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ネコの舌からきのこの傘まで! シャープ独自の「ネイチャーテクノロジー」家電まとめ

 ネコの舌、きのこの傘、フィボナッチ数列のひまわりの種etc……、一体なんのこと? と思われるかもしれないが、これらはすべてシャープの家電に搭載されている技術。シャープでは動物や植物の特性に着目した「ネイチャーテクノロジー」を、白物家電に採用しており、そのラインナップは多岐にわたる。今回は、シャープのお家芸ともいえる「ネイチャーテクノロジー」が搭載された家電を紹介しよう。

ネコの舌はどうやって家電に応用されるのか……?
きのこの傘を模したふとん乾燥機
扇風機にはアホウドリやアマツバメの翼を応用し、「ネイチャーウイング」と名付けられている

ネコの舌を応用し、ゴミを1/5に圧縮する掃除機

 9月に発売されたばかりの、サイクロン式コードレスキャニスター掃除機「RACTIVE Air(ラクティブ エア) EC-AS710/510」では、ダストカップ内のゴミを圧縮するためにネコの舌を応用。

RACTIVE Air EC-AS710/510
ダストカップにネコの舌を模した突起を採用し、ゴミを約1/5に圧縮できるという

 ネコの舌はザラザラしており、その舌をブラシ代わりにして毛づくろいするという習性がある。舌のザラザラは細かい突起によるもので、舐めとった毛は固まって毛玉になるという点に注目。

 EC-AS710/510では、ダストカップにネコの舌を模した突起を採用し、ネコが毛をなめて固めるように、吸い込んだごみを固めて再膨張を抑える構造だ。これにより、ダストカップのハンドルを回すだけでゴミを約1/5に圧縮でき、ゴミ捨て時にホコリが舞い上がりにくくなったという。

ネコはザラザラした舌をブラシ代わりにして毛づくろいするという習性がある

胞子を遠くに飛ばすきのこの傘で、温風をふとんの隅々まで届ける「きのこアタッチメント」

 きのこの傘を応用した「プラズマクラスターふとん乾燥機」は、ホースの先端にきのこの傘を模した「きのこアタッチメント」を搭載。

 きのこの傘が胞子を遠くまで飛ばすという点に着目しており、アタッチメントは内部に小さいきのこを5つ配置し、それを大きなキノコで覆う構造。外側の大きなきのこがふとんの中に風の通る空間を作り、内部の5つの小さなきのこに沿って風の勢いを強め、広い範囲に温風を届ける。これにより、乾燥マットを使わずにふとんの隅々まで温風を届けられるという。

ホースの先端にきのこの傘を模した「きのこアタッチメント」を搭載した、プラズマクラスターふとん乾燥機。乾燥マットを使わずにふとんの隅々まで温風を届けられるという
きのこの傘が胞子を遠くまで飛ばすという点に着目

アホウドリとイヌワシの翼をヒントにしたルームエアコン

 そもそもシャープのネイチャーテクノロジーの始まりは、2009年に発表したルームエアコン。室外機に搭載されているファンに、長距離飛行に適したアホウドリと、強い乱気流のなかでも安定して飛翔できるイヌワシの翼を応用し、送風効率を高めたという。

 翼をファンの根元まで伸ばすことで風を大きく受け、翼に切れ込みを入れて乱流の失速を低減させることで、消費電力を抑える効果があるのだという。さらにはファン全体も軽量化でき、軽量化によりファンを駆動させるモーターも小型化を実現している。

アホウドリとイヌワシの翼の形状を応用したルームエアコン
2009年発表時のファン(上)と、従来のファン(下)。消費電力に違いが見られる

フィボナッチ数列に着目したひまわりの種は、洗濯機から美容家電にまで応用

 ドラム式洗濯乾燥機と、ヘアーアイロンには、ひまわりの種の配列を応用。

 ひまわりの種は、種の一つ一つが中心から約137.5度(黄金角)ずつずれながら螺旋状に配列されている。限られたスペースを巧みに埋め尽くしており、ランダムに見えて規則性があり、フィボナッチ数列とも関連する。

ひまわりの種の配列を応用したドラム式洗濯乾燥機とヘアーアイロン

 ドラム式洗濯機ではフタの内側に突起を配し、ひまわりの種の配列を応用。洗濯物にまんべんなく突起があたるように設計できたことで、洗濯ムラを低減し洗浄力もアップするとしている。

 ヘアアイロンはピン1本1本が熱くなるヒートピンタイプで、ピンの配列にひまわりの種を応用。この配列により髪をキャッチする力が向上し、ストレートや毛先をカールさせる際、ピンのすき間から髪が逃げにくくなるという。

フタの内側に突起を配し、洗濯物にまんべんなく突起があたるように設計されている

アマツバメの翼で送風効率を高めたヘアードライヤー

 ルームエアコンではアホウドリやイヌワシの翼を応用していたが、ヘアードライヤーに用いられているのはアマツバメの翼。

 同社のプラズマクラスタードライヤーでこだわっている「速乾力」を高めるために、高速飛行する渡り鳥「アマツバメ」の翼形状をファンに応用し、羽根枚数は従来の7枚から3枚に変更した。ファンの回転数アップを実現し、熱の力に頼らずにスピーディーに髪を乾かせるという。

プラズマクラスターヘアードライヤー
アマツバメの翼を応用したドライヤーのファン。羽根枚数は3枚に変更された

 このほかにも、空気清浄機にはてんとう虫の飛翔能力を、冷蔵庫にはホタテの貝がらの凹凸を応用しているという。シャープの公式サイトには、「ネイチャーテクノロジー」特設ページが用意されているので、興味がある方はこちらも要チェックだ。

西村 夢音