家電製品ミニレビュー

LEDライトがほのかに光る、プラスマイナスゼロの超音波式加湿器

大きく変わったプラスマイナスゼロの加湿器

 今日は、プラスマイナスゼロ(±0)の新しい加湿器を紹介しよう。「XQE-X010」(以下X010)という超音波式の加湿器だ。

 プラスマイナスゼロの加湿器といえば、プロダクトデザイナーの深澤直人氏がデザインした「Humidifier」シリーズが代表作だ。ドーナッツ型の本体、磨き上げた本体、鮮烈なカラーなど独創的なデザインの製品で、2005年のグッドデザイン金賞を受賞している。

プラスマイナスゼロの加湿器といえば、「Humidifier」シリーズだ
今回レビューする「XQE-X010」

 今回紹介する、X010は、それに比べるとずっとカジュアルな製品だ。価格も、機種によっては2万円近くしたHumidifierに対して、5,985円に抑えられている。加湿方式も、これまでのスチーム式から超音波式となった。いろいろな意味で、大きく方向が変わった製品なのだ。

 では、X010は、どんな製品になったのだろう。さっそく試してみよう。

メーカープラスマイナスゼロ(±0)
製品名XQE-X010
希望小売価格5,985円
購入場所Amazon.co.jp
購入価格5,980円

シンプルなデザインと意外と大きい本体

 X010の外観は、円錐型の上下をカットしたシンプルな形をしている。なにかの人形のような不思議な形だ。

本体は、両手で抱えるぐらいの大きさがある
床に置いた状態
本体の直径は20cm強
30cm定規との大きさ比較
ペットボトルとの大きさ比較
本体底面もまん丸だ

 写真で見ると大きさがわかりにくいデザインで、想像していたよりもかなり大きかった。本体サイズは222×228×280mm(幅×奥行き×高さ)、重量は水を入れる前の状態で約1.5kgある。卓上というより、床に置いて使う方が似合う大きさだ。

外箱は立方体に近い形で、一辺が30cmぐらいある

 外箱も30cm四方ほどある立方体で、両手で抱えるぐらいの大きさと重さだ。大きな袋に入れて手提げで持ち帰れるギリギリの大きさだ。

 カラーバリエーションは、ホワイト/ベージュ/レッドの3色が用意されている。

 今回はレッドにしたが、形がシンプルなので、派手な色でもうるさくならない。配色は、赤を中心に、白とクリーム色とグレーが層になっている。これに、アクセントになる青のラインが加わって、おしゃれな雰囲気だ。どことなくヨーロッパ調のデザインで、日本メーカーの製品には見えない。こういう特徴的なデザインは、プラスマイナスゼロの製品らしい。

持ち運びやすい水タンク

 X010を使う前の準備は、水タンクに水を入れ、電源コードをコンセントに差し込むだけだ。

 水タンクは本体から外して、洗面台や台所の蛇口から注水する。水タンクを逆さにした状態で注水し、キャップを閉めてから、ひっくり返して持ち運ぶ。水タンクは高さを抑えたデザインで、浅い洗面台でも置いた状態で注水できる。これは良い所だ。

注水用キャップを開いたところ。キャップは大きめだ
水タンクの裏側。キャップの脇にあるのは、ミストが通る通路
水タンクは浅い形状なので、洗面台に置いた状態で注水できる
水タンクの上部にはハンドルが付いているので、水を入れても持ち運びしやすい

 注水が終わったら、キャップをきちんと閉め、ハンドルを上にするために上下をひっくり返す。水タンクの容量は約3Lあるので、注水すると重さは3kgを超える。意外と重いので、ひっくり返すときに滑らないように注意が必要だ。

 本体に、水タンクをセットし、吹き出し方向を決めるカバーを載せてセットが終わる。ミストは、一番下に位置する本体で発生して、水タンク内のチューブを抜け、本体の上部から出る。

 電源はAC100Vだ。こういうデザイン重視の製品は、ACアダプターを使っている製品が多いが、X010は本体から電源コードが生えている。ACアダプターが目につかないので、スッキリしていて気持ちが良い。

簡単な操作と居室に向いた性能

 電源スイッチは本体の前面にあり、ラジオのような回転型のスイッチだ。カチッと音がした時点で動作が始まり、スイッチを右に回すにしたがって、ミストの吐出量も増える。

丸いツマミを右に回すと加湿が始まる。下の小さいボタンはLEDライトのボタン
本体上部。カバーに開いた吹き出し口からミストが出る
電源を入れると、すぐにミストが出る
ミストは、かなり勢い良く出る
ミストの吹出口には水滴が付きやすい

