家電製品ミニレビュー

無印良品 「マイコン式扇風機 EF-MJ30R」

~価格も手頃、機能も充実のリビング扇風機
by 藤原 大蔵
無印良品「扇風機(リモコン付) EF-MJ30R」

 今年の夏は電力不足が懸念されており、電気を多く使うエアコンよりも、少ない消費電力の扇風機に注目が集まっている。

 今まで扇風機を持っていなくても、この夏の節電対策に「ちゃんとしたヤツを1台購入しておきたい」という読者の方もきっと多いことだろう。

 そこで今回紹介したいのは、無印良品「扇風機(リモコン付) EF-MJ30R」というリビング向けの扇風機。価格は5,000円以下で手頃、それでいて扇風機に欲しいと思われる機能はしっかりカバーしており、リモコンも付属している。本体も羽根も白一色で統一され、余計な装飾を省いた落ち着きのあるデザインは、多くの部屋にあわせやすい。


メーカー無印良品
製品名扇風機(リモコン付) EF-MJ30R
販売価格4,900円
購入場所無印良品ネットストア

 

 なお、本製品は無印良品が販売元だが、製造元は「三洋電機コンシューマエレクトロニクス」である。

組み立ては簡単。スッキリしたデザイン

 EF-MJ30Rは組み立て式だが、道具も要らず簡単だった。パーツは大きくわけて5種類。本体、ベース、前後のガード、羽根、そしてそれらを留めるナット類で構成されている。取扱説明書に沿って組み立てれば10分とかからないだろう。

 特に難しいことは無いが、羽根を固定するスピナーを回す際、一般的なナット(右に回してしめる)とは逆回しという事ぐらいが注意点だろうか。

パーツ:左上から、後ガード、前ガード、リモコン、羽根、ガード止めナット、スピナー(羽根止めナット)、本体、ベース固定ナット、ベースコードをベース内側から通し、本体を前方から後方へベースに挿しこみ(上)、ベースの裏側から本体とベースをナットで確実に固定する(下)ベースに本体が正しく取り付けられた様子。デコボコの無いフラットなデザインだ
後ガードは取っ手が付いており、上下がわかりやすい(上)。羽根をモーターシャフトにスピンナーで固定する(下)前ガードのフックを上にして後ガードに差し込む(上)。ガードをはめこんだら、クリップで固定する(下)組み立てが完成した様子。10分もかからなかった(パイプを最長にして撮影した)

 組み立てが終わったところで、全体の姿を確認してみよう。

 大きさは367×367mm(幅×奥行)、715~960mm(高さ)で、高さは手動で変える。羽根は5枚タイプで、直径は300mmぐらい。ベースは360×42mm(直径×高さ)で、安定して置ける。重量は4.1kgだ。

 それぞれのパーツは無駄な装飾が抑えられ、デコボコも極力抑えられておりスッキリとしている。また、扇風機の羽根は透明なものが多い中、不透明の白い羽根がいかにも無印良品っぽい。

無印良品扇風機の正面(左)と背面(右)。サイズは367×367mm(幅×奥行)。全体が白色で統一されている真横から見た様子。モーター部は約140×112mm(奥行き×直径)のカバーで覆われている高さ調整は手動で行なう。715~960mmの範囲で自由に変えられる

 高さの調整は簡単だ。スタンドの後方にある「固定解除ボタン」を押さえながらスライドパイプを引きあげれるだけ。パイプは好きな位置で止まってくれる。

 本体にはリモコンも付属されている。リモコンは、入/切、風量の調節、タイマー設定と、本体のボタンと全く同じ操作ができる。本体にはリモコンフォルダーの溝があり、使わない時はリモコンが立てかけておける。

スタンドの背面にある「固定解除ボタン」押して解除すると高さが変えられる。一番背が低くなった時のみ固定できる本体の操作部とリモコン。リモコンでも全く同じ操作ができる。リモコンの大きさは40×87×6.5mm(幅×奥行き×高さ)で、リチウム電池(CR2025)が同梱されている。重さは18gでストラップの孔もある

