イベントレポート IFA 2014

ノンフライヤーや空気清浄機などデジタル化を進めるフィリップス

 フィリップスのブースでは、同社がドイツを始めヨーロッパ各国、アジアなどで展開する新製品が多数展示されていた。その大きな特徴は、スマートフォンアプリと接続できるなどの機能を持つ「デジタル化」された製品であるということ。

 4日に行なわれた同社のプレスカンファレンスでは、フィリップス コンシューマーライフスタイルのPeter note氏が「スマートテクノロジーが私たちの暮らしをよりポジティブに変える。これからの白物家電は、デジタルがキーワードになる」と明言。日本で既に発売された同社のハイエンド電機シェーバー「9000シリーズ」や、ノンフライヤーにおいても専用のアプリと連携することで、消費者の利便性を高めている。

 フィリップスでは、昨年のIFAでも同様の展示を行なっていたが、その時点では多くの製品がプロトタイプだった。今年は多くの製品でアプリとの連携、運用が既に開始されている。これは、ほかの家電メーカーと比べても素早い対応だと言える。

プロファイルで、最適なシェービングを提案する「シェービングアプリ」

 日本でも、展開している同社の電気シェーバーでは、最適なシェービングやスタイルを提案してくれる「シェービングアプリ」を展開。写真を撮影して、様々なスタイルを手軽に試せるほか、その人にあった最適なシェービング方法を提案してくれる。

 アプリでは、口周り、頬、首のそれぞれのひげの状態や肌の質など5つの項目に答えていく、するとクレンジング方法、シェービングの頻度、シェービングフォームの有無など、細かいアドバイスが表示される。同アプリは、既にドイツで配信をスタートしており、今後各国で順次導入予定だという。

日本で9月上旬より発売スタートした9000シリーズ
シェービング方法やスタイリングを提案するシェービングアプリ
ヒゲのスタイルは、22種類から選択可能
ヒゲの質や肌の強さなど項目にこたえていくと最適なシェービング方法をアドバイスしてくれる

子供の歯ブラシ嫌いを改善する「Sonic care for kids」

 子供用の電動歯ブラシ「Sonic care for kids」は、子供の歯ブラシ嫌いを改善するためのアプリと連動している。これは、歯ブラシが嫌いな子供に積極的に歯を磨くように促すアプリで、歯を磨いたらご褒美がもらえるといったゲーム要素を取り入れているほか、口の中を4つに分けて磨くゾーニングブラッシングも提案している。

 アプリのプログラムは、子供の習性や興味、関心を研究した上で開発されており、それによると、子供は人を助けてあげることが好きという傾向が強かった。アプリ内では、歯が汚れているキャラクターの口の中を、子供が自分の口を磨くことで、きれいになるという仕組み。きれいに磨けるとご褒美がもらえる。

 このご褒美はあらかじめ、プログラムの中に組み込まれているが、1週間毎日、自分から歯を磨けたら映画に連れていくなど、親がカスタマイズすることも可能。対象年齢は5歳からで、アメリカやヨーロッパで運営開始されている。

Sonic care for kids
多くの小さい子供は歯ブラシを嫌がるという
子供が、積極的に歯を磨きたくなるようなプログラムを搭載する専用のアプリを開発した

子供部屋の温度や湿度もセンシングするベビーモニター

 子供部屋において、子供の様子を離れた場所から確認できる「スマートベビーモニター」は、iPhoneアプリと連動しており、スマートフォンやタブレットなどで、子供の様子を確認できる。子供が泣くと、スマートフォンに音、バイブレーション、光で、通知がくるほか、本体には、温室度センサーも備えられており、アプリ上で子供部屋の状態も確認できる。

 また、スマートベビーモニターでは、通信の安全性にも配慮。3G、4G、Wi-Fiなど回線が複数ある場合、最も安定した回線を自動的に選択。またiPhoneアプリは、電話やメールをしていても、常に起動しているバックグラウンド方式で、電話中でも、アラートを知らせてくれる。

 本体で撮影した動画は、管理者本人のほか、離れて暮らす家族も確認できる。ドイツ、スイス、オーストラリアで運用開始している。

スマートベビーモニター
本体下に室温、湿度センサーが備えられている
赤ちゃんの様子をスマートフォンやタブレットで確認できる
子供部屋の室温や湿度なども画面で確認できる

200以上のレシピを搭載したエアーフライヤーアプリ

 日本ではノンフライヤーとして製品展開しているエアーフライヤーでは、200以上のレシピが閲覧できるアプリを展開。アプリでは、揚げ物調理に限らず、様々なレシピを提案。材料、必要な器具がわかりやすく閲覧できるほか、料理の材料をチェックして、足りない材料をメールで通知する機能も備える。

 同製品は、熱風循環機構により、食材の油を落としながら調理、脂肪分を最大80%落とすことができる。既に世界中で販売されているが、調理方法がこれまでと異なるため、ユーザーから「いつも同じ調理方法になってしまう」という声が寄せられたという。

日本でも人気のあるノンフライヤー。海外では、エアーフライヤーという製品名で展開している
専用アプリでは200以上のレシピを掲載している
材料や手順を写真や動画でわかりやすく説明

室内だけでなく、室外の空気の状態も教えてくれる空気清浄機

 空気清浄機では、中国で既に発売しているハイエンドモデルを展示していた。同製品は、室内だけでなく、室外の空気の汚れも確認できる点が最大の特徴。これは、中国政府の協力のもと、成立している機能で、国内の様々な場所に設置されている、空気の汚れを測定するセンサーの情報を、専用アプリで確認できる。

 室内で空気の汚れを検知すると自動で運転を制御するほか、フィルター寿命なども「あと9日後に交換が必要」など、アプリで確認できる。また、外出先からなどのリモート操作にも対応する。

中国で既に発売開始されている空気清浄機のハイエンドモデル
室内だけでなく、室外の空気の状態もアプリで確認できる
空気状態がよくないと本体の赤いランプが点灯し、自動で運転を制御する

阿部 夏子