 超音波式なので、加湿の立ち上がりが速い。スイッチをひねれば、すぐに本体の上面からミストが吹き出す。超音波式は水の粒子が大きめなので、ミストがよく見える。加湿しているという実感があって好ましい。

 スイッチを右いっぱいに回すと、1時間に約300mlの加湿ができるという。しかし、この状態だと、加湿器本体の周囲の床も濡れてしまうことが多い。あまり欲張らずに、半分ぐらい回せば、この季節の東京では十分なようだ。加湿時間は、ミストの吐出量を最大にした状態で約7時間、半分ぐらい回した状態で約12時間持った。就寝前に水を入れれば、朝まで持つ感じだ。

 設置場所は濡れても拭き取りやすいフローリングが向いている。本体上部の吹き出し口の周辺は、ミストが当たるので水滴が着きやすい。吹出口のカバーを動かすときは、ここから水が垂れることもある。加湿器の周囲には、本や電子機器などの濡れては困るものは置かない方が良い。

 加湿に適した部屋の広さは、木造和室で5畳、プレハブ洋室で8畳とされている。マンションの7畳ほどの部屋では、1時間以内に60%程度まで加湿することができる。さすがに14畳のリビングでは、加湿能力が足りなかった。子供部屋やベッドルームなどの居室で使うべき製品だ。

 なお、消費電力が少ない超音波式なので、消費電力は最大でも30Wに留まっている。電気代は1日8時間使っても5.28円、1カ月毎日使っても158円に留まる計算だ。スチーム式の加湿器に比べると、この電気代の安さは魅力だ。

水タンクの奥に光るLEDライト

 直接、加湿とは関係ないのだが、X010の特徴的な機能としてLEDライトがある。

水タンクを外した状態の本体。下よりの白い丸がLEDライト
LEDライトを点灯した状態。水タンクを通してぼんやりと光る
真っ暗な室内では、このように見える

 このLEDライトの押しボタンスイッチは電源スイッチのすぐ下という、とても良い場所に配置されている。それだけ、この機能が重視されていることがわかる。

 このボタンを押すと、本体に内蔵されたオレンジ色のLEDライトが点灯する。その光は、水タンク越しに広がり、ちょっとしたインテリアライトの役割を果たす。このLEDライトは加湿機能とは独立しているので、加湿していない状態の時でも点灯できる。

 ちょっと子供っぽい機能のように感じるかもしれないが、それなりにきれいだ。また、加湿器を床に置いている場合には蹴飛ばしにくくなるという実用性もある。

抗菌カートリッジとアロマトレイ

 超音波式加湿器の弱点は、水が雑菌などで汚染されていたときに、そのままミストとして拡散してしまうことだ。これを防ぐためにX010では、水タンクから出た水が、抗菌カートリッジを通過するようになっている。

抗菌カートリッジ
裏返すと隙間から殺菌用のセラミックボールが見える

 抗菌カートリッジの中には、セラミックボールが入っており、雑菌の繁殖を防ぐ効果があるという。実際にこの抗菌カートリッジが、どれぐらいの効果があるかはメーカーを信じるしかないが、何も対策がとられていない製品に比べれば、使っていて安心感がある。

 なお、抗菌カートリッジは消耗品で寿命は約6カ月だ。交換用のカートリッジは別売で、1,050円で販売されている。

吸気口の部分に設けられたアロマトレイ
お掃除用ブラシとともに、交換用のアロマパッドが付属する

 また、本体の側面にある吸気口のところに、アロマトレイが用意されている。このトレイに入れたアロマパッドにアロマオイルを何滴か落とすことで、香りを広げることができる。

 ただしX010は、アロマの香りを吸い込んで、そのまま吹き出しているだけだ。暖かい蒸気でアロマオイルを温めて拡散するスチーム式の加湿器に比べると、香りの広がり具合には、だいぶ差がある。一応、機能が用意されている、ぐらいに受け止めておけば良いだろう。アロマパッドは3枚付属し、追加分は5枚入りが525円だ。

プラスマイナスゼロらしさは、ちゃんとあった

 X010は、プラスマイナスゼロの加湿器としては、大きな路線変更をした製品だ。しかし、特徴のある本体デザインや配色、抗菌カートリッジなどのユーザーへの配慮など、プラスマイナスゼロらしさは、ちゃんと感じられた。

 いかにも加湿器という雰囲気がなく生活感の少ないデザインは、ハマる人にはハマると思う。デザインが気に入って買っても、ちゃんと使える実用性はある製品だ。

伊達 浩二

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