家電製品ミニレビュー

実売1,500円台で買えるコーヒーメーカーの実力

2千円を切るベーシックなコーヒーメーカー

象印マホービン「EC-TB40-TD」

 今回は、象印マホービンのコーヒーメーカー「EC-TB40-TD」を紹介する。希望小売価格は5,000円だが、Amazonや家電量販店では2千円を切った価格で買える。コーヒーメーカーの中でも一番安い価格帯の製品だ。

 これを選んだ理由は、低価格のコーヒーメーカーで、どれぐらい美味しいコーヒーが淹れられるのか興味があったからだ。

メーカー名象印マホービン
製品名EC-TB40-TD
希望小売価格5,000円(税抜)
購入先Amazon.co.jp
購入価格1,591円

コンパクトな本体で操作もシンプル

 EC-TB40は、コンパクトなコーヒーメーカーで、だいたい単行本1冊を平置きするスペースがあれば置ける。高さも23cmなので、コーヒーメーカーとしては背が低い。

水タンク側から見る
サーバー側

 値段が値段なので、EC-TB40の機能はシンプルだ。特徴といえば、カルキを除去するフィルターが付いていることと、ペーパーフィルターを使うことぐらいだ。低価格の製品は、金属製のメッシュフィルターを使っている製品が多いので、ちょっと意外だった。

 とりあえず、梱包を解いて、1杯淹れてみることにする。

 まず、コーヒー豆を入れるバスケットの部分や、ガラス製のサーバー(ジャグ)などを洗う。水タンクは取り外せないタイプなので、水を少し入れて、コーヒーメーカー本体を振ってすすいだ。コーヒーメーカー本体は小さくて軽いので、こういう作業も苦にならない。

 ちょっと変わっているのがペーパーフィルターを入れる位置だ。多くのコーヒーメーカーでは、ペーパーフィルターのフォルダー(バスケット)は、コーヒーメーカー本体に付いているが、EC-TB40ではサーバーの上に重ねる形になっている。

ペーパーフィルターのフォルダーは本体にではなく、コーヒーサーバーの上にのっている
ガラス容器は、取っ手が大きく持ちやすい
コーヒー豆の計量スプーン

 ペーパーフィルターは、お試し用に2枚だけ付属している。サイズは、メリタ「1×2」またはカリタ「102」と呼ばれるサイズだ。一般的なサイズなので、スーパーや百円ショップでも入手できる。

 コーヒー豆は、いつも飲み慣れているモカを使った。豆の挽き方については「細挽きは避けること」とだけ指定されているので、ペーパーフィルターに適した中挽きにした。コーヒー豆の計量カップは、コーヒカップ用とマグカップ用の2つがくっついている。

 水タンクが固定されているので、水を注ぐときはヤカンなどを使う。水位の目印は、コーヒーカップ用とマグカップ用の2つが刻まれている。この水位は、コーヒーカップ用もマグカップ用も、少なめの設定になっている。不足を感じる場合は、水と豆を心持ち多めにしよう。

上から見た水タンク。パイプの部分をお湯が通る
お湯が出るところにカルキ臭を減らす浄水フィルターが装備されている
水タンクの水位目盛り

 ペーパーフィルターフォルダーの穴は2つ開いている。メリタ式が1つ、カリタ式が3つだから、ちょうど真ん中だ。

ペーパーフィルターフォルダーの穴は2つ
ペーパーフィルターを置き、コーヒー豆を入れる
フタをした状態で本体にセットする
電源スイッチは保温ヒーターのスイッチも兼ねている

 電源スイッチを入れると、お湯は30秒ほどで出始め、3分弱ほどで入った。お湯は出始めたら、ずっとポタポタという感じで出続けており、特に間が空いたりすることはなかった。

 お湯が出終わるのを待って、サーバーを外して、カップにコーヒーを注いで終了だ。

コーヒーサーバーを置く部分は保温ヒーターが内蔵されている
お湯はポタッポタッという感じで切れ目なく注がれる
お湯が出きった状態

 なお、ペーパーフィルターのフォルダーは、サーバーの上に載せたままでコーヒーが注げると取扱説明書に書かれている。しかし、さすがにちょっと不安定なので、片手を添えながら注ぐことをお勧めする。

それなりにおいしいけど、香りはもう1つ

 淹れたコーヒーは熱く、それなりにおいしい。一定の水準には達しており、ボタンを押すだけでこれが手に入るのはコーヒーメーカーのメリットだ。

 ただし、ペーパーフィルターを使ってハンドドリップで淹れた場合に比べると、どうもコーヒーが薄いような気がする。もちろん、水の量とコーヒー豆の量は取扱説明書の指定通りの状態でだ。

 ちょうど、ハンドドリップでコーヒーを淹れているときに、横着してお湯を一度に注いでしまった時のような感じで、珈琲の香りの立ち具合が物足りない。

淹れたあとの豆の状態
コーヒーの濃さには問題ない

 ペーパードリップ式でコーヒーを入れる時は、最初に少しだけお湯を淹れて30秒ほど待つことで豆を蒸らし、それからゆっくりとお湯を注ぐのがコツなのだが、このコーヒーメーカーでは、蒸らしの「間」がなく、お湯が連続して出ているので蒸らしが足りないのではないかと思う。

 豆の種類をいろいろ変えてみたが、少し薄めに入る傾向は共通だ。特に、2~4杯分ではなく、1杯分だけ淹れたときに薄く感じることが多い。

 お湯の量が多いときは、最後に濃いコーヒーが入るので、補っているのだが、1杯分だけ淹れたときは、コーヒーが蒸らしきれていないうちにお湯が出終わってしまうのだと思う。

 というわけで、濃い目のコーヒーが好きな方は、豆の品種を選んだり、豆の量を多めにすることをお勧めする。

 なお、ガラスサーバーを保温する機能もあるが、保温は15分ぐらいまでが推奨されている。あまりたくさん淹れずに、そのつど、コーヒーを淹れた方が良い。

便利さは十分、とりあえずの1台に

 実売1,500円のコーヒーメーカーと聞いて、しっかり動くのか心配だったが、さすがに大手メーカーの製品だけあって、それなりにちゃんとしている。

 豆と水を用意すれば、スイッチを入れるだけでコーヒーが準備できるという、コーヒーメーカーの便利さは、この製品でも十分に味わうことができる。価格が安くて、必要十分な機能を持っている製品だ。

 これを使ってみて、「いつも自分の好みの濃さのコーヒーが飲みたい」とか「保温タイプのコーヒーサーバーがほしい」とか、「きちんと蒸らしをしたハンドドリップのようなコーヒーが飲みたい」というように、自分の使うイメージがはっきりしてきたら、もう少し上位の製品を選べば良いだろう。

【お詫びと訂正】初出時に「味が薄いのは水を多くしたからではないか」と誤解を招く表現がありましたので訂正させていただきました。

伊達 浩二

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