長期レビュー
タニタ「カロリズム & インナースキャン50」 その1
●また太り始めた……そんなところにカロリズム登場のニュースが!
タニタ「カロリズム」 |
昨年の夏もオーバーウェイト気味だったので、秋にマイナス6kgのダイエットを敢行し、理想の体型を取り戻してしばらくは体型が維持できていた。しかし、徐々に緊張の糸が途切れはじめ、今年の春からは一切体重を気にしなくなってしまった。
もちろん、その反動は自分の身に降りかかってくる。体重を量ったところ、自分のベスト体重よりプラス4kg。これからどんどん若さを失っていくというのに、このままでは先が思いやられる。
何か痩せるための努力をしないといけないと思ったものの、食べないダイエットはストレスが溜まるし、精神的にキツイ。かといってスポーツジムに通うとなるとお金がかかる。日常生活を普通に送りながら、うまいことダイエットに取り組める器具はないものだろうか。
……と逡巡していると、この4月に新たな計測器具が登場したというニュースがあった。それが、タニタから発売された“活動量計”「カロリズム」である。
メーカー | タニタ |
製品名 | カロリズム AM-120 |
希望小売価格 | オープンプライス |
購入店舗 | Amazon.co.jp |
購入価格 | 6,780円 |
カロリズム本体 |
ここでひとつの案がひらめいた。このカロリズムを使えば、日常生活の些細な部分における消費エネルギーが計測できる。そして、ちょっとずつカロリーが消費できる暮らしを送っていけば、理に食事制限もするこなく、さらにはスポーツジムに通うこともなく、無理なくダイエットできるのではないか。
今回はこのカロリズムを使って、日常生活の中でうまいことダイエットができるよう、1カ月にわたって使用してみたい。
●ジョギングなど特別な運動なし、食事制限もなしでダイエットに挑戦
さて、これからカロリズムを使い続けるに当たって、“健康に痩せる”ためにあらかじめルールを3点設定しておきたい。
まず1点目が、「日常生活の中で運動を増やす」ということ。ジョギングなど運動すれば痩せる、というのは、はっきり言ってしまえば当たり前。それが面倒臭くてできないから、こうして太りだしてきたのだ。というわけで、“毎晩1時間ランニングする”というよりかは、“いつもはバスに乗っているけど、今日は歩いてみようか”など、出勤や買い物のついでにできるちょっとした運動を増やすことにこだわってみたい。
2点目が、「無理な食事制限はしない」。冒頭でも述べたが、食事を制限して痩せるというのは、たしかに体重は減るものの、同時に筋力量も減るため、基礎代謝が落ち、結局食べればまた太るというケースが多い。何と言っても、空腹に耐えるというのが相当にキツい。お腹が空いたらしっかりと食事をし、かつダイエットも成功させてしまおうという、贅沢な道を進んでみたい。
3点目は、「痩せすぎない」。実を言うと、いくら太ってきているといえども、私の体型は基本的には中肉中背。パッと見でははっきりいって太ってはいない。“それなら痩せる必要なんかないだろ!” とお怒りの方もおられるかもしれないが、問題は「太っているか否か」ということではなく、「太りはじめてきていること」なのだ。このまま食っちゃ寝の生活を過ごしていけば、どんどん肥え続けるのみ。痩せることよりも、その流れを止めることが重要なのだ。
というわけで、以上の3点に気を付けて、カロリズムを使いはじめてみよう。
●まずは年齢や体重など基本情報を入力。胸ポケットなど上半身に装着する
カロリズムのパッケージ内容。右上から順に、クリップ付き電池カバー、落下防止ストラップ、電池2個、ドライバー |
カロリズムとiPod shuffle (左)を比較。本体は30×13×88mm(幅×奥行き×高さ)と、一般的な歩数計とほとんど同じサイズ | 付属のドライバーを使って電池カバーを開け、ボタン型電池を入れる。電池の寿命は約9カ月だが、同梱の電池は“お試し用”のため、それよりも早く切れる可能性もあるとのこと |
