藤山哲人のモバイルバッテリー診断
ルックイースト「Power-Pond Pro LE-UBT40K」
~タブレットやノートパソコン向けに最適な40,000mAh超のバッテリー
by 藤山 哲人(2014/4/2 07:00)
今回紹介するのは、40,000mAhオーバーの超大容量バッテリー、ルックイーストの「Power-Pond Pro」だ。スマートフォンやタブレットの充電はもちろん、ノートパソコンの外部バッテリーとしてもオススメしたい。
その特徴は、1%刻みのデジタル表示のバッテリー残量に加えて現在の電圧も表示される点。単に残量が分かるだけでなく、減り具合が刻々と表示されるので、ノートパソコンの外部バッテリーとして使う場合に、あと何時間使えるかが感覚的に分かるので、便利だ。
メーカー名 | ルックイースト |
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品名・型番 | Power-Pond Pro LE-UBT40K |
バッテリー容量 | 40,800mAh |
繰り返し利用回数 | 500回 |
サイズ (幅×奥行き×高さ) | 230×95×21mm |
重量 | 735g |
カラー | ブラック/ホワイト |
実売価格 | 25,000円程度 |
出力はUSBコネクタを2口装備し合計で最大2Aまで。タブレットとスマートフォンの2台同時充電はできない。ただしタブレットの充電に1.5A程度しか使用しない場合は、もう1つの口でスマートフォンを低速充電できる。
加えてパソコン用の専用コネクタが15~21Vで最大3.5Aまでとなっている。パソコン用の出力コネクタは、専用のものになっており、そこに専用のケーブルを接続する。ケーブルは長さが110cmほどあり、太い電線が使われているので、電車や飛行機などではマガジンラックにバッテリーを入れ、机やひざの上でパソコンを使える。このケーブルは、利用したいパソコンに適合した変換コネクタが差し込めるようになっているので、ノートパソコンのACアダプターのようにして外部電源として利用できる。
パソコンの出力は、USBと別系統になっているため、USBで最大の2Aを使っていても、それとは別にパソコンの駆動が可能だ。
添付のUSBケーブルは特徴的で、30cmの1本のケーブルだが、コネクタを変形させるとMini USB、Micro USB、AppleのDockコネクタに切り替え可能だ。1本のケーブルで3タイプに切り替えられるというポイントは高いが、いかんせんコネクタがどんどん長くなるので、Micro USBやDockコネクタはスマートフォンのコネクタに負担がかかりやすい。またケーブルが短かいのが難点。もう少し長い1mほどのケーブルを添付して欲しい。
バッテリー残量は、POWER-PONDシリーズではおなじみの「POWER-POND」の10文字そのものが10段階のバッテリー残量グラフになっている。電源ON時やスマートフォン充電中に電源ボタンを押すと、残量の分だけPOWER-PONDの文字が緑色に光るというものだ。しかし本バッテリーは容量が40,000mAhもあるため、残量を10段階表示にしても1灯あたり、小容量のモバイルバッテリー程度の4,000mAhもある。
そこでデジタル液晶表示の残量計も合わせて搭載されている。ブルーのバックライトを持つ表示は0~100%で1%刻みとなり、残量に合わせてUSBコネクタとパソコン用コネクタに出力されている電圧が表示される。冒頭でも紹介したとおり、1%刻みのデジタル表示はノートパソコンの外部バッテリーとして使う場合、数値の減り具合からあと何時間ぐらい使えるかが分かるので便利だ。
携帯性は、お世辞にもいいとは言えない。写真で見ると小さく見えるかもしれないが、サイズはお弁当箱程度あり、重さも735gとヘビー級だ。それもそのはず、内蔵している電池は日本製の高性能なものを利用しているが、スマートフォンを1回充電できるモバイルバッテリーに使われるリチウムイオン電池が12本も入っている。最低でも肩掛けカバンやリュックに入れて、電車などでの長距離移動で使うというスタイルがメインになる。
なおバッテリー容量をWhに換算すると約150Whになるので、航空機への機内持ち込み、預かり手荷物として2個まで可能となる。ただ、飛行場のX線セキュリティーチェックでは、かなりの確率で荷物を調べられることは確実だ。
出力は極めて安定しているが、LEDが光っているぶんロスが多め
さていつもなら製品紹介のあとに、スマートフォンを実際に何回充電できるかをテストするところだが、あまりにも大容量なので実験に時間がかかりすぎる点と、何回も充電すると誤差が大きくなってしまうという問題がある。つまり計算で出す充電回数より、実際に実験した充電回数の方が誤差が大きくなるという逆転が起きてしまうのだ。
