カデーニャ

歌って踊れるスマートスピーカー!? ソニー「BSP60」を今改めてチェック

 スマートスピーカーが大きな話題となった2017年から2年も前、音声でコントロールでき、さらに音楽に合わせて踊るという独自性を持ったスピーカーとして発売されたのが、ソニーのスマートBluetoothスピーカー「BSP60」です。あれから2年が経過して、ホームオートメーション機器との連携も進んだスマートスピーカー全盛時代の今、改めてBSP60が現在でも魅力あるプロダクトなのか、振り返ってみましょう。

 まず外観からチェック。ガンダムに登場するペットロボット「ハロ」みたいと呼ばれたこともあるそうですが、確かに耳をパタパタさせる球体でソレっぽい。愛着がわくスタイリングです。でも光沢ブラックのボディが大人っぽさも演出。高級車の塗装を思わせます。

「BSP60」とAndroidをペアリング

 電源スイッチ、およびBluetoothペアリングスイッチは底面部にあります。左にスライドさせると電源ON。中央部で電源OFF、右にスライドでペアリングモードに切り替わります。

 NFCのアンテナは額の部分にあります。専用アプリ「Smart Bluetooth Speaker BSP60」をインストールしたXperiaを近づけてペアリングします。

 アプリはAndroid 4.4以降の「Xperia」用となっていますが、実際にはOSのバージョンがAndroid 4.4以上かつ、A2DP、AVRCP、HFPのBluetoothプロファイルに対応、NFC機能を持つスマートフォン・タブレットで使えます。

 ペアリングが完了したら、まず最初に設定すべき項目があります。それは音楽に合わせて踊る機能です。

 初期状態では「音楽に合わせて踊る(音楽再生中)」の機能がOFFになっているんですね。この設定画面に表示される、「落ちる可能性がある場所には、スピーカーを置かないでください」の注意文を読んでもらうために、ワンクッションおいているのでしょう。

 ボイスコマンドを使うには、常にAndroid端末と通信している状態でなくてはなりません。単体でネットにアクセスできる現代のスマートスピーカーと、大きく違うポイントとなります。

「BSP60」で使えるボイスコマンド

 ボイスコントロールの待受状態にするには、前面部にあるタッチセンサーに触れるか、「OK スピーカー」と呼びかけます。「OK Google」ではありません。ボイスコントロールのシステムはソニー自身が開発したものを採用しており、Googleの音声コントロール機器とは使えるコマンドも異なります。「BSP60」で使えるコマンド・機能は以下となります。

・「いま何時?」…現在の日付・時間を確認する
・「○○の天気は?」…各地域の天気を確認する
・「○○さんに電話」…アドレス帳に登録済みの人に電話をかける
・「電話あった?」…不在着信の確認、折り返しの電話をかける
・「○時に起こして」…アラームをセットする
・「タイマーを○分に設定」…タイマーを設定する
・「予定教えて」…スケジュールを確認する
・「メッセージ読んで」…SMSを読み上げる
・「音楽かけて」…音楽を再生する
・「電話探して」…スマートフォンのアラームを鳴らす
・「バッテリー残量は?」…BSP60とスマートフォンのバッテリー残量を確認する

ダンサー「BSP60」の華麗なステップ

 この状態で音楽を再生すると、ちょこちょこと、細かく踊りだします。モーションはプリセットされているものをランダムに再生するとのこと。動きが曲のBPMにマッチしているように見えますが、これは細かい動きをさせることで、どんな曲とも合っているように見せることができるんですって。

 そして音質はなかなか良好です。いわゆる重低音な厚みはありませんが、中高域がシャープなのでボーカルがすっと前に出てくる印象を受けます。

 デュフューザーである耳が細かく動いても音像はさほど変わらない。「BSP60」が左右にボディを振っても音場が崩れにくい。全方位スピーカーのメリットがここに生きます。

 Rollyは大型ホイールを使った高速でダイナミックなピボットターンが見ものでしたが、デュフューザーや本体の位置で音場が安定しなかったんですよね。ロボットとしてはとても愛せる存在でしたが、スピーカーとしてはオススメできなかったことを思い出します。

 開発用のスケルトンボディにも踊ってもらいました。メカメカしい! これはこれでいいものですね!

 そしてダンス中にデュフューザーを押すと一時停止状態になります。

ホビーユースのBluetoothスピーカーとしては今なお魅力的

 特徴的な機能を詰め込んだBSP60ですが、最新のスマートスピーカーと比べると待受状態になるまでの時間が長く、使えるコマンドの数も多くはありません。「リラックスできる曲をかけて」とクラウドAIに再生する曲をレコメンドしてもらえる、2017年発売のスマートスピーカーと比べると見劣りする部分も多々あります。

 しかし、「話しかけて音楽を再生する」という体験や必要十分なスピーカーの音質に加えて、”踊るスピーカー”という特徴は最新のスマートスピーカーにもない独自性であり、所有欲を満たすもの。ホームパーティや飲み会時、話題のタネとなるのは確実。好きな人には深く刺さる1品であり、他にはない価値を持つもスピーカーであり、「ひと味違うスマートスピーカー」として気になる方は、新品在庫がある今のうちに押さえておきましょう。

この記事は、2017年12月4日に「カデーニャ」で公開され、家電Watchへ移管されたものです。

武者良太

1971年生まれのガジェットライター。AV機器、デジタルカメラ、スマートフォン、ITビジネス、AIなど、プロダクトとその市場を構成する周辺領域の取材・記事作成も担当する。元Kotaku Japan編集長。 Twitter:@mmmryo