電池を入れた後は初期設定画面となり、時刻/年齢/性別/身長/体重のデータを入力していく。ここまでは比較的スムーズに進むが、体重の次には「体脂肪率」「歩幅」という、すぐにはわかりにくいデータを入力する必要がある。実際の数値を計るのが面倒な人は、身長や体重から算出された推測値が表示されるため、これをそのまま使うのも良いだろう。もちろん、こうしたデータは消費エネルギーにも大きく影響するので、より正確な値を知りたい場合には、それぞれの項目を自分で測定することをお勧めする。
体脂肪率と歩幅の入力が完了すると、本体のモニター部には「安静 1785kcal」というような値が表示される。これが「安静時代謝量」というものだが、これらの数値は次項で詳しく説明する。
年齢、身長、体重を順に入力していく | その次には「体脂肪率」「歩幅」を入力。身長と体重から算出する参考値が表示される | 入力が完了すると、画面右下に「安静時代謝量」が表示される |
取り付け位置は胸ポケットが基本 |
となると、胸ポケットも付いていないTシャツだけの場合だと、なかなか装着が難しい。それなら、首掛け用のストラップを使えばよいのではと、お客様センサーに問い合わせたところ、それでも問題ないとのことだった。ただし、カロリズムが揺れすぎると正しい計測ができないため、カロリズムをTシャツの外ではなく、中に入れておくと良いとのことだ。
クリップ付きの電池カバーを取り付ければ、衣服に挟んで固定できる | 落下防止用のストラップ | 携帯電話用のネックストラップなら(写真上)、Tシャツでも使用できる。ただし、カロリズムが揺れすぎないよう、ストラップをシャツの中に入れておくのが良いとのこと(下) |
装着が完了すれば、いよいよ計測がスタート。後は普通に生活するだけで、カロリズムが自動的に暮らしの消費エネルギーを計測してくれる。
●画面左側の「カロリズムグラフ」を高く積み重ねるべし!
ではここからは、カロリズムが計測したデータの見かたを紹介しよう。
カロリズムのメイン画面。(1)が「24時間カロリズムグラフ」、(2)が「総消費エネルギー量」、(3)が「安静時代謝量」となる。身体活動が多いほど、(1)のグラフが積み重なり、(2)の数値が高くなる |
このうち安静時代謝量は、座って安静にした状態で1日を過ごした場合の消費カロリーのこと。何も運動しなくても、だいたいこれだけのカロリーを1日に消費するということを示している。安静時代謝量は身長や体重、体脂肪率や歩幅といった個人データの入力後に自動的に表示され、個人データを変更しない限りは、常に数値は固定される。
安静時代謝量の上に表示されるのが、「総消費エネルギー量」だ。歩行などの身体の動きを検知し、1分間毎に消費エネルギーを累計していく。数値は毎日0時00分に「0kcal」からスタートし、徐々にカロリーを加算し続け、また0時を迎えると「0kcal」からスタートする。1日の終わりの時点で、この数値がどれだけ安静時代謝量を超えているかが、ダイエットのポイントとなるのだ。
ちなみに、カロリズムを身につけずテーブルの上に放置していても、総消費エネルギー量の数字は毎分ちょっとずつ増えていく。運動していないのになぜ? とも思うが、これは安静時代謝量が消費されていることを表わしている。
テーブルの上にカロリズムを置いたままでも、安静時代謝量をカウントするため、総消費エネルギー量は1分毎に1~2kcalずつ増えていく。(再生速度は10倍に早めています) |
その左側にある「24時間カロリズムグラフ」は、活動量のグラフを1時間ごとに7目盛りの棒グラフでわかりやすく表示するものだ。例えば、グラフが1目盛り目までしか届かなかった場合は、その時間帯は安静時の1.1倍未満の軽い活動しかしていなかったことになる。これが4目盛り目になると、安静時の2~2.5倍の活動をしたことになり、つまり“エクササイズした”ということになる。7目盛り目までいった場合は、安静時の3.5倍以上の活動量となり、めちゃくちゃ運動したということだ。
まとめれば、この目盛りが高くなればなるほど、エネルギーを消費したことになり、ダイエット効果が期待できるというわけだ。
ちなみに、3目盛り目と4目盛り目の間には、“4目盛り目からが、安静時の代謝量の2倍ですよ”ということをがわかるよう、青とオレンジで色分けがされている。グラフがこのラインを超えればより運動した証拠となる。
「24時間カロリズムグラフ」のグラフが高ければ高いほど、運動したことになる | こちらは家で寝っ転がっていた日のグラフ。活動量が安静時の2倍のラインを越えることはなかった |
