では、ある地点からある地点までのエネルギー消費量が分かる機能を持った機種もあるが、カロリズムにはそれがない。現状は、第2回目でも試したように、スタート地点のエネルギーの数値と終わりの地点の数値を比べることでしかわからない。これがあれば、例えば仕事している時は何kcal、自宅から家までが何kcalなど、特定の作業におけるエネルギー消費量がもっと分かりやすかったのかもしれない。


普段の生活でできるちょっとした努力で、辛くないダイエットを


 4回に渡ってカロリズムとインナースキャンのレビューを行なってきたが、今ではどちらも暮らしの中で欠かせないものとなった。カロリズムは持っているだけで普段の生活における活動量を計測してくれ、インナースキャンは体組成計の上に乗るだけで自動でデータを記録し、分かりやすく表示してくれる。どちらも簡単に利用でき、しかも自然に健康へと目を向けるよう、データを提示してくれるのだ。

 読者の中には、健康診断などで久しぶりに体重を量ったところ、重いのほか増えていた……という人もいるだろう。そういったときには、無理に運動をしたり過度のダイエットをする前に、まずはカロリズムとインナースキャンを購入して、自分の生活を見直してみてはいかがだろうか。そして、日常のなかで少しずつ運動量を増やしていくことで、無理なく徐々にダイエット効果が出てくるはずである。

 体重や“メタボ”が気になったとき、この2製品がきっと助けになるはずである。
 

カロリズムを使いはじめたころは、カロリズムグラフも低かったが……1カ月後は、意欲的に身体運動をしようとするため、消費エネルギーが高くなった。持っているだけで、ちょっと体を動かしてみたくなる



(正藤 慶一)

2009年6月24日 00:00