やじうまミニレビュー
エレキット「ソーラープラネット」
エレキット「ソーラープラネット JS-6791」 |
盆も明けて、夏も残りわずか。小学生の頃ならば、夏休みの宿題の山に焦り始める時期である。
夏休みの宿題といえば、いちばんのメインは“自由研究”。教科書通りの勉強と違って、テーマも形式も自分で自由に決めていい。ついつい暑さも忘れ、課題に没頭した経験がある方も多いのではなかろうか。
今回ご紹介するのは、そんな自由研究を思い出すような懐かしい工作キット、エレキットの「ソーラープラネット」だ。対象年齢は10歳以上だが、子供のものと侮ることなかれ。実はコレ、大人でも色々考えさせられる“ソーラーおもちゃ”なのだ。
どういうところが考えさせられるのかは後述するとして、まずは製品を確認しよう。
メーカー | エレキット |
製品名 | ソーラープラネット JS-6791 |
希望小売価格 | 1,890円 |
購入場所 | Amazon.co.jp |
購入価格 | 1,663円 |
ソーラープラネットは、太陽電池パネルを搭載した太陽系の模型で、太陽電池で発電すると、惑星が太陽の周りを回り出すしくみだ。
組み立てる前のソーラープラネットは、パーツごとに袋に小分けされている。自分で用意するのは、ニッパーと絵の具のパレットだけだ。本体外箱には、対象年齢は10歳以上、工作時間の目安は1.5時間と記載されている。
「太陽系を身近に感じよう! 」と謳われた外箱 | 外箱の背面には、対象年齢は10歳以上、工作時間の目安は1.5時間とある |
パーツごとに袋に小分けされている | ギアやシャフトイなどの細かいパーツが小分けされているので、工作初心者にもわかりやすい |
太陽電池自体は小さなプレート状で、赤と黒の2本のコードによってモーターに繋がっている。サイズは約31×25×3mm(幅×奥行き×高さ)だった。
太陽電池自体は小さなプレート状 | 背面。赤と黒の2本のコードによってモーターに繋がっている |
組み立ては、普段模型作りに慣れていない自分でも、準備と後始末まで含めて2~3時間あれば充分だった。作るにはまず、太陽電池をセットする。模型の中心となる部分に太陽電池を取り付け、半透明のドームをかぶせて、太陽電池をカバーする。
模型の基礎となる太陽や惑星を切り抜いていく | 太陽電池を取り付けた |
裏はこんなふうになっている | カバーをかぶせた |
太陽電池をセットしたら、次は惑星を回転させる機構を作る。順番にギアを重ねたら、太陽電池のモーターと繋げる。
さらに、可動式の段を4段取り付ける。4つの段を全て重ねたら、太陽の完成だ。この段に、のちほど惑星を取り付ける。
モーターに繋ぐ | 順番にギアを重ねたら、太陽電池と繋げる | 4つの段を全て重ねたら、太陽が完成する |
太陽が出来上がったら、地球に色を塗る。付属の絵の具は、黄色/赤/ピンク/青/白/黒の6色で、混ぜて色を作ってもいい。地球の表面は、緑と青で描いた。地球の直径は約15mmと小さく、なかなか細かい作業だ。
地球に色を付けたら、地球の周りを半透明のカバーで覆う。これは地球を覆う大気を再現しているのだろう。
地球に色を塗っているところ。細かい作業で手が汚れた | 付属の絵の具は、黄色/赤/ピンク/青/白/黒の6色。これを混ぜながら色を出す | 地球の周りを半透明のカバーで覆う。これは大気圏を表しているようだ。なかなか手が込んでいると思った |
全ての惑星を太陽に取り付けたら、着色して完成だ。パッケージに書かれているイラストを参考にして色をつけてみた。
惑星を太陽に差し込んで、取り付けていく | 最後に惑星に色を塗る | 完成したソーラープラネット |
横から見た図 | 真上から見た図 |
完成したら、さっそく外に出て動作を確認したい。完成した日の時間は午後4時。その日は晴れていたので、まだまだじゅうぶん日差しはあると思って外に出たのだが、ソーラープラネットを強い西陽にかざしても、動きが鈍かった。
だが、別の晴れた日の正午ごろ、改めてソーラープラネットを太陽にかざしたところ、勢いよく動き出した。「ウィーン」とモーター音を立て、8つの惑星が太陽の周りを回っている。惑星はそれぞれのスピードで太陽の周りを回り、まるで追いかけっこでもしているようだ。
要するに、ソーラープラネットは、日差しの強さや角度によって、動く環境がかなり限定されるようなのだ。
ただ晴れているというだけではダメで、雲のないカンカン照りの昼間、太陽が高い位置にある時でないと、じゅうぶんに回ってくれない。流れる雲の谷間にタイミングを見計らっても、雲がかげればすぐに動かなくなってしまう。この太陽電池は、なかなか繊細で、一筋縄ではいかない相手だった。
正午の強い日差しの下では、勢いよく動き出した。太陽電池に手をかざしたところ、モーターが止まって動きが停止した | 晴れている日でも、夕方や雲がかげるとすぐに動きが鈍い |
なお、ソーラープラネットは室内の蛍光灯や窓際、影になっている屋外でも動かなかった。
室内の蛍光灯でも動かない | 窓際でも動かない | 影になっている屋外でも動かない |
今、新しいエネルギーとして、太陽光をはじめ、様々な自然エネルギーに注目が集まっている。しかし、自分の手のひらに納まるような、こんなちっぽけな模型の太陽電池ですら、自然のエネルギーで動かすのにてこずっている。これが何万倍もの規模となるソーラーシステムになると、その技術的な難しさは比べ物にもならないだろうと思わされる。
それでも、自分で惑星に色付けしていると、太陽系の星の中で、濃い緑色と青色で着色する惑星は、地球だけだと気づく。マクロの視点で太陽系を眺めると、水があって緑があって空気があるというのは、とても貴重な環境なのだと改めて気づかされる。
この貴重な環境を大切にするためにも、太陽電池などの再生可能エネルギーに向かって考えていかねばならないのだと思う。今回のこの小さな模型作りは、新たなエネルギー問題について考えるきっかけとなった。
組み立てには特別な知識や技術もいらない。2、3時間ほど時間があれば、誰でも気軽に作れるだろう。お子さんのいる方は、一緒に作っても楽しめそうだ。
エレキットのソーラープラネットは、子供時代の懐かしい自由研究の気分に浸りたい方だけでなく、いつもとは違う視点で地球環境について考えたい方にも、大人の自由研究の入り口として、オススメしたい。
2011年 8月 25日 00:00
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