やじうまミニレビュー

ドウシシャ「フードポット」

~スープも作れる、携帯用の保温保冷マグボトル
by すずまり


やじうまミニレビューは、生活雑貨やちょっとした便利なグッズなど幅広いジャンルの製品を紹介するコーナーです


ドウシシャ「フードポット」

 どの季節も、冷たいものはいつまでも冷たく、熱いものは熱いままで味わいたいと思うもの。特に暑い季節は熱中症対策もあって、冷たい飲み物を用意しておきたい。また、今は節電対策としても、電気を必要とせず飲食物を冷えた状態に維持できるものは欲しい。

 筆者の場合、1年を通してワンタッチオープン式の水筒を使っている。だが、水やお茶といったドリンク類を入れることが専門で、用途も限られる。フタの構造がやや複雑で、ケアにも神経を使う。そこで試してみたのが、幅広い用途に使えるドウシシャの携帯用マグボトル「フードポット」だ。

 


メーカードウシシャ
製品名フードポット
希望小売価格オープン
購入場所Amazon.co.jp
購入価格1,180円

 

 フードポットは、簡単にいえば保冷・保温効果の高いステンレス製の容器である。本体サイズは、約90×高さ125mm(直径×高さ)。飲み口の直径は約70mmで、重さは約304g。本体容量は300mlとなっている。

 持ち手などはついていないが、女性でも片手でグリップできるサイズで、水筒に比べて飲み口が広いのが特徴だ。カラーはグリーンのほか、ピンク、ブルー、ホワイトがある。

本体外面は、シンプルなデザイン太めではあるが、滑りにくく、グリップしやすい
底の様子取扱説明書(左)とフードポットレシピ(右)が付属

 本体は、本体容器と「せんユニット」の2つに分かれる。せんユニットは、フタと飲み口に分離できる。いずれもゴム製のパッキンが付いており、密閉性を高めている。

 使用時の注意点としては、ドライアイスや炭酸飲料は入れないように、と記載されている。

フタをはずした状態。白い部分は飲み口飲み口を上から見た様子容器の内側の一番下の線が上限
「せんユニット」をとりはずした様子。飲み物や食材を入れるときははずすせんユニットはフタと飲み口で構成されるフタと飲み口にはとりはずし可能なパッキンがついている

 以下で、実例とともにその性能を見てみよう。

90分経っても、飲み頃をキープできる! 

 まずその保冷・保温力を確認しよう。取扱説明書では、室温20℃の環境において、78℃以上を保てる時間は1時間、47℃以上だと6時間となっている。

 そこで、室温が30~33℃の状態で、氷の入った冷水が90分後には何度になるのか、調べてみた。すると、4℃だった氷入りの冷水は、90分後には1℃に下がっていた。1℃といえば、もはや「キンキンに冷えている」といっても過言ではない。

 いっぽう、沸かしたての熱湯を用意して、90分後の温度を調べてみたところ、熱湯は、78℃に下がっていた。78度という温度は、電子レンジの牛乳の温め機能などでえられる温度に近い。

 いずれも、90分後でも飲み頃が維持されていたことがわかった。お湯については、改めて7時間後の温度を測ってみたが、そのときも68℃を維持していた(開栓せずにいた状態)。入れてから7時間経って初めて口をつけるということはないだろうが、これだけの保冷・保温効果があるとわかると安心である。朝用意して、お昼に口にすることを考えれば、十分な性能だと考えられる。

氷水を用意。水温は4℃90分後、まだまだ氷は健在水温はなんと1℃! 
沸かしたてのお湯をいれた。温度は94℃90分後は78℃に下がったものの、まだまだ舌をヤケドしそうな熱さ

氷は、90分経過しても氷のまま

 それでは氷だけ入れた場合は、どうなっているか確かめてみた。1時間半後に確認したところ、氷はほとんど液化しておらず、氷のままの状態を保っていた。

 これなら、氷をそのまま携帯して、好きなドリンクと一緒に飲める。猛暑日に自動販売機でジュースを買ったら、生ぬるかった……という経験をしたことがある身としては、ありがたい。仮に、ある程度溶けていても冷水なので、冷たいドリンクが飲めることに変わりはない。

氷だけ入れてみる1時間半後の状態。ほぼそのままである傾けても水はでてこなかった

 本体容量は300mlで、水筒としてはさほど多くないが、使用してみると、その保冷・保温効果の高さに驚いた。

 正直にいえば、第一印象は、ただの小ぶりなステンレス容器だったのだが、使い方次第で、かなりマルチに活躍してくれるアイテムだと分かったのだ。

スイカは保冷できるが、アイスクリームが固まらない? 

