やじうまミニレビュー

ソニー「FM/AMポータブルラジオ ICF-B88」

~ソーラーと手回しで充電できる、LEDライト付き防災用ラジオ

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ソニー「FM/AMポータブルラジオ ICF-B88」

 近年、防災意識の高まりからか、手回し充電機能やLEDライト、携帯電話・スマートフォンの充電機能などを搭載した防災用の多機能ラジオが人気を呼んでいる。今回紹介するソニーの「FM/AMポータブルラジオ ICF-B88」も、そのような防災用ラジオの1つである。

メーカーソニー
製品名FM/AMポータブルラジオ ICF-B88
購入場所Amazon.co.jp
購入価格5,846円
パッケージ

 ICF-B88は7月に発売されたばかりの新モデル。充電池内蔵で、USBケーブルによる充電が可能だ。またソーラーパネルを搭載しており、太陽光充電が可能なことが挙げられる。

 非常時の充電方法としてソーラー充電という選択肢が1つ増えるのは安心感があるが、もっと大きなメリットは、USB経由で充電できる点だ。モバイルバッテリーによる充電も可能だし、パソコンのUSB端子につないで充電することもできる。

 さらに、別売りの単三アルカリ形電池2本も利用可能だ。ラジオやライトの電源としてだけでなく、携帯電話やスマートフォンを充電する際の電源として使用できる。内蔵充電池と単三形電池のどちらを使用するかも選択できる。

 このほか、手回し充電を使って、携帯電話やスマートフォン、内蔵充電池を充電することも可能だ。手回しで充電する場合は、本体横に付いた充電用ハンドルを起こして回すだけ。回転方向はどちらでもOKで、約2~3分間回すごとに1度手回しをやめて、1分間程度の休みを入れてから再度回す。充電中は“手回し充電ランプ”が点灯して、充電中であることを知らせる。ハンドルは適度な重さで、説明書通り、1秒間に2回転くらいのペースで回しても疲れは少ない。

 ちなみに手回し充電が可能なのは内蔵電池だけで、単三形充電池は充電できない。

本体には手回しハンドルが付いている
手回しハンドルを引き出した状態
内蔵バッテリーを充電するには、1秒間に2回転以上のペースで回す
別売りの単三形アルカリ乾電池2本も、電源として利用できる
単三形電池と内蔵電池のどちらを電源として使うかは、スイッチで切り替える
ラジオのスイッチ

 本体のサイズは132×58×79mm(幅×高さ×奥行き)と、片手で持てるほどの大きさだ。形は一昔前のDVビデオカメラに似ており、手回し発電時に握りやすい。また、凹凸が少なく、入出力端子は端子カバーに覆われているため、携帯性もいい。重さは単三形電池込みで約385gと少し重めだ。

 前面パネルは暗めのシルバーで、両サイドがつや消しのブラックとなっている。シルバーの部分は光沢があるが、テカリは控えめで、安っぽい感じはしない。ラジオのロッドアンテナは6段で、伸ばしたときの長さは実測で278mmと短め。しかし、FM・AMともにノイズは少なく、クリアな音質だ。周波数ダイヤルも適度な重さで、しっかりした感触がある。

 本製品にはLEDのスポットライト機能も付いている。光量はそれほど大きくないが、夜道をゆっくり歩く程度であれば十分使える。ただしスポットライトなので配光角は狭く、ランタンとしては使いづらい。

 本体はIPX4相当の防滴仕様となっており、多少の雨や水しぶきのかかる所でも使える。ヘッドホン端子も付いており、ヘッドホンをつなげるとスピーカーから音が出なくなる。音声はモノラルで、ステレオヘッドホンを使った場合は左右で同じ音声が聞こえる。

ロッドアンテナを伸ばした状態
LEDスポットライトを搭載

 付属品はキャリングポーチ、マイクロUSBケーブル、充電プラグアダプター、ハンドストラップ、そして非常用の笛も付いている。充電プラグアダプターはドコモおよびソフトバンク、auの携帯電話に対応しており、付属のマイクロUSBケーブルに取り付けて充電する。本体のUSB端子にLightningケーブルなどを接続すればiPhoneも充電可能だが、iPadは充電できなかった。

キャリングポーチ
充電プラグアダプター
ハンドストラップ
非常用の笛
ライト下にUSB端子を搭載
携帯電話を充電

 手回し充電による内蔵充電池への充電では、説明書によると、1分間の手回しでFMが約50分、AMが約75分、ライトを約15分点灯させることができるという。試しに、内蔵充電池がほぼ残量ゼロの状態から手回し充電を1分間行なってみたところ、FM/AMラジオとライトは見事に復活した。ただし1分程度の手回しでは、スマートフォンへの充電は行なえなかった。USBケーブルを接続した瞬間は、スマートフォンに充電のマークが表示されるが、すぐに通常に戻ってしまう。

iPhone 5へ給電しているところ。十分な容量は充電できなかった

 次に、iPhone 5を接続したままの状態で手回しハンドルを回してみたところ、充電マークが表示された。充電の状況は、3分50秒間回し続けて残量が55%から58%へと上がっただけだった。

 次に、太陽光での充電を試してみた。LEDライトが点灯しない状態から、曇りと晴れの状態が6:4くらいの天気のときに、日当たりの良い場所に60分間置いて充電したが、手回し充電のときと同じく、FM/AMラジオやライトは使えるものの、iPhone 5は充電できなかった。ちなみに説明書には、60分間の太陽光充電により、FMラジオは約40分間、AMラジオは約60分間、ライトは約10分間と記載されている。

 手回し充電や太陽光充電の結論としては、スマートフォンに十分な容量を充電するには、厳しいと言わざるをえない。ただしFM/AMラジオの駆動には手回し充電や太陽光充電でも実用的に使えるし、使用時間は短めだがライトもまあまあ使える。

ソーラーパネル
太陽光で充電可能。スマートフォンを給電するには非力だが、ラジオの電源としてなら実用的だ

 今度は内蔵充電池をUSB ACアダプタで充電してみた。充電中は本体の「DC IN 5V」のランプが点灯し、充電が完了すると消灯する。満充電の状態からiPhone 5を充電してみたところ、約25分間で37%から52%となった時点で充電が終了した。また、本体に単三形アルカリ電池を入れてiPhone 5を充電した場合は、19分間で49%から61%となった。どちらの方法で充電する場合でも、携帯電話やスマートフォンを充電するには少々物足りなく、あくまでも緊急用として考えたほうがいいだろう。

 気になった点としては、iPhone 5を充電する際にUSBケーブルを接続しても、すぐに充電が開始されないことが何度かあった。このような場合は、一度ラジオに切り替えてから、再度ラジオから携帯電話を充電するポジションに切り替えると充電がスタートとなった。

 総合的には、ラジオには定評のあるソニーが開発した製品だけに、作りの良さが随所に感じられた。個人的にはヘッドホン端子が付いている点がポイントが高い。たとえば災害時に避難所などに滞在しなければならないときでも、ヘッドホンがあれば周りに迷惑をかけずにラジオを聴ける。ヘッドホン自体は付属していないので、別に購入して収納袋にICF-B88と一緒に入れておくといいだろう。

 防滴仕様なのでアウトドアで使うのにも適しているし、実売価格も6,000円前後と手頃なので、防災用多機能ラジオの購入を検討している人にはぜひおすすめだ。

片岡 義明