やじうまミニレビュー

無印良品「ポータブルシェーバー PSV‐MJ」

~シンプルなデザインで、水洗いできる乾電池式シェーバー

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無印のポータブルシェーバー

無印良品「ポータブルシェーバー PSV‐MJ」

 無印良品から、「ポータブルシェーバー PSV‐MJ」というシェーバー(電気カミソリ)が発売された。

 ポータブルシェーバーという名前からして、出張に持って行ったり、会社の洗面台でちょっと使ったりする製品だ。写真で見たシンプルなデザインが気に入ったので、さっそく購入して試してみた。

メーカー名無印良品
製品名ポータブルシェーバー PSV‐MJ
販売価格2,500円
購入場所無印良品ネットストア

ケースレスが前提のデザイン

 PSV‐MJは、最近の無印良品の電気製品と共通の薄い透明な箱に入っている。パッケージの内容もシンプルで、取扱説明書と掃除用ブラシが付いているだけだ。ケースは付属していないが、外にスイッチ類が出ていないので、ケースレスでそのままバッグに入れられる。

パッケージは、最近の無印良品の定番になった透明のケース
本体裏面には特徴と仕様が書かれている
シェーバー本体と取扱説明書が入っている

 取扱説明書は和文と英文の2つ入っているのが、ちょっと変わっている。掃除用ブラシは、シェーバー本体に収納されているので、電池を入れる時まで気が付かなかった。掃除用ブラシが内蔵されているのも、ケースレスで使って欲しいという意図だろう。

取扱説明書は和文と英文の2冊入っている
乾電池を入れるために外した底ケースに、掃除用ブラシが収納されている
このように外して使用する

 シェーバー本体の色は無印良品らしく白だ。本体は四角が基本で、左右がラウンドした形になっている。

シンプルなフォルムに白い色が似合う
正面は凹凸がなくツルッとしている
キャップを開けた状態
左は懐かしのiPhone 3GS。シェーバーは3GSより、厚みはあるが、一回り小さい

 電源は単三乾電池2本で、電池は付属していない。指定はマンガン電池とアルカリ電池で、ニッケル水素電池は使用できないと明記されている。

 電池寿命はアルカリ電池では1日3分で約1カ月、マンガンだと約1週間とされている。今回はアルカリ電池を使った。

 電池は、本体の底部を開いて入れる。水が入りにくいように、フタをした後で閉める構造だ。この構造は、ブラウンやパナソニックの乾電池型シェーバーともよく似ている。

本体底面が電池室を開けるレバーになっている
まず、レバーを回転させる
底ケースを外した状態
本体の方向指示に従って乾電池を入れる

 アルカリ電池2本を入れた状態での重さは実測で153gだ。本体の幅が57mm、高さが97mm、厚さが25mmと小さいので、手にすると実際の重さの以上に密度を感じる。

 無印良品の製品レビューを書くときは、いつも「白いシンプルなデザイン」と書くことになってしまうのだが、一連の製品の中でも、この製品はフォルムと色が良く似合っていて、完成度の高いデザインとなっている。この製品は日立マクセル製で、色違いの製品がマクセルからも出ているのだが、この無印の白が一番好きだ。単にカラーバリエーションとして白にしたのではなく、最初から白を前提としてデザインされたかのようにさえ見える。

 シェーバーのもともとの形がシンプルなだけに、白というフォルムを引き立てる配色が合っているだと思う。ここしばらく触った無印良品の電気製品の中でも、かなり気に入ったデザインだ。

意外に本格的な剃り味

 実際にヒゲを剃ってみよう。

 操作は電源スイッチ1つだけだ。ちょっと変わっているのは、ONが「1」、OFFが「0」と表記されている。最初は、InとOutで「I」と「O」かと思っていたが、書体が数字の1なのだ。まぁ、ON/OFFしかないので迷うことはないが、変わった表記だ。

電源スイッチはキャップの中にある。ONを数字の1で表しているが珍しい
外刃は、いわゆる一枚刃
外刃には「SILVER COBALT」と書かれている。特に説明はないが、耐摩耗性に優れたコバルト鋼なのだろうか
外刃の弾力性は高く、指で押すと柔らかい
YSSヤスキハガネを使用した内刃

 電源スイッチを入れると、思いのほか強力に左右に振動があるので驚く。ポータブルシェーバーという名前から考えていたよりも、モーターは強力だ。本体はガッシリと握った方が良い。

 外刃は、今風に言うと1枚刃なので、肌に強く押し付けてはいけない。軽く撫でるようにするのがコツだ。

 剃り味は、ポータブルシェーバーとは思えないぐらい本格的で、スッキリと剃れる。もちろん、肌に密着してヒゲを捉える4枚刃以上の製品とは感触が異なるが、剃れずにイラつくようなことはない。

