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中国とのやりとりに必須。世界最大級のチャットツール「WeChat」【電辞苑(ハードウェア用語集)】

WeChat(ウィーチャット)

 中国大手IT企業のテンセントが運営する無料のインスタントメッセンジャーアプリ。中国では「微信(ウェイシン)」という名称でサービスが提供されている。「信」は「手紙(中国ではこう書く)」、「微」は「少し」という意味で、「微信」は「短い文章の手紙」という意味。

 中国では9億近い月間アクティブユーザー数(ITmedia)と圧倒的なユーザー数を誇り、メッセンジャーアプリとしてワールドワイドでもトップクラスのユーザー数を獲得。運営会社のテンセントは、検索大手のバイドゥ、EC大手のアリババと並んで中国を代表するIT企業とされている。

 仕組みとしては日本で人気のLINEと似たチャットアプリだが、ハードウェア・スタートアップにとって最大の特徴は「中国で使える」こと。なぜなら中国では、日本では当たり前に使えるWebサービスが使えるとは限らないから。具体的にはGoogleやFacebookが利用できないため、中国の工場や中国出張中のエンジニアと連絡を取るためには必須のビジネスツールなのだ。

 なお、同様の理由でオンラインストレージはGoogleドライブやDropboxではなく、バイドゥの「バイドゥクラウド」が使われることもある。また、チャットで「ここに来い」と位置情報が送られたものの、中国ではGoogleマップが使えず、中国で使えるbaiduの地図アプリ「百度地図」がスマートフォンにはインストールされていないために地図を見ることができず困った、というエピソードも。

 テキストチャットやボイスチャット、ビデオチャットといった基本的な機能が搭載されているほか、Apple Watchにも対応している。また、「WeChat Pay」という決済サービスも提供しており、最近では日本への導入も進み始めている。

 なお、中国ではアイコンに有名人など自分ではないアイコンを設定している人が圧倒的に多い。また、中国では本名の他に「マイケル」「アイリーン」といった英語名を持つことがビジネス上の通例となっており、その結果アイコンと名前だけでは実際の人物がまったくわからない。アイコンに表示されていた女の子の顔を思い浮かべながら現地の工場へ向かうと実際の担当はまったく別の顔だった、ということは日常茶飯事である。

 また、現地工場で車を手配してもらう場合もWeChatがよく使われるが、上記の通りこちらからは相手のアイコンで誰だかを確認できないため、向こうから見つけてもらえるよう、自分のアイコンは自分の写真を設定しておくことを推奨する。

この記事は、2017年8月29日に「カデーニャ」で公開され、家電Watchへ移管されたものです。

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