家電製品ミニレビュー

アイリスオーヤマ「ペットドライヤー(犬猫用)」

~とても静かで両手が使えるペット用床置きドライヤー
by 藤山 哲人
アイリスオーヤマ ペットドライヤー(犬猫用) PDR-270

 ペットも人と同じでお風呂に長いこと入らないと、かなりケモノ臭くなる。

 そこでお風呂に入れてやるのだが、これが意外に大変。洗うことよりも、お風呂から上がってからが特に面倒で、体をブルブル振るって水しぶきを飛ばすだけならいいが、ドライヤーで毛を乾かそうと思うと、その音で怯えて逃げ回ってしまうのだ。

 ある程度は訓練でドライヤーの音に慣らすことはできるのだが、片手にドライヤーを持って、もう片方でブラッシングしていると、何か興味があるものを発見すると、ドライヤーそっちのけで、逃げていってしまう。

 そんなときに大助かりなのが、アイリスオーヤマのペット用ドライヤー(犬猫用)だ。


メーカーアイリスオーヤマ
製品名ペットドライヤー(犬猫用) PDR-270
希望小売価格オープンプライス
購入場所Amazon.co.jp
購入価格4,980円

 このドライヤー、人間用のドライヤーと違って、床に置いて使い、ホースを自由に曲げて吹き出し口の向きを変えられる点が特徴。しかも、温度は低めに設定されていて、音も静かなので、ペットも落ち着いてドライヤーがかけられるというスグレモノだ。

お風呂に慣れていない子犬や子猫にはピッタリ!

 まずはウチの犬ッコロの「定吉」をお風呂に入れたシーンから見ていただこう。人でも暑い夏なのに、長い毛をまとったマルチーズにとってはかなり暑いらしい。家の中で放し飼いにしているのだが、いつも掃除機が届かない家具の足元の隙間に入り込んで寝ているので、お腹からアゴにかけてが真っ黒。おかげで掃除機をかけなくても、家具の下はピカピカという、生きたモップのようなヤツなのだ。

Before。いかにもなマルチーズ。ペットサロンなんかには行かず、筆者が晩酌しながら散髪しちゃうのでかなりトラ狩りなのはご愛嬌♪定吉お風呂中。顔にシャワーをされるのが大嫌いなのは、人と一緒。でも一番汚れる部分なので、何とかなだめて洗ってやる
After。お前は誰っ! ってな感じで、ヤギのできあがり。犬って洗うとなんでヤギになっちゃうんでしょうか?風呂上りの大運動会。体を拭くものがあれば、手当たり次第に体をこすり付けまわる

 風呂から上ってもじっとすることはなく、大運動会が始まる。体をブルブル震わせて水を切った後は、部屋を走りまわってタオルやソファーに体を擦り付けて、体の水分を拭きたがる。

 というわけで、ペットドライヤーの登場だ。サイズは洋菓子屋の紙袋程度の大きさで、パッと見ではドライヤーには見えない。というか布団乾燥機だ。これは床に置いて使うもので、上部のフタを開けるとホースと電源コードが収納されており、これを取り出してコンセントに差し込む。ホースはジャバラ状になっているので、自由に向きを変えられ収縮も可能だ。そしてホースの先端には、吹き出す風を絞り込むアダプターもあるので、必要に応じて取り付けるられる。

電源コードとホース、アダプタを本体内に収納できるのでコンパクトにしてしまっておける点が◎
ホースは自由に向きを変えられるジャバラになっているので長さも変えられる
そのままでも使えるが、吹き出すエアーを絞るアダプターを先に取り付けられる電源スイッチはダイヤル式で、送風と温風の切り替えが可能。また強弱も変えられる

 あとは電源スイッチを入れるだけで、温風または冷風がホースから出てくる。温風は人のドライヤーより低めになっていて、犬から離して温度調節をする必要もないので便利だ。ただコンセントの周波数によって東日本と西日本では温風の温度が少し違う点に注意したい。


モード
東日本(50Hz)55℃65℃
西日本(60Hz)60℃75℃

 ドライヤーを怖がるペットだと、抑え込んで毛を乾かさなければならないので、風呂上りは2人がかりという人もいるだろう。しかも「ドライヤーを使うと抑え込まれる」ということを覚えてしまい、ドライヤーを見ただけで逃げちゃうという負のスパイラルにハマってしまう場合もある。

 しかしこのペットドライヤーは、非常に静かで床におけるので、いつも接するときと同じように両手でヨシヨシしながら毛を乾かせるので安心するようだ。

 ただペット用ということで、風量も弱くなっているので、完全に乾くまでの時間が普通のドライヤーの2倍近くかかる。風量は強にしても普通のドライヤーの弱程度しかない。したがって、なかなか毛の中まで送風できないので、手ぐしやブラシで毛をかき分けながら乾かしてやるのがいいようだ。

両手でペットの毛を乾かせる
普通のドライヤーだと運転音が大きいので、嫌がるペットはなんとか逃げ出そうと必死になる運転音が静かな上に両手が使えるので毛を乾かすのも楽チン。犬も安心するようだうほっ! 真っ白でフワフワになった♪ ケモノ臭さもなくなって、これでペロペロ舐めに来ても臭くないぞ!

