家電製品ミニレビュー

温風も吹き出す! オールシーズン使えるタワー型ファン

シャープ「プラズマクラスターヒートイオンファン PF-FTH1」

 このところ朝晩はめっきり冷え込むが、日中、日射しが強い場所にいると暑さを感じる時もある。この気温差の激しい季節に活躍してくれるのが、シャープの温風も出せるタワー型ファン「プラズマクラスターヒートイオンファン PF-FTH1」だ。

メーカーシャープ
製品名プラズマクラスターヒートイオンファン
品番PF-FTH1
購入場所yodobashi.com
購入価格49,800円

設置場所を選ばないタワー型ファン

 プラズマクラスターヒートイオンファンは、送風機能のみならず、温風機能を搭載している点が特徴だ。つまり、夏は扇風機として、冬はスポット暖房として1年中活躍するのである。温風の適用畳数は木造住宅で約3畳、コンクリート住宅で約4.5畳となっている。

 さらに、シャープ独自のイオン技術「高濃度プラズマクラスター25000」を搭載し、浮遊カビ菌の除去やニオイを脱臭するイオン発生機能も搭載している。

 まず仕様を確認しておこう。本体はスリムなタワー型で、サイズは260×270×720mm(幅×奥行き×高さ)。本体重量は約6.7kg。電源コードの長さは約1.8mだ。スリムなので、部屋の隅や脱衣所など、限られた場所にも設置できる。

 本体前面には液晶パネルと、縦長の吹き出し口を備える。吹き出し口には上下に可動するルーバーを搭載する。ファンの羽根は、吹き出し口の奥にあり、指が触れない設計になっている。

本体前面に縦長の吹き出し口を備える
背面の様子
本体背面のカバーを外すと、掃除用ブラシと、プラズマクラスターイオンの発生ユニットが顔を出す

 空気は、本体の両サイドのパネル部から吸い込む。

両側の下部に空気の吸い込み口を搭載している
側面のカバーを外した様子
側面のカバーを開けると、フィルターの奥と送風機「シロッコファン」が現れる

 操作は本体天面のボタンか、付属のリモコンから行なう。運転モードは、大きく分けて温風と送風運転の2つ。本体には温湿度センサーを搭載し、それぞれ室温や湿度に応じて最適な風量で運転する「自動」モードも用意している。

本体天面のボタン
付属のリモコン。本体背面に収納できる
電源には単四形乾電池2本を使用

風量も風向きも、きめ細かく設定できるスポット暖房

 まずは自室の洋間に設置して、温風機能を使った。さっそく、本体上部の赤い温風ボタンを押すと、「ピッ」と音がして本体の電源が入る。

 風量や風向きは、きめ細かく設定できる。まず風量は、6段階から設定可能。さらに「自動」ボタンを選べば、室温が約20~22℃になるように自動で風量を調節してくれる。無駄な電力を極力使わないよう、配慮されていると感じる。

運転を開始すると、天面の風量ランプが点灯。液晶パネルには風量を1~6からデジタル表示する
自動スイングのほかに、左右は約15/30/60/90度の4段階、上下は下向き20度/水平/上向き40度の3段階から角度を設定できる

 風向きは、好みに合わせて、上下左右から手動で設定することもできるし、自動でスイングさせることもできる。自動スイングは、上向き60度から下向き20度まで、左右は最大90度まで可動する。

ルーバーの様子。上方向を向いた状態
下方向を向くルーバー
足元にしっかりと温風が届く

 今回は洋室に設置した。普段はソファに座っていると足元の冷えが気になるのだが、ヒートイオンファンを使うと、電源を入れてからわずか10秒ほどで温風が吹き出し、ひざ下に温かい風が行き渡った。これまでタワー型の暖房器といえば、下方向に温風が届かなかったり、温風を吹き出すまでに時間がかかったり、足元がスースーするイメージがあったのだが、ヒートイオンファンは素早くポカポカと足元を温めてくれる。スポット暖房として心強い。

