コヤマタカヒロの男の料理道具!
ノンフライだけじゃない、グリル調理で肉も野菜も簡単激ウマ!
by コヤマタカヒロ(2014/12/24 07:00)
2013年に登場してから、キッチン家電にひとつのトレンドを作ったのがフィリップスのノンフライヤーだ。最大200℃の熱風の循環により食材を焼き上げることで、油を使うことなく、唐揚げやトンカツなどの揚げ物が調理できる。
今年、使い勝手を改善し、機能も強化した新モデル「ノンフライヤープラス」が登場した。早速、その使い勝手と機能を試しながら、いろんな料理を作ってみよう。
メーカー名 | フィリップス |
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製品名 | ノンフライヤープラス HD9530/22 |
購入場所 | Amazon.co.jp |
購入価格 | 23,467円 |
まずはボディ周りの仕様をチェック。ボディサイズは287×384×315mm(幅×奥行き×高さ)で従来モデルの「ノンフライヤー」と共通だ。卵形のボディの下部に引き出し式のバスケットを搭載する点なども継承している。
しかし、操作パネルやメンテナンス性は大きく進化している。
ノンフライヤープラスでは、温度やタイマー設定などの操作部が、ダイヤル式からデジタル式に進化した。温度設定は5℃単位で指定でき、従来モデルのようにだいたいこれぐらい、といった曖昧な設定から細かく設定できるようになった。タイマーも同じく、1分単位で設定できる。
機能面での進化しとしては、設定できる温度帯が60℃~200℃へと広がったことが大きい。また、タイマー設定も30分だったのが60分へと延長。これらの機能を利用して、低温・長時間で加熱するレシピなどが新たに登場している。
従来モデルの「ノンフライヤー」を使っていて筆者が最も不満に思っていたのが、メンテナンス性、使った後の洗いにくさだった。しかし、この「ノンフライヤープラス」ではその最大の欠点も解消していた。
まず、バスケットのクッキングネットが脱着できるようになっており、洗いやすくなった。さらにクッキングネット自体に、焦げ付きにくいノンスティック加工が施されており、従来モデルのようにたわしなどでガシガシと洗う必要がなくなった。
低温で焼く鳥ハムやドライフルーツが作れるように!
まずは新たにできるようになった、低温調理のレシピに挑戦してみよう。
胸肉を使った鳥ハムは、湯せんや炊飯器調理などで作ることが多いレシピ。ノンフライヤープラスで作ると、中はジューシーで、表面はパリッとした、チャーシューに近い食感が楽しめる。付属のレシピブックでは、75℃設定で30分加熱し、その後15分加熱することで完成するとなっている。
実際に作ってみたところ、胸肉の大きさと、巻く太さによって加熱時間は大きく左右されるようだ。直径で4cmほどの細めに巻いた鳥ハムはそれぐらいで中まで火が通ったが、5cmほどの太さになった部分は火が十分に通らなかった。このため、できるだけ細めに巻くことが重要だといえる。火の通りが悪かった鳥ハムは、温度を60℃まで下げて、10~15分ほど追加で熱することで火を通せた。
もう一つの低温レシピが、これもレシピブックに載っていたドライフルーツだ。缶詰のパイナップルを100℃で60分加熱した。
できあがったドライパイナップルは表面がかりっとしながら、中はわずかに果汁が残ったしっとりとした食感となった。食べてみると、甘みもマイルドになり、お酒のつまみとしても楽しい印象。市販のドライフルーツほどにはかたくないのも好感が持てた。
そして、驚いたのが、作ったときはそれほど特別にリアクションすることなく、おいしそうに食べていた娘たち(4歳と2歳)が数日後に「ドライパイナップル食べたーい」と騒いだことだ。普通のパイナップルを見せても「ドライがいい!」というなど、かなり気に入ったようだ。
チャーシュー、ステーキ、スペアリブ!!