そよ風から強風まで、リビングルームの隅々まで風がしっかり届く

 操作は本体、またはリモコンの電源ボタンを押し、好みの風量を選ぶだけ。風量はボタンを押すたびに”ピッ”という電子音と共に、ソフト→リズム風→弱→強の順で切り替わる。リズム風は自動で風の強さに変化をつけるモードで、本体の風量ランプの「ソフト」が点滅する(「リズム風」以外、ランプは常時点灯)。ちなみに、電源を切った時の最後の風量が記憶される仕様となっている。

 風量はとてもパワフルだった。扇風機から2m離れた床に座っていて、「ソフト」でも全身に” そよそよ”とやさしい風が感じられた。運転音はとても静かだ。「弱」では、ハッキリとした風が感じられ、「強」は”ビューン”という大きめの風切り音とともに、期待通りの強風が得られた。動画では羽根の下部からあまり風が届いていないように見えるが、1.5mも離れれば下方にもしっかり風が届くので、リビング用扇風機として全く問題ないだろう。


風量を切り替えながら撮影した。オフ→ソフト→リズム風→弱→強→オフという順番だ

 風向きの調整は30度(上・18度、下・12度)、左右は90度(左右それぞれ45度ずつ)の範囲ででき、動かすたびに”カチッ、カチッ”というクリック音が鳴り、それぞれの位置で確実に止まる。

パイプの上部を支点として、正面に向けた状態から上へ約18度、下へ約12度と上下の風向調節できる。モーター部を持って手動で行なうスタンドの向きを変えずに、左右へそれぞれ45°ずつ水平な風向調節もできる。こちらも手動で行なう首振りのオン・オフは、モーター上にある首振りつまみで行う。モーター下部にある「首振り角度調整レバー」で角度が変えられる。「広(約80度)」、「中(約60度)」、「狭(約40度)」
リビングルームなどの隅に置いても、風向調節と首振り機能で部屋全体に風が行き渡る

 自動首振りは、モーター上部にあるつまみを押し下げれば首振りがスタート、引き上げれば停止する。首振りの角度は3段階で調節でき、モーター下にある「首振り角度調節レバー」を「広(約80°)」、「中(約60°)」、「狭(約40°)」の中から好みの角度を選ぶ。なお、首振りの周期は風量に関わらず同じだった。

 風向きはすべて手動で行ない、リモコンでの操作はできない。しかし、普段は扇風機を部屋の一定の位置に設置し、毎日決まった使い方をする事がほとんどなので、リモコン操作ができなくてもたいして不便は感じなかった。部屋のレイアウトや座る位置、または人数の変化に合わせ、十分に対応できるだろう。

入・切タイマーを活用し、寝室の扇風機として就寝、起床を快適にする

 本製品は、リビングルーム向けだが、自動扇風機を運転・停止できる「入タイマー」、「切タイマー」が独立して搭載されている。「入」・「切」の併用設定もでき、リモコンでも操作できるので、寝室での使用にも向いている。

 切タイマーはデフォルト時、就寝向けの「おやすみ切タイマー」として機能する。運転・停止状態に関わりなく、本体またはリモコンボタンを押すたびに1時間→2時間→4時間と設定できる。

 風量はタイマー時間の経過と共に自動的に変化し、そして停止する。風量を「強」、切タイマーを1時間としたなら、15分後には「弱」、さらに15分後には「ソフト」運転に自動的に風量が変化する。その後ソフト運転が30分続き、停止する。

 入タイマーの設定時間は、押すたびに2時間→4時間→6時間と切り替わる。停止した状態、切タイマー稼動時に関わらず設定でき、設定時間になると、「弱」運転が自動で始まる。

