やじうまミニレビュー
富士通「LEDなんでもライト HGN2340F-R」
■乾電池が無くなった日
富士通「LEDなんでもライト HGN2340F-R」 |
ほぼ1年半前、東日本大震災の直後に、いろいろなものが店頭から無くなった。食料品や水、トイレットペーパーやティッシュペーパー、そして懐中電灯やラジオも、そうだった。
乾電池も同様で、マンガン/アルカリの種別、サイズの大小を問わず、きれいに無くなった。単三乾電池が普通に買えるようになるまで、数カ月かかった。やはり、次の地震に備えて、懐中電灯やラジオといっしょに備蓄したのだと思う。
こういう場合に備えて、複数のサイズの電池が使える懐中電灯は、以前から存在した。
富士フイルムが売っていたエナジャイザーブランドの「パワーセレクト エル LP329」 とか、パナソニックの「電池がどれでもライト BF-104F」 などだ。いずれも、単一/二/三のどの乾電池でも使用できる。
ただ、これらは、光源がLEDになる以前の製品で、クリプトン球(いわゆる豆電球の良いやつ)を使っているので、電池が持たない。エナジャイザーの場合で、単一アルカリで12時間、単三アルカリだと1.5時間だった。
そこで、光源がLEDで、複数サイズの電池が使える懐中電灯を探していたら、富士通「LEDなんでもライト HGN2340F-R」が見つかった。今年の6月ぐらいに発売になった製品のようだ。
メーカー | 富士通(FDK) |
製品名 | LEDなんでもライト HGN2340F-R |
希望小売価格 | オープンプライス |
購入場所 | Amazon.co.jp |
購入価格 | 1,527円 |
■大きめで赤い本体
LEDなんでもライトは、ブリスター型のパッケージに入っている。同梱物はなく、乾電池は付属しない。台紙にも製品説明があるが、紙一枚の取扱説明書も付属する。
パッケージはブリスター型 | 台紙の裏に製品説明がある。別にペラ1枚の取扱説明書も付属する | 台紙に書かれた禁止事項と仕様 |
本体はかなり大きめで、長さは20cm以上ある | 取扱説明書にある乾電池の入れ方 | ハンドストラップは、図には書かれているが付属しない |
本体は赤い樹脂製で、それに滑り止めの黒いゴムが組み合わさせれている。本体の大きさは単二形乾電池を使う懐中電灯としては大きめで、単一形乾電池を使う製品だと思うほどだ。本体サイズは59×208mm(最大径×長さ)とされている。本体にくびれがあるので、持ちにくくはないが、手の小さい女性だと太く感じるかもしれない。
単二/三/四の乾電池が、全部使える | 手が触れる部分には、黒い滑り止めが施されている |
部品はこれだけ。尾部のキャップを開けて、電池ホルダーを取り出す | キャップの構造。ネジが深く水が入りにくい。左の本体側には黒いOリングが見える |
尾部のネジ式キャップを外すと、乾電池室が見える。電池は直接電池室にではなく、電池ホルダーに入れる方式だ。
この電池ホルダーが、単二/三/四乾電池の大きさの違いを吸収するようになっている。バネを内蔵したアジャスターが、うまく電池の電極に押し付けられることで、電気の流れを確保している。乾電池は2本必要で、この2本は同じ大きさでなければならない。例えば、単二と単三を1本ずつ組み合わせるようなことはできない。実際に試してみたが使えなかった。
2本の乾電池を電池ホルダーにセットする。電池を入れるときは、バネを押し付けるように入れると簡単にセットできる。単二乾電池を取り出すときに、ちょっときつい感じがするぐらいで、この電池ホルダーは良くできている。
乾電池ホルダー。左側に電極が見える | 電極は3種類の電池それぞれに用意されている | 電極の部分はバネになっていて、電池の大きさの違いを吸収する |
電池ケースの裏側。マイナス側の配線は、赤いケーブルで左の方へ走っている | 電池ケースの電極。中央がプラス、周囲がケーブルを伝ってきたマイナス | 単二乾電池を入れた状態 |
単三乾電池を入れた状態 | 単四乾電池を入れた状態 | 単二乾電池を入れるときは、バネを押し付けるようにして入れると入れやすい。取り出すときほうが難しい |
電池ホルダーを本体に入れてから、尾部のキャップを締める。なお、キャップの部分にはOリングが仕込まれており、水が入らないようになっている。懐中電灯全体は防滴仕様で、雨の日にも持ち歩けるぐらいには水に強い。