次は、「ノンフライヤープラス」を使って肉を焼いていこう。先に紹介したとおり、低温調理機能がプラスされた同モデルでは、かたまり肉が焼きやすくなった。
たとえば、ローストポークやローストビーフ、そしてチャーシューだ。190~200℃の高温でしっかりと表面を焼いたら、あとは60~75℃程度の低温で60分しっかり時間をかけて加熱する。これにより、中までしっかりと火を通せるのだ。
操作パネルの動作ボタンを押すと一時停止できるので、気になったら熱風を止めた上で、バスケットを開け、鉄串などを指してみるといいだろう。そのときに肉汁に血がにじまなければ中まで火が通っている。
ノンフライヤープラスが届いてから、様々なメニューを作ってみたが、その中でも驚きだったのがステーキだ。作り方は、クレイジーソルトなどしっかりと味のある塩を肉に振ってバスケットに入れるだけ。肉のサイズにもよるが、200℃で6~8分ほど焼くだけで裏返したりする必要なく焼ける。
40代の筆者は、サシがしっかり入ったいわゆる高い牛肉が脂っこくて苦手だ。だが、ノンフライヤープラスで焼くと、しっかりと脂を落としてくれるので食べやすく感じた。また、表面が香ばしく焼けるため、炭火などであぶったかのような食感が楽しめた。
さらに、いろいろと試した中で相性がよかったのがサイコロステーキだ。
通常のステーキはクッキングネットの上の多くのスペースを占有してしまうため、熱風の循環が悪くなるようだが、サイコロステーキは熱風がしっかりと回る。さらに、表面積が大きいため、よりしっかりと脂が落ち、香ばしさが楽しめるのだ。
注意したいのは、かたまり肉を長時間加熱する場合は、つけダレなどが焦げ付きやすいということ。塩麹を付けて数時間寝かせたスペアリブも、表面を焼いたあと100℃で20分ほど火を入れたが、一部が焦げ付いてしまった。
香ばしさは増すが、焦げすぎないように、タレをキッチンペーパーなどで軽くぬぐっておくといいだろう。
ノンフライヤープラスがあったら野菜料理もはかどる
ノンフライ調理器というと、どうしても油を使わない揚げ物のイメージが強く、肉を調理するレシピが中心になっている。それは決して間違いではないのだが、長く使っていると、副菜としての野菜調理の便利さに気づいた。
今回作ったのは野菜グリルで、使い方は至極簡単。一口サイズに切った野菜(根菜が中心)にオリーブオイルと塩などをまぶし、あとはバスケットに投入するだけだ。
火が通りにくい根菜は、180℃で10分加熱するだけでOK。さらにアスパラなどの火が通りやすい野菜を加熱する場合は、ラスト2分ぐらいのところでバスケットに追加投入すればOKだ。ノンフライヤーで焼いた野菜は香ばしさと、しっかりとした食感が味わえる。
加熱時間と温度の調整により、甘みや食感も調整可能。にんじんやカボチャなど甘みを楽しみたい場合は低温で長めに調理すると良さそうだ。
また、揚げ物ではないお酒のおつまみを作るのにもノンフライヤープラスは便利だ。油を使わない唐揚げだけでなく、焼き椎茸やレンコンチップスなども、筆者の大好物のおつまみ。
鍋やフライパンなどで、他のおかずを調理している間に、ほんの10分ほどでこれらを一品追加できるのが非常に便利だ。
オプションの網を使えば、二段調理もできる
ノンフライヤーには、別売りのオプションとして、「ダブルレイヤー」という便利なアイテムがある。これをバスケット内にセットすることで、同時に肉と野菜が調理できてしまうという優れものだ。
もちろん、唐揚げなどを2段にセットしてもいいのだが、残念ながら、この「ダブルレイヤー」はノンスティック加工がされていない。つまり、衣などがこびりつきやすいのだ。上段に肉をセットすると下段の食材に脂が落ちることも、若干気になるところ。
このため、おすすめの使い方は、バスケットネットに唐揚げなどをセットして、その上に「ダブルレイヤー」をセット。その上で野菜をグリルするという方法だ。これなら、脂が落ちる心配もない。
天かすを使った天ぷらがちょっと面白い
付属のレシピブックに登場していた新メニューの中で面白かったのが天ぷらだ。天ぷら衣として、天かすを利用するという。エビや野菜などを水で溶いた小麦粉に通して、天かすを纏わせる。あとはその状態でノンフライヤープラスのバスケットにセットするだけ、と作り方は非常にシンプルだ。
作っているときは、天ぷらとは似て非なる食べ物になるかなあと思っていたが、実際に作ってみると驚いた。食感はかなり天ぷらに近いのだ。アラレなどを衣にした揚げ物と、普通の天ぷらの間ぐらいだろうか。さらに天丼にして、天つゆをたっぷりとかけると、より天ぷららしい食感が楽しめた。
このほか、ポップコーンも新しいレシピのひとつだ。これは「ノンフライヤープラス」にバスケットカバーが用意されたことで作れるようになったもの。
数倍のサイズに膨らむため、作れる量はそれほど多くないが、フライパンなどで作るのが面倒といったときにいいだろう。バターやキャラメルなどを絡めれば、自宅で人気のフレーバーポップコーンも作れる。
使い勝手が飛躍的にアップし、レギュラーの座を狙える実力!
調理家電は、キッチンの限られたスペースに置く限り、なかなかレギュラーの地位を得ることが難しい。電子レンジや炊飯器、コーヒーメーカーなどに次ぐレギュラーの地位を、ジューサーやフードプロセッサーなど多くの調理家電が狙っているのだ。ノンフライヤープラスは、このレギュラーの座をしっかりと狙えるモデルだと感じた。
その一番のポイントが、洗いやすさだ。従来モデルで揚げ物を作ると、クッキングネットに衣がこびりつき、正直洗うのが面倒に感じることが多かった。しかし、ノンスティック加工が施され、脱着可能となったので簡単に洗える。筆者は肉料理を調理した後に、さっと洗ってスグに焼き野菜を作るといった使い方もしている。
ノンフライ調理だけでなく、肉や野菜のグリル調理が楽しめ、メンテナンス性もアップしたノンフライヤープラスは本当に使えるヤツになったのだ。