 この製品は、シェーバー本体は中国製だが、外刃と内刃は日本製で、特に内刃には日立金属工業の「YSSヤスキハガネ」という固くしなやかな鋼材を使っている。これは島根県安来市の工場で生産されている特殊鋼だ。安来市は、古来から砂鉄を使ったたたら製鉄で有名な場所であり、その伝統の一端がこの小さなシェーバーの刃にも通じているとすれば、きちんと剃れるのは当たり前のことだろう。

 なお、この製品は、本体も含めて防水構造なので、石鹸やシェービングフォームを使ったウェットシェービングもできる。出張先を想定して、シャワーを使いながら剃ってみたが、剃った後ですぐに顔を洗えて気持ちが良い。ウェットシェービングの際は、普通のシェービングよりもさらに弱く肌に当てて剃るものなので、肌荒れしやすい人は試してみると良いだろう。

 ただ、ウェットシェービング中に、乾電池のフタの部分というか本体のヘリの部分に触れると、フタを固定している底ケースのレバーが動いてしまうことがあった。ここに水が入るとシェーバーが壊れてしまうので、もう少し動きにくいようにレバーを固定して欲しい。

洗えるので気持ちが良い

 シェーバーを使用後は、外刃、内刃、本体とも水洗いできる。

 シェーバーはどうしてもヒゲや脂が付着して汚れがちだが、毎回洗っておけば、その心配はない。私は、使用後は、外刃を外した状態で水洗いし、そのまま洗面台に置いて干すようにしている。

 外刃は浸け置き洗いができるが、本体は禁止されているので、蛇口でジャージャー洗う習慣にすれば良い。

 なお、刃の汚れがひどいときは、ハンドソープを吹きかけて20秒ほど動作させてから水洗いすると、匂いが良く取れる。

外刃を外して内刃もジャブジャブ洗える
パナソニックのシェーバーオイル
シェーバーオイルは付け過ぎないのがコツ

 ちょっと面倒なのは、この製品の場合、水洗いして乾燥させた後は“必ず”シェーバーオイルを外刃に塗布するようにと取扱説明書に書かれている。シェーバーオイルを使うことを勧める記述は、他機種でもあるが、必ず塗布するように強く書かれているのは初めて見た。

 無印良品では、シェーバーオイルは用意されていないようなので、とりあえず手元にあったパナソニックのシェーバーオイルを塗布している。「ES003P」という型番で、希望小売価格は735円だ。シェーバーオイルは、切れ味の維持などに有効だが、水洗いのたびに毎回塗るのは面倒だ。1周間に1回ぐらいの頻度だとありがたい。

 ちなみに、水洗いをしているときは、外刃を傷つけてしまいやすいので注意して欲しい。この製品の場合、外刃と内刃は、別売で購入できるとされているので、万一のときはありがたい。現時点では、店頭やネットストアでは外刃と内刃は購入できなかったが、せめてネットストアでは常に購入できるようにしてほしい。

シェーバーに見えないデザインが魅力

 この製品の一番の長所は、やはりデザインだ。ちょっと見ただけではシェーバーには見えず、大きめのモバイルバッテリーかと思うぐらいだ。生活感の無いデザインなので、ビジネスバッグや机の引き出しに転がしておいても見苦しくない。

 私が、いつも使っている「パナソニック ツインエクス ES4815P」という乾電池駆動のシェーバーが、持ちやすさという機能優先で曲線の多いデザインなのとは対照的だ。

 どっちが良い悪いではなく、無印良品のデザインは、常に人前で見られることを意識しているのだろう。パナソニックは、家庭や一人だけの洗面台などのパーソナルな場所で使うことが前提で、使用者以外の人目は気にしていないのだ。

 そういう意味では、無印良品のシェーバーは、“ポータブルシェーバー”という名前にふさわしいデザインなのだと思う。パブリックな場所で、いつでも第三者に見られることを前提としているデザインなのだ。

左は、同じ乾電池駆動の「パナソニック ツインエクス ES4815P」
大きさはあまり変わらない
曲線の多いグラマラスなパナソニックと、シンプルな無印良品は対照的なデザインだ

 また、本体も含めて、水洗いできるのが良い。出先の洗面台で、お湯をだしてサッと洗えば、さっぱりとした状態で使うことができる。シェーバーオイルの塗布が必須なのは面倒だが、出張から帰ったら、よく洗ってシェーバーオイルを塗ってやるぐらいで、実用的には勘弁してもらえるだろう。

 シェーバーとしての性能は合格点だ。あえてコンパクトさを狙わず、片手でしっかり握れる大きさを確保しているので、ポータブルシェーバーということを意識せずに、普通に剃れる。とりあえず、数日の出張で不満を覚えることはないだろう。

 電源も手に入れやすい単三形電池なので、旅行用バッグにいつも入れておくと良い。

伊達 浩二