面白いのは、乾電池による重量とバランスの変化だ。電池を除いた本体のみの重量は約170gだが、単二/三/四を入れた状態では、301g/219g/194gと変化する。また、単三と単四の場合は、本体の中心からずれた位置に乾電池があるので、重心もずれてしまい横に置いた時の転がり方が一定ではない。電池ホルダーの位置が固定されていないので、どこが下になって安定するのか置いてみるまでわからないのだ。
電源スイッチは1つだけ。丸い黒いボタン型のスイッチを押すと点灯し、もう一度押すと消灯する。強弱の調整や点滅などの機能はない。スイッチの感触は固く、ちょっと重い。
LEDは3個使用されている | 電源スイッチは、1回押すとオン、もう1回押すとオフで、分かりやすい |
50cm以内のところを照らすとLEDが3つあることがわかる | 暗闇で3mほど離れた位置を照らした状態。中央部が明るく、どっちを照らしているか分かりやすい |
LEDは白色LEDが3個内蔵されている。3つの組み合わせで前方1mの照度は約330lx、全光束は約30lmとされている。
実際の明るさは、一般的なLED懐中電灯という印象だ。10mぐらい先までは十分に光が届く。ライトの先端から50cm以内では、LEDが3灯点灯しているのがはっきりわかるが、1m以上離れるとわからなくなる。
レンズは、周囲をくっきりカットするタイプではなく、中央に明るい円があり、その周囲が少し暗く、さらに外側に光の輪が見える。中央と周囲の明るさの差が少なく、ごく普通の懐中電灯として使える癖の少ない製品だ。明るい場所でも、中央の明るい円は見えるので、どこを照らしているのかがわかりやすい。
電池寿命は、単二/三/四アルカリ乾電池2本で、それぞれ約115/55/22時間とされている。今回は単四アルカリで試したが、丸1日点灯していた。ほぼカタログ値通りだ。単一アルカリでも12時間しか持たなかった豆電球時代に比べると、LED化による電池寿命の伸びは素晴らしいものがある。この製品が単一対応をせず、単二から単四までにしたのも、単二でも十分な電池寿命があると判断したからと思われる。
なお、電池についてはアルカリが推奨されており、充電式電池は禁止されている。防滴構造で電池室が密閉式なので、ガスを発生することがあるニッケル水素充電池は不向きなのだろう。
しばらく使っていて、便利だったのは、ストラップホールがあること。くびれているとはいえ、ちょっと太めの懐中電灯なので、ストラップホールに長めのストラップを通し、手首に巻くようにしておくと持ちやすかった。手頃な長さのストラップが付属していると、なお良かったと思う。
ストラップホールに、手持ちのストラップを通した状態。少し長めで、手首に回せるようなストラップが似合う | 単三乾電池を使っていると、こういうふうにゴロッとしてしまうときが多い。ストラップホールの幅をもう少し広げると安定すると思う | 本体を縦に置いても、側面から光が漏れるように設計されているので、消し忘れしにくい |
電池については、重さが手頃なことから単三乾電池を良く使っていたのだが、本体を机の上に置くと、ゴロッところがって慌てることがあった。電池の位置が、片寄っていて重心が中心にないからだ。対策としては、ストラップホールをもう少し大きくして転がりにくくするか、本体内の電池ホルダーの角度を、電源スイッチが常に上になる位置で固定すると使いやすくなると思う。
結局、置き方については、LEDの部分を下にして立てて置くのが良いようだ。本体が太いので、思った以上に安定する。この状態でも、LEDの明かりが周囲にも少し漏れるように設計されているため、LEDが点きっぱなしだとすぐに気がつく。
■一家に一台。オフィスにも向いた実用品
LEDなんでもライトは、複数の大きさの乾電池が使えることが最大の特徴だ。特に、本体と別にアダプターなどを必要とせず、いつでも手元にある乾電池を活用できるところが良い。
それ以外の部分については、実用的な製品で、とくに飛び抜けた特徴があるわけではない。ただ、逆に操作方法に迷うこともないし、豆電球時代の懐中電灯しか知らない年齢の人でも、迷いなく使える。肝心の明るさや十分だし、光の方向性もおとなしく実用的なものだ。
常にLEDライトを持ち歩いていたいというような用途には向かないが、「地震や台風に備えて念のために、ウチの懐中電灯を買い換えて置こうか」と考えている人に推薦できる製品だ。防災用品として、オフィスに常備する懐中電灯としても向いているだろう。
2012年 9月 13日 00:00
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