家電製品ミニレビュー
回転式も“イイなぁ”と思わせるフィリップスのシェーバー
by 清水 理史(2014/9/8 07:00)
違和感が爽快感に
ジワジワ来る、とはこのことか。
長年、慣れ親しんできたモノとは、まったく別のモノ、特にライバル関係にある製品を体験すると、違和感から、どうしても否定的な立場を取りたくなるものだ。
しかし、今回、試したフィリップスの「S9711/33」は、普段、振動式(往復式)を愛用している筆者の違和感を見事に払拭し、むしろ、使い込むほどに、回転式ならではの使い心地の爽快感に目覚めさせてくれた最新型のシェーバーだ。
メーカー名 | フィリップス エレクトロニクス ジャパン |
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製品名 | 9000シリーズ S9711/33 |
希望小売価格 | オープンプライス |
購入場所 | Amazon.co.jp |
購入価格 | 46,906円 |
9月上旬から発売されるこの新9000シリーズは、同社のリリースによると、約4年ぶりのフルモデルチェンジとのこと。
言われてみれば、毎年のように新製品登場のニュースを目にしてきたライバルメーカーのシェーバーに対して、フィリップスのシェーバーは、少々、陰が薄かったように思えるが、そんなに久しぶりのモデルチェンジだったとは意外だった。
フィリップスと言えば、最近はノンフライヤーやヌードルメーカーなど、斬新な家電製品で存在感を示しているが、昔から国内市場で馴染みのあるシェーバーでも、そろそろ大きな勝負に出ようというところであろうか。
フラッグモデルらしい高性能・多機能機
まずは、製品の構成をチェックしていこう。同社のシェーバーと言えば、「センソタッチ3D」が有名だが、今回の「9000シリーズ」は、そのさらに上位に位置づけられるフラッグシップ製品となる。
付属品や表示機能の違いによって5つのモデルが用意されるが、今回のS9711/33は、デジタル表示の充電池残量表示、本体に加え、洗浄充電器、ヒゲスタイラー、洗顔ブラシヘッドなども同梱した、フル装備の最上位モデルとなっている。
冒頭でも触れたように、フィリップスと言えば、古くから回転式のシェーバーにこだわり続けてきたメーカーだが、今回の製品も回転式の3つのシェービングヘッドを搭載しているのが最大の特徴。
従来モデルから、さらに可動域が拡張されており、上下左右に可動するシェービングヘッド全体や3方向に独立可動する3つのヘッドに加え、今回、新たに各ヘッドの外刃が浮き沈みするように、さらに3方向に可動するように設計されている。
実際に、ヘッド上に指を滑らせてみるとわかるのだが、これらの3つの駆動部分の組み合わせは、非常に緻密で、ヘッド上を動く指の動きに追従するように、各所が非常に複雑な動きを見せる。
3つのヘッドを組み合わせたフィリップス独特のヘッドは、振動式のシェーバーに比べて、表面積が広く感じられる。これは広い範囲をまとめて剃るのに有利だが、その分、アゴ周りなど、複雑な形状の部分にフィットするかどうかが気がかりだが、予想以上に複雑な形状を取れるこのヘッドなら、さほど心配する必要もなさそうだ。
なお、ヘッド内の刃はV字型の形状に改良されたほか、外刃に関しては厚みも改良されており、従来製品比で30%の深剃りを実現しているという。さすがに4年ぶりの改良ともあって、各所に改良の手が加えられていることになる。
今やシェーバーに欠かせない存在となった洗浄充電器も、従来の形状から変更され、若干、小型化されている。背面に、本体の固定と充電端子の接続用となるアーム状の部分が飛び出しているため、設置場所に高さの余裕が必要だが、こちらも大きく改善された今回の新製品のポイントだ。
洗浄方法も変更されており、従来は本体を設置すると、おじぎをするようにヘッドを内部の洗浄液に浸けるように稼働させるという複雑な方式となっていたが、今回は本体を固定すると上部から洗浄液が流れ込み、その場で洗浄、乾燥をするという方式に変更されている。