 20分ほどドライヤーを当ててやると、完全に毛が乾くので、おとなしくしていたご褒美をあげると、次回も喜んでドライヤーの前でいい子にしているだろう。

音が静かというだけでなくペットが怖がる高い音を出さない工夫も

 さて、先ほどのムービーを見るとお分かりいただけるが、ペット用ドライヤーは非常に静かだ。送風ファンが大きいので高速回転しなくても風量があるため、高音の運転音が少ない。空気清浄器のような感じの運転音だ。

定吉の耳は垂れているが、それでも60kHzまで聞き取れるいい耳を持っている。でもピアノの一番下の音が聞こえていないというのが不思議

 ところで、犬や猫は人間には聞こえない高い音が聞こえる耳を持っている。人間の聞こえる音は、おそよ20Hz~20kHzと言われているが、犬や猫は30Hz~65kHzまで聞こえるのだ。これを学校にあるような標準的な88鍵のピアノで見てみると、一番左の低い音(ラ)は27.5Hzなので犬や猫には聞こえない。しかし一番右の高い音(ド)は4.2kHzなので、人間にはもちろん犬や猫でも聞き取れる。あと2オクターブ上がると16kHzとなり、人にはかなり聞こえづらくなる。一方犬や猫は、一番右の高い音の4オクターブ上まで聞き取れるのだ。

 そこで普通のドライヤーとペットドライヤーでは、どのぐらい運転音と音の高低(周波数)が違うかを調べてみた。

 まずは音の大きさをドライヤーから1m離れて測定したところ、次のようになった。


ドライヤー62dB
ペット用ドライヤー42dB

 42dBと言えば静かな図書館レベルの騒音で、空調機の音がかすかに聞こえる程度だ。かたや普通のドライヤーは会話程度の騒音なので、ドライヤーをかけながら話をすると聞き取りづらくなるほど。このようにペット用ドライヤーは、運転音が非常に静かなのが特徴となっている。

 続けて音の高低(周波数)を調べたところ、それぞれ次のようになった。ただし犬や猫の耳に聞こえる65kHzまで録音できる機材がないので、ここは20Hz~20kHzまでを測定している。

普通のドライヤーは400Hz~15kHzまで幅広いノイズを出している
ペット用ドライヤーは、1kHzあたりにピークがあるだけで4kHz以上のノイズはほとんどない

 グラフの横軸は、周波数を示し一番左が20Hz、中央の「1k」とあるのが1kHzで、一番右が20kHzとなっている。縦軸は音の大きさを示しているので、ペット用ドライヤーが普通のドライヤーより静かなのかが分かるだろう。

 なおあまりに運転音が静かなので、運転音の周波数が分かりづらいため、ボリュームを上げて録音・解析してみたが、3kHz以上の音は極端に小さくなっているようだ。

お風呂デビューする子犬や子猫、大人でもドライヤーを嫌がる子にオススメ

 気になる価格はおよそ5,000円と安く、有名メーカーの人間用ドライヤーの安いモデルとほぼ同価格帯だ。

 そしてドライヤーの対応できる犬種は、筆者が使ってみた感じと以前に飼っていた犬のことを考えると、中型犬の長毛種もしくは大型犬の短毛種ぐらいまでは使えそうな感じだ。大型犬の長毛種だとちょっと風量不足気味かも知れないが、ほとんどの犬種と猫でこのぺット用ドライヤーが使えるだろう。

ウチの生きてるモップもお気に入りのペット用ドライヤー

 このドライヤーを強くオススメしたいのは、これからお風呂デビューをする子犬や子猫がいる家庭だ。筆者が知る限り、初めてのドライヤー体験で怖がらなかった犬や猫というのは聞いたことがない。しかもお風呂デビューするまでに普段からドライヤーの音や風に慣れさせるのは、かなり時間がかかる(慣れない子もいるし……)ので面倒。

 だが、静かなペットドライヤーなら慣れるのも早いだろう。なにより定吉は、ロボット掃除機になれるまで1週間ほどかかったが、ペットドライヤーには初めて使っても怖がらなかった。お風呂デビューというだけでペットはかなり怖い思いをするので、せめてドライヤーぐらいは怖くないペットドライヤーを使ってあげたい(親バカか?)。

 そして大人のペットでも、ドライヤーを嫌がる子にはぜひオススメしたい。普段と同様に両手でスキンシップを取りながら毛を乾かせるので、ペットも安心していい子にしてくれるだろう。

 さらにペットだけでなく、人間でも便利に使えてしまうのがペットドライヤーのいいところ。普通のドライヤーでは、横に寝転んでテレビを見ながらドライヤーなんてまずできないが、ペット用ドライヤーを使うとソレができてしまうのだ。音も静かなのでテレビの音がかき消されることもなく、まったりとものぐさライフをエンジョイできるだろう。






2012年9月6日 00:00