「おやすみ切タイマー」「入タイマー」は独立しても、併用しても設定できる。就寝、起床時に便利だおやすみ切タイマーの運転図(取扱説明書から抜粋)。時間の経過とともに風量も自動的に切り替えてくれるおやすみ切りタイマー運転と入タイマー運転を併用したい場合、おやすみ切りタイマーの設定時・残り時間よりも、長い時間の入タイマーが選択できる(取扱説明書から抜粋)
タイマーを利用すれば、夏の熱帯夜対策に寝室用の扇風機としても重宝するだろう

 寝苦しい熱帯夜が続く夏には、眠っている間に自動停止し、起床時間に合わせて自動運転できるのは便利な機能だ。設定時間はそれぞれ3種類しか選べないが、就寝前に複雑な操作が要らないのはむしろラクかもしれない。睡眠時、風のあたりすぎを避けるために、「首振り」を作動させておくと良いだろう。

 付け加えて、「おやすみ切タイマー」のボタンを3秒長押しすれば、風量の変わらないシンプルな「切タイマー」にもなる。リビングルームで自動停止させたい場合に向く使い方だ。ふたたび「おやすみ切タイマー」に戻すなら、電源コードを抜けば解除される。

消費電力は一般的な扇風機と変わらない

写真上から:待機電力は測定不能なほど低い、ソフトは26W、弱は34W、強は44W。リズム風は頻繁にワット数が変わるので割愛する

 消費電力を測定してみると、「ソフト」は26W、「弱」は34W、「強」は44Wだった。自宅にあった羽根が30cmタイプの扇風機の「強モード」が45Wだったので、本製品の消費電力は一般的な消費電力と言って良いだろう。

 ひと月の電気代を試算すると、一日8時間毎日使用したと仮定した場合、「ソフト」は約142円、「弱」は約185円、「強」は約239円になった。風の強さは全く違うが、ソフト運転は弱や強運転に比べて電気代を抑えられる。涼しくなったら風量をこまめに抑えればさらに節電が期待できる。

 なお、本製品は運転開始後10時間経過すると自動的に停止する「10時間オートオフ」機能がある。つい切り忘れてしまっても無駄な電気の消費を防いでくれる。連続で運転し続けたいなら、本体の複数のボタンを組み合わせて解除もできる。

お得感のある実力充分な扇風機

 実際に使用した印象を一言でまとめると、「オトク感のある実力十分な扇風機」と言える。5,000円以下のお手頃な価格でありながら、微風から強風、そして手動ながらも細かくできる風向設定、そして、タイマー操作もできるリモコンがついているからだ。

 全体的には満足ゆく使用感だが、多少気になる点もあった。一つはリズム運転時にモーターから“トクン、トクン”と小さい音が頻繁に鳴る。リビングルームでは気にならなくても、周囲が静かな就寝時は気になる方がいるかもしれない。

 もう1つ、「入タイマー」の設定時間の最長が6時間というのは、いささか中途半端な印象を受けた。これは何も今回の製品に限ったことではないが、起床前に自動運転したい場合、8時間睡眠なら起床2時間前から扇風機が作動してしまう。風量も「弱」で固定されており、人によっては風が気になって目が覚める事も考えられる。

 とは言っても、デザインもスッキリとしており、価格から考えても普段使いの扇風機として、大変優秀と断言できる。細かな話ではあるが、ベースにはコード収納部、箱には収納方法が明記されており、使わない時の事もちゃんと考えられているのが嬉しい。耐用年数も10年と長い。

設計上の標準仕様期間は10年と、長く使い続けられる使わない時、もしくは分解しないで収納する際、コードはベースの内側に収納できる分解して箱に収めれば、よりコンパクトに収納できる。箱の大きさは637×205×370mm(幅×奥行き×高さ)で、箱の内側には「収納のしかた」も図解されている

 「節電のためにとりあえず扇風機を」、「手頃な価格でも、ちゃんとした扇風機を」と考えているどちらの方も、満足がいく扇風機としておおいにお勧めしたい。





2011年6月13日 00:00