そこで大容量バッテリーは計算による理論値のみをお伝えしていきたい。とはいえこれまで、いくつものモバイルバッテリーを検証してきたデータがあるので、実際に充電するのとほぼ変わらない精度の充電回数となっている。
では実機を使っての実験は省略して、独自の測定器を使いバッテリー実容量を調べてみよう。
なお実容量とは、パッケージの「○○mAh」というバッテリー容量のうち、実際にスマートフォンを充電できる容量を示す。実容量率は、表示容量に対する割合で、値が大きいほど高性能バッテリーといえる。
いつもは横軸が数時間のグラフだが、容量が多いので24時間以上ある点に注意して欲しい。まず電圧は5.2Vと高い値で安定しているが、USB規格では4.75~5.25Vの範囲としているので、スマートフォンなどを充電しても機器に悪影響を及ぼすことはない。
一方電流は、900~950mAと高い値で安定している。安定性は文句なしと言っていいだろう。
これらの実験結果を元に40,800mAhという表示容量に対して、実際にスマートフォンの充電に使える実容量を計算したところ62%で25,283mAhとなった。実容量率は、標準的なモバイルバッテリーよりわずかに低い。おそらく電源ON時に光り続けるLEDと液晶ディスプレイが原因だろう。カッコよさの代償と考えるのがいいかも知れない。
なお計算を元に出した実用量から、各種スマートフォンやタブレットをおよそ何回充電できるかは、次のとおり。Android系の場合()内が内蔵バッテリー容量を示している。
項目 | 詳細 |
バッテリー表示容量 | 40,800mAh |
連続利用時の実用量 | 25,283mAh(62%) |
連続実用量1,000mAhあたりの価格 | 1,028円 |
充電回数(理論値) | Android(1,300mAh):19.4回 |
Android(1,500mAh):16.9回 | |
Android(1,800mAh):14.0回 | |
Android(2,000mAh):12.6回 | |
Android(2,200mAh):11.5回 | |
Android(2,500mAh):10.1回 | |
Android(3,000mAh):8.4回 | |
iPhone4s/5/5s/5c(1,500mAh):16.9回 | |
iPad(11,560mAh):2.2回 | |
iPad mini(6,471mAh):3.9回 | |
小容量タブレット(6,000mAh):4.2回 | |
大容量タブレット(12,000mAh):2.1回 |
8時間でフルチャージ、2時間あれば10,000mAhを充電できる
充電には付属の専用ACアダプターを使う。超急速充電が可能で、40,800mAhの本機をカタログスペックどおりの8時間ジャストで充電できた。時間がないときは、2時間も充電すれば1万mAhも充電できるので、忙しいヒトには超急速充電が役に立つだろう。
繰り返し利用回数は、一般的なモバイルバッテリーと同じ500回となっている。
項目 | 詳細 |
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本体充電用コネクタ | 専用コネクタ |
添付充電器(仕様) | 専用急速充電器 |
充電時間(カタログ値) | 8時間(専用急速充電器) |
充電時間(実測) | 8時間00分 |
繰り返し利用回数 | 500回 |
タブレットやノートパソコン+テザリングという用途にベスト
40,000mAhオーバーの超大容量モバイルバッテリーの本機は、一日中タブレットを使って外で仕事をするという営業職向けだろう。またノートパソコンの外部バッテリーとしての使い方がメインだが、スマートフォンやタブレットの充電もする場合があるという人向けだ。職種で言うと、記者や頻繁に客先に出向くプログラマやエンジニアといったところ。
また超急速充電できるという点に、大きな利用価値を見出せる人もいるだろう。ただ注意したいのは、大容量の割に、USBの出力が2つで2Aまでという点だ。
ちなみに、電源が入っていることを示すパワーランプ(パソコン用コネクタと電源ボタンが光る)は通電中ブルーに光る。さらに液晶ディスプレイも点灯するので、光モノ好きな人にとってはたまらないモバイルバッテリーと言えるだろう。
スマートフォンとタブレットを同時に急速充電ができないという点に注意すれば、光モノ大好きな人にオススメだ。
メーカー・品名 | ルックイースト「Power-Pond Pro LE-UBT40K」 |
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ロスの少なさ | ★★★☆☆(3) |
持ち歩きやすさ | ★★☆☆☆(2) |
単位容量の安さ | ★★★★☆(4) |
充電の早さ | ★★☆☆☆(2) |
使い勝手のよさ | ★★★☆☆(3) |