●通勤時間のグラフは「4」、サッカー観戦は「2」、オフィスでの勤務時間は「1」
ここで具体例として、ある平日と休日のカロリズムグラフを詳しく見ていこう。
ある平日のカロリズムグラフ。通勤や取材の時間はグラフが高いが、オフィスに戻ると途端に運動量が減ってしまう |
こちらは休日にサッカーを見に行った日のカロリズムグラフ。行き帰りで歩きが多いため、グラフはかなり高い。深夜にディスカウントストアに行っていることまでグラフに表示されている |
右の写真は、休日にサッカー観戦に出かけたもの。13時頃に家を出たが、最寄り駅からスタジアムまで徒歩でしばらく歩かなければいけないため、試合開始前の15時台は目盛りが「5」と、かなり高い数値となっている。その後、16時から2時間は試合時間となるため、目盛りは低くなっているが、18時からはまた最寄り駅への道のりのため「5」。その後、買い物をするなどいろいろ寄り道をしたため、グラフは2~4を推移している。
面白いのが、サッカーを観戦している時のグラフが「1」ではなく「2」なところだ。座席に座っておとなしく観戦しているつもりなのだが、ついつい体が動いてしまうため、安静時よりも活動してしまったのだろう。これが歩数計ならば、座っているだけなので歩数はカウントされない。こういった普段の何気ない行動も計測できるのが、カロリズムの面白いところ。深夜にコンビニやディスカウントストアに行ったデータもご丁寧に取得してしまっているのには、恥ずかしいものがあるが……。
カロリズムの良いところは、このグラフを見て、自らの生活を振り返り、より身体活動ができるように取り組めるところだ。私の場合は、両方のデータを見たところ、どうやら徒歩で移動している際には、エネルギーを大きく消費している傾向があるようなので、会社の行き帰りなどでもっと歩いてみることにする。
データはこのほか、安静時以外の活動量をカウントする「活動エネルギー量」、それによって消費された「脂肪量」、歩数、歩行距離、歩行時間といった歩数計のデータ、さらには、身体活動の強度や運動量を表わす「メッツ」「エクササイズ」といった数値までも計測できてしまう。このあたりの解説は第2回で詳しく述べるが、簡単に言えば“より計れる数値の多い歩数計”といったイメージだ。
なお、パソコンやケータイとの連動機能はない。
●カロリズムと同様、グラフで分かりやすく表示する体組成計が相棒
同じくタニタの体組成計「インナースキャン50 BC-306」も併用する |
そこで、今回のロングレビューでは、カロリズムを使い続けていくうえでの“相棒”として、同じくタニタ製の体組成計「インナースキャン50 BC-306」も合わせてレビューしてみようと思う。
メーカー | タニタ |
製品名 | インナースキャン50 BC-306 |
希望小売価格 | オープンプライス |
購入店舗 | Amazon.co.jp |
購入価格 | 10,775円 |
この製品、体重や体脂肪率、筋肉量といった体組成の変化を、グラフで一覧表示できる点が最大の特徴。つまり、カロリズムで運動した成果がここに一目瞭然で現れるのだ。過去のデータを本体に保存し、閲覧できる製品は過去にもレビューで紹介したが、棒グラフで分かりやすく表示できる機種は現在のところタニタのこの製品のみ。カロリズム同様、グラフで分かりやすいということから選択した。
計測データは、体重/体脂肪率/筋肉量/推定骨量/基礎代謝/体内年齢/体水分率/内臓脂肪レベル/BMI(肥満度を表わす指数)の計9種類となっている。ちなみに、体重などのデータの液晶部を取り外して、手元で数値を確認できるというのも、見やすくて気に入った。
このインナースキャンについては、3回目でより詳しく見ていく予定だ。
本体の表示部が取り外し、測定した数値が手元で見られる | 電源となる電池は、表示部の内部にセットする |
5月20日からカロリズムを使い始めたが、10日でマイナス1kgを達成。どのようにして痩せたかについての詳細は次回 |
次回は、日常に隠れたエクササイズポイントを、カロリズムを使っていろいろ計測してみたいと思う。
2009年6月3日 00:00
「長期レビュー」は1つの製品についてじっくりと使用し、1カ月にわたってお届けする記事です。(編集部)