 消費電力は520W~1,200Wで、ドライヤーと同程度だ。電気代の目安は1時間12円~26円くらいだ。運転音は、風量3~4程度までなら低騒音で、部屋でテレビを見たり、音楽をかけていても、気に障らなかった。

脱衣所やキッチンにも置ける送風機

脱衣所に設置。湯あがりに気持ちのいい風を届けてくれる

 送風機能は、夏場には扇風機としてリビングや家のあちこちで活躍するイメージが強いが、今の季節にも意外と活躍の場が多い。例えば、脱衣所で湯あがりのクールダウンや、キッチンで火を使って暑い時、日中日射しが入ってきて暑い部屋などに、ちょうど良かった。脱衣所に設置したところ、設置スペースをとらず、湯あがりに気持ちのいい風を浴びられた。このまま、夏場にも使いたいと思った。

 温風と同様に、送風時の風量や風向きはきめ細かく設定でき、部屋の温湿度に合わせて最適に運転する風量自動も用意している。

風量や風向きはリモコンで簡単に操作できる
風量自動運転時の液晶パネルの様子

 なお送風運転の消費電力は3.1W~20Wに抑えられている。これからの季節は、部屋のエアコン暖房と連携させて、サーキュレーター替わりにも使える。ファン本体がスポット暖房として使えるだけでなく、ほかの暖房機器と組み合わせれば効率よく部屋を暖められるだろう。

上の緑色のランプが、みはり機能を示す。今のところ、報知音が知らせるような高温高湿や低温低湿状態にはなっていない

 このほか温風・送風機能に共通の機能として、ON/OFFタイマー機能や、冬の乾燥・低温や夏の高温・高湿をランプと報知音で知らせる「みはり機能」を搭載している。みはり機能は、運転と直接連動する機能ではないが、これからインフルエンザや風邪が流行るシーズンなので、1つの目安として運転させておきたい。

部屋干し衣類の脱臭にも便利

 機能面でもう1つ便利だったのは、「イオンモード」だ。ボタン1つでプラズマクラスターイオンを広範囲に放出できる機能なのだが、部屋干し衣類を脱臭できる。急に雨の降ることも多い今の季節、室内に干した洗濯物の下にファンを設置して、イオンモードで運転すれば、部屋干し臭が気にならなくなる。運転開始から2時間後に自動で運転を停止するので、運転中に外出しても問題ない。

「イオンモード」は衣類脱臭に便利
部屋干し衣類のイヤなニオイを除去する

1年を通して使えるアイテム

背面上部には取っ手が付属するが、小さくて握りにくいと感じた

 使いにくいと感じたのは、本体の移動だ。本体背面には、上部に持ち運び用の取っ手があるのだが、これが小さくて持ちにくい。結局本体を抱きかかえて移動させるほうが早かった。

 もう1つは、リモコンから温風運転をONにできない点だ。送風はできるのに、温風はできない。温風運転を開始する際は、本体上部の運転ボタンを押すしかない。ソファに座ったままリモコンから操作できれば、もっと使い勝手が良くなるはずだ。

 とはいえ、温風から送風まで、コレ1台で幅広くカバーしてくれる点には満足している。特に、好みに合わせてきめ細かく風量や風向きを設定できるのは、今の季節のスポット暖房として便利。足元の低い位置までしっかり温風が届くのが気に入った。

 細かい設定をしなくても、風量や風向きを「自動」に設定すれば、操作も簡単だし、無駄な運転を省いて省エネにもなる。市場価格はそこそこ高いが、本体の質感や使い勝手に高級感があり、デザインはテレビやスピーカーといった部屋のインテリアにも馴染みやすい。これからの季節、エアコンやオイルヒーターと併用して、サーキュレーター代わりに活躍させたい。そしてまた来年、温かい季節になったら、送風機能をメインで活用したい。

小林 樹