 実はこのフードポット、その性能と口の広さを生かすと、ドリンクだけでなく、冷やして食べたいフルーツ類やおかずが携帯できるのだという。

 そこで、あらかじめ氷水を入れて冷やしたフードポットに、冷蔵のカットスイカを入れてみたところ、60分後、外気33℃に対してスイカそのものは14℃と、ひんやりした状態で食べられた。

 いっぽう、フードポットで自家製アイスクリームを作ろうと挑戦したが、アイスがなかなか固まらず、失敗に終わった。容器の断熱機能が邪魔をしたのだろうか。

保冷性を高めるために、一旦氷水でフードポットを冷やす60分後、外気は33℃だが……スイカの温度は14℃であった
本来なら冷凍するとこのように固まるはずなのだがクリーム状のまま、うまく固まらず失敗

スロークッカー風に、じっくりスープを作る

 さらに、フードポットでは、一人前のスープの保温調理まで可能だ。レシピ集を参考にしながら、その保温力を生かしたスープ作りにチャレンジしてみた。

 小口にカットした豚肉、にんじん(5mm厚のイチョウ切り)、じゃがいも(1cm角)、玉ねぎを、いったんフライパンで炒める。炒めた材料をフードポットに入れたら、シチューの素を1カケラをいれ、お湯を注ぐ。あとは蓋をして60分待つのみ。

刻んだ肉と野菜を用意し、塩胡椒で炒めるフードポットの中に材料を入れたら、シチューの素とお湯を入れて蓋をする

 蓋をあけた瞬間、煮込まれたような状態になっていた。よく混ぜれば、できたて熱々状態のスープのできあがりだ。じゃがいもとにんじんは、ほくほくというにはやや歯ごたえがあったが、十分食べられるだけの固さになっていた。

 自宅にいると60分という待ち時間は長く感じられるかもしれないが、通勤などの移動時間や勤務時間を考えるとそれほどでもないだろう。本当にできたて感覚で食べられるので、特に寒い季節は喜びもひとしおに違いない。

 なお、材料は熱が通りやすいように、できるだけ小口にカットするといい。最初から高温状態を保てれば、材料を炒めることなくスープにできるようだ。レンジで下ごしらえし、熱いまま入れてもいいだろう。

60分放置したらこの通りたっぷり一人前の熱々スープが完成

10分で温泉たまごができた

 レシピ集の表紙にもなっているのが温泉たまご。レシピ集通りに、いったん容器を温めてから、常温に戻した生卵を入れ、上から沸かしたての熱湯を注いで蓋をし、25分待ってみた。すると、温泉たまごを通り越し……立派なゆで卵になってしまった。

熱湯の中に卵を入れ、蓋をして25分待つ25分後にできたのは、ゆで卵だった黄味の中までしっかり熱が通ってしまっているのが分かる

 そこで、時間を半分以下の10分に短縮し、なおかつ冷蔵庫から取り出した卵をいきなり使用してみたところ、かなりそれらしいものができた。もう1~2分延長してもいいかもしれない。

 温泉たまごを作るつもりでゆで卵になってしまうのは、結果的には失敗かもしれない。しかし、お湯を注ぐだけでゆで卵ができるというのは、ガス代の節約に繋がるといえる。これはぜひ活用したいところだ。なお、入れられる卵は1個までとなっている。

時間を10分にしたところ、この通り冷やしたうどんにトッピングしたところ、いい具合に

使い方次第で1年中活用できる

こまめにフタを閉めれば、冷たいものが長持ちするカップに水筒と違って高さがない分、バッグに入れやすい

 フードポットは、水筒として使ってもいいし、マグカップにもなる。水分の多いフルーツを携帯できるし、温泉たまご作りや、保温調理器としても利用できる。アイデア次第で、さらに使い道が広がりそうだ。

 ちょっと飲める水筒が欲しいけれど、どうせなら幅広く使える製品が良い、とお考えの方や、節電と節約の両方を意識している方には、うってつけではないだろうか。





2011年 8月 24日   00:00