洗浄液も、従来のボトル型から、カートリッジ型に変更されており、他社製品と同様に洗浄充電器をパカッと上部へとスライドさせ、下に空いた隙間にカートリッジをセットして、再び閉じる方式となるため、手間がかからない。洗浄器内部にヒゲくずが溜まらないように、2層構造のフィルターを搭載するなど、メンテナンス性もかなり考慮されている印象だ。
とにかく肌にやさしい
実際の剃り味についてだが、一口で言えば、「とにかくやさしい」、これに尽きる。
振動式のシェーバーが「バリバリ」とヒゲを刈り取るようなイメージとすると、回転式となる本製品は「シャー」となでるように切っていくイメージで、静かに、軽やかに剃ることができる。
振動式の剃り方に慣れていると、最初はうまく剃れずに、剃り残しが目立ったが、先に触れたように、ヘッドの形や動作を意識するようにすると、次第にうまく剃れるようになってくる。
振動式では、ヘッドの中央部分がもっとも良く剃れるが、本製品ではヘッドの中央は3つのヘッドの隙間となるため、刃が当たらない。これを意識して、ヘッドがヒゲに当たるように、そしてヘッドが肌の凹凸に追従するようにうまく、すべらせるようにして剃っていくと、次第に、うまく剃れるようになってくる。
とは言え、ヒゲが長く伸びている時や、筆者もそうだがアゴの下などに、いわゆるクセヒゲが多い場合は、これらを剃りきるのに、若干、苦労する。
ヘッドが大きいため、首回りなど角度がキツイところの小回りが効かない印象で、ヘッドを何度も往復させないと、うまく剃れないこともあった。
ただ、先にも触れように、剃り味が非常にやさしいことから、何度も肌に当てても一向に肌がヒリヒリと痛むようなことがないのに、驚かされた。
もちろん、毎日剃る場合など、あまりヒゲが伸びていない状態では、さほど剃り残しは気にならないのだが、肌が弱い人でも安心して、すべてのヒゲを剃りきれるまで肌に当てることができるだろう。
ちなみに、先に洗浄液について触れたが、洗浄液もアルコールフリーとなっており、肌の乾燥を防ぐ効果があるとされている。こういったあたりも、肌の弱い人には朗報だ。
このほか、本体の軽さも特筆もので、他社製のシェーバーはズシリと手に重量感を感じるが、とにかく軽く、手にかかる負担が非常に軽い。実際、200gを超える他社製のシェーバーに比べて、S9711/33は169gと軽く設計されている。この軽さも、毎日使うユーザーには、強い味方となりそうだ。
洗顔にも使える
最後にアタッチメントについて触れておこう。本製品には、ヒゲスタイラーと洗顔ブラシヘッドという2種類の付け替え用アタッチメントが付属している(S9711/33以外は別売り)。
ヒゲスタイラーは、好みの長さにヒゲを整えることができるアタッチメントだ。根元のスイッチで長さを設定することが可能となっており、5段階、最大5mmの長さまでヒゲを整えることができる。樹脂製のコームを取り外すと、きわぞり用としても利用でき、もみあげ部分などのヒゲを剃るのにも役立つ。
一方、洗顔ブラシは、文字通り、洗顔用のブラシだ。ヘッドに取り付け、スイッチをオンにすると回転し、肌をやさしく洗うことができる。直径50ミクロンの極細毛が採用されているおかげで、非常にやわらかで、さわり心地がいいのが印象的だ。肌、もしくはブラシ部分に洗顔料を付けて、回転させると、実際に体験したことはないため、想像だが、まるでメンズエステにでも訪れたかのような気分を味わえる。
使っているところを家族に見られると、ちょっと気恥ずかしいところだが、肌を清潔に保ったり、さっぱりと清潔感を演出するのに、とても役立つことになるだろう。
以上、フィリップスの最新シェーバー「S9711/33」を実際に試してみたが、正直、はじめはあまり印象が良くなかったものの、一週間も使うと、やさしい剃り味がやみつきになる。ジワジワとまさに肌に馴染むような感覚は、本製品ならではの特徴と言えそうだ。
アタッチメントによる、いろいろな用途への活用ができるのも本製品ならではのメリットと言えるので、トータルのフェイスケアにおすすめの1台と言えそうだ。